へなちょこ勇者の珍道記〜異世界召喚されたけど極体魔法が使えるのに無能と誤判定で死地へ追放されたんですが！！

第２章

異変

　夜明け頃だろうか、嫌な予感というか、胸騒ぎからか太一は突然目覚めた。そう、人の気配がするのだ。それも街中に大勢の者が動いている感じから太一はそっと皆を起こし

「急ぎ着替えるんだ。静かにするんだ」

　太一は全員を起こした。周りを見ると、丁度5時位だったのでまだ辺りは暗い。

　まだ普通の者は眠っている時間帯だ。幸い太一とシャロンとノエルは何が有るか分からないので、バトルスーツを着たまま寝ていたた。だこの状態ではやはり疲れが取りきれるものではないが、いきなり部屋の中に突入などされてきた時に対処できなくなるので、体力が残っている3人がいつでも戦闘のできる格好で眠る事を選んでいた。

　太一はそっとカーテンをめくり街の中を見てみると、武装していると思われる者達がうごめいているのが見えた。

　どうやってあの砦を突破したのだろうかと不思議だった。1000名と聞いていたが、もっと多かったのか。

　商隊など、別の者に化けて堂々と通ってきたのだろうか？今はそんな事を考えている時ではない。

　皆の着替えが終わると、早速義足と義手を作り、各々に装着させていく。

　これから奴らが宿を襲撃するのであろうと思い、裏口からそっと外に出て、馬小屋の方に向かう事にした。まだこちらは寝ていると思ったのであろうか、裏口に見張りを立てていなかった。

　まだ殆どの馬達は寝ていたのだが、数頭が起きておりおかしな雰囲気に不安がっていた。太一達はとりあえず馬の様子を眺めていたが、馬房の方には敵兵の姿はなかった。すると、行け！という声と共に宿のドアを強引に開ける音が聞こえて来たのだ。

　女性陣達は馬を馬車に繫ぎ、いつでも出発できる状態にしていた。

　すると叫び声などが聞こえ始めた。おそらく部屋を確認して回っているのだろうと思い、太一はしまったと思った。布団をそのままにしてきたのだ。布団を綺麗にしておけば、そこに誰かが泊まっていたとは思わず、ただの空室だと思っただろう。

　だが布団は捲ったままだった。咄嗟の事だったので、誰もそこまで気が回らなかったのだ。やはり聞こえてきた

「隊長！数名の奴が慌てて飛び出していった気配があります。布団は捲ってありましたが、まだ少し温かかったので、我らの気配に気付いて出て行ったのだと思われます」

「探せ！奴らを街から出すな。誰か門の所に行き、まもりを固めてこい」

　太一達は街の外に出るつもりだったが、先を越されてしまったようだ。太一はこの局面をどう乗り切ろうか？と考えるのであった。