上 下
16 / 97
第2章

ギルド

しおりを挟む
 太一はシャロンと出掛ける事になった。フードをしっかり被り、額にはサークレットを着けた。
 万が一の為シャロンが化粧をしてくれた。眉を太くし頬に暗めの化粧をして細く見えるようにしたのだ。

 先に美容店に行く。お金は城から渡された支度金から出すのだが、足がつかない様に屋敷で銀貨と金貨を別の物に替えてもらった。数日以降に流通貨幣に混ぜて使って貰うのだ。

 理髪店はシャロンのお勧めの為か女性ばかりの店だった。

 髪型はシャロンに指定してもらいカットしていく。

 後ろ髪は揃えるだけで、顔にかかる部分はカットし、サイドが刈り上げになった。後ろだけは長くして欲しいとのシャロンの希望だった。

 19歳の青年だ。髪型を変え、精悍な面構えの自信に満ち溢れた青年に見え、シャロンはニコニコしていた。

 シャロンも少しカットして整えて貰う。太一は黙って待っていた。黙って見ていたのではなく、ステータスを見ていた。あれだけ苦労してダンジョンを出てきたが、極大魔法により倒した魔物の殆どは経験値の範囲外だったのだろうか。レベルが04だった。ステータスは見えないが実際にあるらしい。神様が顕現しないと詳細は見れないらしいが魔法や魔道具など高額な紙を使えばある程度は見れる。城で使っていた物だ。レベルが上がると冒険者としての特典で力や素早さが上がるのだという。実際の筋力とは別に補正がある。太一の場合城での検査時に冒険者の恩恵を与えられていた。

 シャロンはレベル12だという。

 冒険者として初心者はレベル10までの者を指し、冒険者ランクが最低にカウントされるらしい。

 シャロンは165cm位で、この世界の男性を含めかなり背が高い。太一は自分に自身がなく普段は猫背だ。身長は180cmあるのだが、猫背の為170cmに思われがちだ。城でもずっと猫背で、召喚された者達しかいない所で伸びをして180cm程あるのを知られているが、城の者には知られていない筈だ。

 太一は普段自分が猫背だと認識していて、直さないとなと常々思ってはいたが、中々出来ずにいた。

 しかし、自分の命が掛かっているのだ、意識的に背筋を伸ばすようにする。店を出てシャロンが驚いていた。

「あのー太一様、太一様は背がお高いのですね。髪型からもそうやって背筋を伸ばしていると強者の雰囲気が有りますわ。素敵です!」

「ありがとう。その、俺は今まで結構猫背で過ごしていたから、猫背になっていたら指摘してくれないかな。例えば背中を軽くポンポンと叩くとかね。背筋を伸ばしていると別人に見えるでしょ?」

「わかりましたわ。私がちゃんと太一様を見ていますから!あと、その、髪型お似合いですよ!格好良くなりましたよ!私この髪型の太一様の方が好きです!」

「似合ってるのかな?シャロンがそうやって言ってくれるとそんな気がするよ。さて、次はギルドだっけ?」

「はい。じゃあギルドに行きますね。逸れないようにしっかり付いてきてくださいね!」

 と言いつつシャロンは逃さないぞと言わんばかりに手を引っ張る。グイグイと引っ張られあれよあれよと言う間にギルドに着いた。

 既に忙しい時間は過ぎていて昼近くだったので比較的空いていた。

 3階建ての無骨な建物で、中に入ると入り口近くの壁には貼り紙が多数ある掲示板がある。冒険者に対して様々な依頼が入ると言い、その依頼書が貼り出されていたのだ。
 薬草の採取や特定の鉱物、卵や、隣国や隣町への護衛依頼、魔物の巣や群れの駆逐。

 太一は読めなかったが、シャロンが説明してくれた。

 ギルドの一階には依頼を貼り出している掲示板、冒険者への各種対応をするカウンターがある。また併設された酒場兼食堂があり、テーブルに座っている者の中に昼間っから酒を飲んでいる者がいたりした。

 カウンターはハイカウンターとローカウンターがある。

 魔石の換金はここで行うらしい。

 ハイカウンターは6つあり、今は3人がいた。
 一つが空いていてシャロンが向かうが、酒場にいる奴が気のせいか睨んでいる気がしていたが、女連れと分かると嫌な視線がなくなった。

 他の窓口は並んでいたのだが一つだけ空いていたのだ。

 受付の女性は16から18歳位でブロンズの美人だ。他の窓口の受付譲もかなりの美人だが、彼女は別格だった。シャロンとタイプは違うがミスコンに出れば良い勝負をする位の美人だった。

