上 下
26 / 43

第26話 奴隷商の娘

しおりを挟む
 ブラッドは、2人が懐柔策に出ているというのは重々承知している。それに気が付かない程ボンクラではないが、それでもこの2人と普通に?会話ができているので一安心だった。

 毒づいていたり、あんた呼ばわりをしているが、そんな2人の躾をしようとしていたタミアに対し、ブラッドは休憩時に俺の前ではやめておいてやってくれと伝えた。だからきっと俺が見ていないところで躾をしている筈だ。俺はそんな事を知らない振りをする。

 後でタミアから聞いた。

「ブラッドが怒るかどうかを見極めているようだけど、彼は漢だよ。我慢の限界が来たらブチ切れるよ?そうなったら理性が飛んでしまうと思うよ。そうなってしまった時に2人がどうにかされてしまっても知らないよ。怒りに我を忘れたら手を出さないと決めていても、気が付いたら君達を犯した後だったなんてあり得るよね?」

 そのように伝えたそうだ。

 ブラッドは見栄を張ったが、少女達とはいえ女3人がおり、それなりにフェロモンが出ていて、今はニスティーが隣りに座っている。

 16歳とはいえ、スタイル抜群で、そこそこ、いやかなり色気がある。ましてや10年女を抱いてないのだ、ムラムラしており、その魅惑的な太腿に手を伸ばしたいという欲求に抗がっていた。

 これは持たないなと思った。今晩一緒の布団に入ったのが誰であれやってしまうだろうと。

 そうして今晩の宿に着いたが、やはり一つの部屋のみが割り当てられた。宿に確認したが、シングル用の部屋に空きがあったので追加で一部屋借りて、俺は一人で寝る事にした。

 タミアには悪いが、2人を押し付けた。初日だし女同士の方がやりやすいだろう?と己に言い聞かせた。
 俺がいない方が警告と称した躾が出来るだろうと。

 食事の前に、4人でグレイズの部屋に行き、奴隷の主人の変更を行った。それとグレイズに俺だけ酒を飲みにいかないかと誘われ、そのまま出掛ける事になった。正直なところ助かった。

 道中、こんな会話があった。

「今晩はどちらを食うのですかな?羨ましい限りですな」

「1年は手を出さないぞ。欠損修復の褒美に買い戻しのチャンスをやったんだ。1年、その間に頑張って稼げば買い戻しをさせてやるとしたんだ」

「貴方様もお人好しですなぁ。その腕の様子ですともうあそこも復活したのでしょうに。発散しないとあの2人を押し倒してしまいますぞ?」

「まああんたの言う通りだよ。正直な所、復活前に約束してしまったのを後悔したよ。馬車の中であいつらの太股を撫でるのを我慢するのが辛かったよ。それよりあんたは俺に何をさせたいんだ?目的があるだろう?はぐらかすなよ」

「そうですなぁ。先ずは酒を呑みながらではどうですかな?ここですと人目が気になりますので、お店に入ってからお話ししますよ」

 そうして一軒のキャバクラ?に入った。綺麗なオネェさんのお酌で飲む酒は美味かった。

「さて、何をと言うのはですな、娘の事で御座います」

「あんたに娘がいるのか?」

「はい。18になります。」

「美人か?」

「本来はそうで御座います」

「怪我か病気か?」

「怪我にございます」

「俺にあんたの娘の欠損を治せと言うんだな?どの部位がないんだ?」

「話が早くて助かります。右腕と両方の乳房でございます。それと、顔には酷い傷がございましてな。それのお陰で嫁ぐ事も叶いませぬ」

「その子は恋人はいるか?」

「ブラッド様は我が娘を娶るおつもりで?」

「いや、見てもいない娘をどうこう言えないさ。それにあんたをお義父さんと呼ぶ事になるのか?まあ、それは置いておいて、治した後に惚れるとか、惚れられるのは話は別だが、そういう事じゃない。大事な話だ」

「残念ながら、婚約者は逃げていきましたので今はおりませぬぞ」

「因みに何があった?」

「とある貴族の娘が勘違いから、我が娘がその貴族の娘の婚約者と不義密通したとされましてな。捕えられた後に拷問を受けました。最終的にその母親が行った処女検査の結果、我が娘が処女と分り不義密通にて姦淫していた事実はないとし、勘違いだったとされました。お詫びをして来ましてな、娘を治す費用はその家が出すとなったのです」