「本日はギルドをご利用頂きましてありがとうございます。本日は私ノエルが受付をさせて頂きます。今日はどういったご用件でしたでしょうか?」

 太一はシャロンに任せるしかなかった。一礼だけして様子を見ていた。

 シャロンが紹介状を出してから

「はい。私と彼の2人分の冒険者登録をお願いします。お師匠様からの紹介状になります。修行がまもなく終わるので冒険者登録をとなりました」

 ノエルがさっと紹介状を読み、頷いていた。紙を渡してきて、記載するように言ってきたのであった。


     フローラが特殊な道具で読み取ったステータスはこうだ。翌日に紙に書いて渡された。しかも城で計測した内容との対比でだった。

 名前  ロイ(稲葉 太一)
 年齢  19
 職業  
 第一職業  煌勇者
 第二職業  魔法戦士

 ギフト
 詠唱破棄
 無限収納
 言語翻訳
 成長補正極大

 スキル
 気配察知

 使用可能魔法
 生活魔法
 アルマゲドン(極大魔法)
 補正地  前回     今回
 LV             1           04
 STR        34           62
 DEX        43           89
 VIT          29           96
 INT      1021    19876
 AGI        204        678
 魔力  56785    99999

    魔力は測定可能値の上限超え
 INTが城で021だったのは999が最大値でオーバーした為021と表示。

 シャロンの方もついでに伝えられた

 名前  シャロン
 年齢  19(16)
 職業  
 第一職業  魔法剣士
 第二職業  無し

 ギフト
 剣の舞

 スキル
 ミラージュ

 使用可能魔法
 風(初級)(中級)
 火(初級)(中級)
 回復魔法(初級)
 補助魔法
 スリープ
 隠蔽
 肉体強化

             補正値
 LV           12
 STR        84
 DEX        52 
 VIT          95 
 INT          74
 AGI          96
 魔力       149

 年齢の()内はヒューマン換算
 ステータス補正はレベルの割に高い方だとフローラの説明あり
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

コブ付き女サヨナラと婚約破棄された占い聖女ですが、唐突に現れた一途王子に溺愛されて結果オーライです!

松ノ木るな
恋愛
 ある城下町で、聖女リィナは占い師を生業としながら、捨て子だった娘ルゥと穏やかに暮らしていた。  ある時、傲慢な国の第ニ王子に、聖女の物珍しさから妻になれと召し上げられ、その半年後、子持ちを理由に婚約破棄、王宮から追放される。  追放? いや、解放だ。やったー! といった頃。  自室で見知らぬ男がルゥと積み木遊びをしている……。  変質者!? 泥棒!? でもよく見ると、その男、とっても上質な衣裳に身を包む、とってもステキな青年だったのです。そんな男性が口をひらけば「結婚しよう!」?? ……私はあなたが分かりません!

お幸せに、婚約者様。私も私で、幸せになりますので。

ごろごろみかん。
恋愛
仕事と私、どっちが大切なの? ……なんて、本気で思う日が来るとは思わなかった。 彼は、王族に仕える近衛騎士だ。そして、婚約者の私より護衛対象である王女を優先する。彼は、「王女殿下とは何も無い」と言うけれど、彼女の方はそうでもないみたいですよ? 婚約を解消しろ、と王女殿下にあまりに迫られるので──全て、手放すことにしました。 お幸せに、婚約者様。 私も私で、幸せになりますので。

異世界で【無職】に転生した俺はニートな人生を謳歌する。

ミカン♬
ファンタジー
前世ニートだった俺は事故で若死にし、異世界に転生。なぜか女神様から【レアスキル】を貰っていて、今世は人生を謳歌する予定だったのに、どんどんと厄介ごとに巻き込まれていく。俺の転生には謎がある? アサシンの執事にダンジョンに閉じ込められ、殺されそうになったけどコアと出会ってダンジョンマスターとなり、日本から禁忌の異世界召喚を受けた高校生たちを救う為に、属性ニートで怠惰な主人公が頑張るお話です。

そうだ!やっぱり異世界行こう!![農家の俺は異世界で暮らします]

モルモット
ファンタジー
家庭で尻に敷かれた生活をしていた主人公は離婚話までされてウツになっていました。でも異世界に転移して人生を見つめなおし、動物を仲間し、ブドウを栽培し、村を作って最終的には海の見える草原に素敵な教会を建てます。 主人公名前はトシユキ 少し気が弱かった彼は なーんにもできない人間です。(ほんとは、成果がでないだけです) 人生がうまくいかないのに さらに離婚話をされてしまい、 ちょっと ウツっぽくなっていたところで、事故にまであってしまいます・・・。 しかし 事故にあった先は 天国じゃなく神界! 異世界へ行きます。 スキル・アイテム解説 ・「魔石召喚」・・魔石にアイテムを使うことで死者を蘇生します。蘇生すると術者はステータスをもらうことができる。(強くなる) ・「エナジー」・・魔物の使う技。魔力をオーラに変えて肉体を強化したり、使い方は多種多様。 ・「魔石」  ・・魔力でできた石。魔物や生物の体に自然にできるもの。 ・「魔法」  ・・火・水・風・土が基本ですが 物質的な性質があります。(道具的な魔法)