「正直に話すんだな。じゃあニスティーとマリーナの2人はその為に仕入れたのか?」

「そうでございます。聖騎士に話をしておりましたが、治療費は娘の純潔を頂くとされ、断念しておりました。死ねと言っておるのと同じですからな。丁度その頃にブラッド様があやつを討ち取られ、あれよあれよと言う間にあの国も落ちましてな。そんな折にブラッド様の力が分かるも、腕が復活していない事からやり方が分からぬのだと判断しました。調べたところ婚約者のニスティーに行き当たりましてな、手を尽くして買いましてございます」

「やり方は知らないのか?」

「知っておれば此のような回りくどい事はしませぬ。聞き出す前に本当にブラッド様が来られたのですよ。あの時は仕入れて馬車から降ろして建物に入れた直後だったのでございます」

「本来はどうする予定だったんだ?」

「奴隷の主として命じてやり方を聞き出した後は、ブラッド様にお伝えしようと。その後は教育し、売り出す予定でございました」

「胸糞の悪くなる話しだが、正直に話すんだな。まあいいや。他にも理由がありそうだが、どうせ話さないだろう。一つ聞きたい。今の俺はあんたの思惑通りに動いているのか?」

「油断も隙もありませんな。そうですなぁ、それ以上でございます」

「分かった。あんたの娘はあんたに胸を舐められるのを受け入れられるか?勿論顔を隠し舌だけを出して貰う事になるが」

「それはどういう事でございますか?」

「欠損修復には3人目の補助者が必要なんだ。治療相手と異性じゃないと駄目だ。しかも修復する所を異性に舐めてもらわないと駄目なんだよ。俺が舐めながらやっても駄目だから聞いているんだ。娘さんに確認するんだな。それと未婚の女のようだが、俺に肌を晒さざるを得ない。それとな、今回俺が故郷に帰った時に、もしも故郷に居つく事に決めたとしても、取り敢えず王都に一度戻って、世話になった者達に別れの挨拶をしに行くから、説得する時間はあまり無いかもな」

「分かりました。それはさておき、2軒目に参りましょうか!そこは…」

 そうして夜の街に消えていくのであった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ゾンビになった妹を救うため、終末世界で明日に向かってゴールをめざす

戸影絵麻
ホラー
原因不明の異変により、外界と隔絶された政令指定都市。住民たちは次々にゾンビ化し、凄惨な殺戮を繰り返す。その地獄さながらの世界の片隅で、ゾンビ化した妹を救うために、何の取り柄もないヘタレ大学生の僕は、ついに行動を起こす。が、その前に立ちふさがるのは、僕の予想をはるかに超えた異常事態だった…。 一応、『ホラー小説大賞』の大賞候補作品です。

大絶滅 2億年後 -原付でエルフの村にやって来た勇者たち-

半道海豚
SF
200万年後の姉妹編です。2億年後への移住は、誰もが思いもよらない結果になってしまいました。推定2億人の移住者は、1年2カ月の間に2億年後へと旅立ちました。移住者2億人は11万6666年という長い期間にばらまかれてしまいます。結果、移住者個々が独自に生き残りを目指さなくてはならなくなります。本稿は、移住最終期に2億年後へと旅だった5人の少年少女の奮闘を描きます。彼らはなんと、2億年後の移動手段に原付を選びます。

今さら、私に構わないでください

ましゅぺちーの
恋愛
愛する夫が恋をした。 彼を愛していたから、彼女を側妃に迎えるように進言した。 愛し合う二人の前では私は悪役。 幸せそうに微笑み合う二人を見て、私は彼への愛を捨てた。 しかし、夫からの愛を完全に諦めるようになると、彼の態度が少しずつ変化していって……? タイトル変更しました。

ゲーム内転移ー俺だけログアウト可能!?ゲームと現実がごちゃ混ぜになった世界で成り上がる!ー

びーぜろ@転移世界のアウトサイダー発売中
ファンタジー
ブラック企業『アメイジング・コーポレーション㈱』で働く経理部員、高橋翔23歳。 理不尽に会社をクビになってしまった翔だが、慎ましい生活を送れば一年位なら何とかなるかと、以前よりハマっていたフルダイブ型VRMMO『Different World』にダイブした。 今日は待ちに待った大規模イベント情報解禁日。その日から高橋翔の世界が一変する。 ゲーム世界と現実を好きに行き来出来る主人公が織り成す『ハイパーざまぁ!ストーリー。』 計画的に?無自覚に?怒涛の『ざまぁw!』がここに有る! この物語はフィクションです。 ※ノベルピア様にて3話先行配信しておりましたが、昨日、突然ログインできなくなってしまったため、ノベルピア様での配信を中止しております。

ぼくは帰って来た男

東坂臨里
ファンタジー
 あっちにとっては→必要な召喚 =≒≠ こっちにしたら→いきなりの神隠し そんな召喚から帰って来た元勇者の六歳児とみんなの 召喚と転移と神隠しと それからやり直しの話

シモウサへようこそ!