地味すぎる私は妹に婚約者を取られましたが、穏やかに過ごせるのでむしろ好都合でした

茜カナコ
恋愛
地味な令嬢が婚約破棄されたけれど、自分に合う男性と恋に落ちて幸せになる話。

ザ・タワー 〜俺にしかできない魔石を鑑定する能力!魔石を使っての魔法&スキル付与!この力で最強を目指す〜

KeyBow
ファンタジー
 世界初のフルダイブ型のVRMMOゲームにダイブしたはずが、リアルの異世界に飛ばされた。  いきなり戦闘になるハードモードを選んでおり、襲われている商隊を助ける事に。  その世界はタワーがあり、そこは迷宮となっている。  富や名誉等を得る為に多くの冒険者がタワーに挑み散っていく。  そんなタワーに挑む主人公は、記憶を対価にチート能力をチョイスしていた。  その中の強化と鑑定がヤバかった。  鑑定で一部の魔石にはスキルや魔法を付与出来ると気が付くも、この世界の人は誰も知らないし、出来る者がいないが、俺にはそれが出来る!  強化でパラメータを上げ、多くのスキルを得る事によりこの世界での生きる道筋と、俺TUEEEを目指す。  タワーで裏切りに遭い、奴隷しか信じられなくなるのだが・・・

夫が離縁に応じてくれません

cyaru
恋愛
玉突き式で婚約をすることになったアーシャ(妻)とオランド(夫) 玉突き式と言うのは1人の令嬢に多くの子息が傾倒した挙句、婚約破棄となる組が続出。貴族の結婚なんて恋愛感情は後からついてくるものだからいいだろうと瑕疵のない側の子息や令嬢に家格の見合うものを当てがった結果である。 アーシャとオランドの結婚もその中の1組に過ぎなかった。 結婚式の時からずっと仏頂面でにこりともしないオランド。 誓いのキスすらヴェールをあげてキスをした風でアーシャに触れようともしない。 15年以上婚約をしていた元婚約者を愛してるんだろうな~と慮るアーシャ。 初夜オランドは言った。「君を妻とすることに気持ちが全然整理できていない」 気持ちが落ち着くのは何時になるか判らないが、それまで書面上の夫婦として振舞って欲しいと図々しいお願いをするオランドにアーシャは切り出した。 この結婚は不可避だったが離縁してはいけないとは言われていない。 「オランド様、離縁してください」 「無理だ。今日は初夜なんだ。出来るはずがない」 アーシャはあの手この手でオランドに離縁をしてもらおうとするのだが何故かオランドは離縁に応じてくれない。 離縁したいアーシャ。応じないオランドの攻防戦が始まった。 ★↑例の如く恐ろしく省略してますがコメディのようなものです。 ★読んでいる方は解っているけれど、キャラは知らない事実があります。 ★9月21日投稿開始、完結は9月23日です。 ★コメントの返信は遅いです。 ★タグが勝手すぎる!と思う方。ごめんなさい。検索してもヒットしないよう工夫してます。 ♡注意事項~この話を読む前に~♡ ※異世界を舞台にした創作話です。時代設定なし、史実に基づいた話ではありません。【妄想史であり世界史ではない】事をご理解ください。登場人物、場所全て架空です。 ※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義なのでリアルな世界の常識と混同されないようお願いします。 ※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。 ※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。 ※話の基幹、伏線に関わる文言についてのご指摘は申し訳ないですが受けられません

下剋上を始めます。これは私の復讐のお話

ハルイロ
恋愛
「ごめんね。きみとこのままではいられない。」そう言われて私は大好きな婚約者に捨てられた。  アルト子爵家の一人娘のリルメリアはその天才的な魔法の才能で幼少期から魔道具の開発に携わってきた。 彼女は優しい両親の下、様々な出会いを経て幸せな学生時代を過ごす。 しかし、行方不明だった元王女の子が見つかり、今までの生活は一変。 愛する婚約者は彼女から離れ、お姫様を選んだ。 「それなら私も貴方はいらない。」 リルメリアは圧倒的な才能と財力を駆使してこの世界の頂点「聖女」になることを決意する。 「待っていなさい。私が復讐を完遂するその日まで。」 頑張り屋の天才少女が濃いキャラ達に囲まれながら、ただひたすら上を目指すお話。   *他視点あり 二部構成です。 一部は幼少期編でほのぼのと進みます 二部は復讐編、本編です。

処理中です...