一ノ宮ガユウ
ファンタジー
日本政府からあっさりと見捨てられた千葉県北部と茨城県南部。 しかし住民はといえば、元気にたくましく――というか、さして気にすることもなくフツーに暮らしていたりも。 そんな「セーグフレード領シモウサ」の防衛局司令に、若干16歳にして任命され、赴任してきた少女ルクフェネ・ティッセと、補佐に志願した地元の高校生・相馬圭が、抱え込んだコンプレックスに折り合いをつけながら成長し、そして想いを強めていく物語。 ❖ルクフェネ・ティッセ❖ 防衛局に司令として赴任してきた少女。アルテリウア、16歳。王族らしい。しかしその生まれをもって特別扱いされることを嫌い、自分をありのままに理解してくれることを望んでいる。おしゃれには無頓着。また、同世代との交友がなかったため、恋愛関係に疎い。 ❖相馬圭 (そうま けい)❖ 防衛局が置かれた取手市内に住む高校生。17歳。都内の大学へ進学する道が閉ざされたことを理由に、防衛局の補佐に志願した。少しでもルクフェネの役に立てるようになりたいと、もがく。姉・妹・母という家族構成からか、女子耐性が強い (無頓着ともいう)。 ❖リバ❖ モミョ族 (外見的には長毛種の猫。尻尾が3本あって、背中にはコウモリのような大きな翼が生えており、ライオン並にでかい――が) の侵入者。不遇な種族の名誉を回復するため、手柄を立てようとしている。 ❖カルナ・ウィーディルビルグ❖ セーグフレード領シモウサ総督。アルテリウア。28歳。圭から見ても相当な経歴の持ち主だが、飄々とした、とらえどころのない人物。ルクフェネとは旧知の間柄の模様。 ❖コヨ・タキッシェ❖ シモウサにやってきた冒険者。ネズミかそれ近い種族の、いわゆる獣人。ルクフェネがいうには、その目的から、逸早く新たな土地にやってくることは理解できるが、査証が発行されるのが早過ぎるらしい。 ❖木葉つぐみ (このは――)❖ 圭の幼なじみ。17歳。圭のことが好きだが、想いを告げられないでいる。 ❖二十日兎 (マルシェ)❖ 正体不明のアルテリウア。シモウサには、ローブと仮面を依り代に現れる。かなり能力の高いアルテリウアと思われる。 ❖精霊たち❖ 下総国北部と常陸国南部の精霊たち。ケヤキちゃん、ジャモちゃん、ツムギちゃん、アヤメちゃん、カスミちゃん (+マリモちゃん)。 ❖精霊たち(?)❖ シライちゃん (しらいっしー)、ウサギちゃん (兎田ぴょん)。 ❖神々❖ 下総国北部と常陸国南部の神々。香取の神、鹿島の神、筑波の神、牛島の神。 ❖魔物(?)❖ チョーシュー・リーキ、かっぱのキューちゃん、コスモ星丸、まさかどくん、なあにちゃん。

異世界転移物語

月夜
ファンタジー
このところ、日本各地で謎の地震が頻発していた。そんなある日、都内の大学に通う僕(田所健太)は、地震が起こったときのために、部屋で非常持出袋を整理していた。すると、突然、めまいに襲われ、次に気づいたときは、深い森の中に迷い込んでいたのだ……

拝啓、無人島でスローライフはじめました

うみ
ファンタジー
病弱な青年ビャクヤは点滴を受けに病院にいたはず……だった。 突然、砂浜に転移した彼は混乱するものの、自分が健康体になっていることが分かる。 ここは絶海の孤島で、小屋と井戸があったが他には三冊の本と竹竿、寝そべるカピバラしかいなかった。 喰うに困らぬ採集と釣りの特性、ささやかな道具が手に入るデイリーガチャ、ちょっとしたものが自作できるクラフトの力を使い島で生活をしていくビャクヤ。 強烈なチートもなく、たった一人であるが、ビャクヤは無人島生活を満喫していた。 そんな折、釣りをしていると貝殻に紐を通した人工物を発見する。 自分だけじゃなく、他にも人間がいるかもしれない! と喜んだ彼だったが、貝殻は人魚のブラジャーだった。 地味ながらも着々と島での生活を整えていくのんびりとした物語。実は島に秘密があり――。 ※ざまあ展開、ストレス展開はありません。 ※全部で31話と短めで完結いたします。完結まで書けておりますので完結保障です。

処理中です...