上 下
24 / 119
序章 私刑人誕生編

第24話 VS  オークのボス

しおりを挟む
 マリニアの詠唱が終わるタイミングを見計らって結界を解除したが、間髪入れずライオットが放たれた。

 結界を解除すると結界を叩いていた奴が5体、前のめりになり倒れる。馬鹿な奴め。

 マリニアのライオットはその後ろにいる奴に当たった。
 俺は結界を解除した暇から回復すると駆け出し、起き上がろうとしている奴のうち3体を斬り伏せ、そのまま奥にいる奴の方へと斬り込んで行く。

 どうやらマリニアが殺ったのは上位種のオークナイト2体だ。
 俺はその場にいた6体のうち5体をサクッと倒した。
 だが、残りの1体が中々強い。
 アイスボールを放ってから一旦下がり鑑定を使う。
 アイスボールはこの暇を作る為に放った。
 でかいからまさかと思ったら・・・ジェネラルさんじゃないか!
 何で?
 俺達リザードマンを狩りに行っただけだよ?しょぼい魔物の駆除のはずだよ?

 チラッとマリニアを見ると、2体と互角にやりあっていた。

 そいつらの一方に向かい投げナイフを投げてやると腕に当たった。
 それを見たマリニアはチャンスとばかりに距離を詰め、そいつの腕を切り落として戦線離脱させた。
 後は大丈夫だろう。

 しかし、ジェネラルにその隙を突かれ、距離を詰められると頭突きを喰らってしまい、口の中を少し切った。
 俺もハッとなり前方に駆け出したら出会い頭にそうなったんだ。

 俺は血をぺっと吐き出し、ニヤッと笑いながら上段から斬り付ける。

「やるねぇ!そうこなくちゃ!お前は楽しませてくれるよな?行くぞぉぉぉ!」

 何とかいう元A級冒険者だった盗賊団の頭領が使っていた業物のロングソードを上段に構え、魔法陣による足場を使ってジャンプし、挨拶代わりに振り下ろした。

 流石に躱されるが地面を蹴り剣を軸に回転して蹴りを繰り出すが、これも躱される。

 逆に剣を振って攻撃をしてきた。
 俺の髪の毛が数本切れた。

「ゾワッとするねぇ!この前の奴より強いなぁ!クックックッ!」

 俺は興奮しながら剣を振るう。
 スキル無しだと躱し躱されでどちらも当たらない。
 剣と剣が鍔迫り合いになり、どうじに頭突きをしてお互い吹き飛ぶ。

 俺は痛みに意識が飛び掛けたが、向こうも同じようで首を振っている。
 つまり痛み分けだ。

 そこから仕切り直しとなり打ち合っていたが、剣は互角かやや落ちると判断したようで、奴は魔法を使った。
 ファイヤーボールを放ってきたのでブラックマスクを取り出し魔力を流す。
 するとファイヤーボールは消え、俺に魔力が流れてくるのが分かる。

 ジェネラルの顔は怒りに歪んたように思う。

 再び剣での戦いになる。

「あのう、あの方強いですけど、笑っていませんか?」

「あの人は強いよ。B級だけどA級の魔物を単独で倒すんだよ」

 残ったオークを倒したマリニアと助けた女の子は、固唾をのんでランスタッドとオークの戦いを見守っていた。

 マリニアはランスタッドの戦っている姿に見惚れていた。
 次元の違う戦いを目の当たりにし、自分との強さの違いから愕然とするよりも、こんな凄い人を何故追放したの?サタンナタだっけ?アホなの?
 そんなふうに思う。
 いつの日かこの人の役に立ちたい。
 今のように取って付けたかのように、ボクに役に立っているよ!といった感じを出させてくれるのではなく、本当に命を託せられる相棒になり、やがて・・・

 そんなマリニアの想いを知らず、俺は純粋にこの戦闘を楽しんでいた。5分程やり合い、お互い息を切らせ始めた。
 そんな中異変が起こる。
 気絶していた子供が目覚めたのだ。
 いきなり泣き出したのだ。

 お互いハッとなったが、ジェネラルは俺の方が僅かに強く、逃げる事も敵わないと分かっており人質を取る事にしたようで、にたっと笑うと子供達の方に駆け出した。

 俺は剣を振ったが間に合わず、泣いている子の所へ先に辿り着いたのはジェネラルだった。
 その喉元に剣を突き付け、俺にしっしと手振りで下がるように指示をしてきた。

 斬り込もうとすると首を斬られ、この子は間違いなく死ぬ。
 俺は剣をその場に置き、両手を上げて落ち着けといった感じのジェスチャーをする。

 戦いの興奮は一気にしらけてだだ下がりだ。
 ジェネラルは泣いている子を掴むと後退りし始めた。

 俺は殺るしかないなと狙いを定めて結界魔法を発動した。
 狙いは首より上だったが、少し下に逸れ胸元から上がズズズと動き、地面に落ちた。
 血が噴水のようにドピュー、ドピューと吹き出て、その子供に掛かる。

 更に絶叫し・・・気絶した。
 距離が会ったからか魔力がごっそり無くなる感覚があり、冷や汗が出る。

 取り敢えずその子の所に行き、死体を収納してからクリーンを掛け、怪我の無い事を確認するのであった。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界の約束:追放者の再興〜外れギフト【光】を授り侯爵家を追い出されたけど本当はチート持ちなので幸せに生きて見返してやります!〜

KeyBow
ファンタジー
 主人公の井野口 孝志は交通事故により死亡し、異世界へ転生した。  そこは剣と魔法の王道的なファンタジー世界。  転生した先は侯爵家の子息。  妾の子として家督相続とは無縁のはずだったが、兄の全てが事故により死亡し嫡男に。  女神により魔王討伐を受ける者は記憶を持ったまま転生させる事が出来ると言われ、主人公はゲームで遊んだ世界に転生した。  ゲームと言ってもその世界を模したゲームで、手を打たなければこうなる【if】の世界だった。  理不尽な死を迎えるモブ以下のヒロインを救いたく、転生した先で14歳の時にギフトを得られる信託の儀の後に追放されるが、その時に備えストーリーを変えてしまう。  メイヤと言うゲームでは犯され、絶望から自殺した少女をそのルートから外す事を幼少期より決めていた。  しかしそう簡単な話ではない。  女神の意図とは違う生き様と、ゲームで救えなかった少女を救う。  2人で逃げて何処かで畑でも耕しながら生きようとしていたが、計画が狂い何故か闘技場でハッスルする未来が待ち受けているとは物語がスタートした時はまだ知らない・・・  多くの者と出会い、誤解されたり頼られたり、理不尽な目に遭ったりと、平穏な生活を求める主人公の思いとは裏腹に波乱万丈な未来が待ち受けている。  しかし、主人公補正からかメインストリートから逃げられない予感。  信託の儀の後に侯爵家から追放されるところから物語はスタートする。  いつしか追放した侯爵家にザマアをし、経済的にも見返し謝罪させる事を当面の目標とする事へと、物語の早々に変化していく。  孤児達と出会い自活と脱却を手伝ったりお人好しだ。  また、貴族ではあるが、多くの貴族が好んでするが自分は奴隷を性的に抱かないとのポリシーが行動に規制を掛ける。  果たして幸せを掴む事が出来るのか?魔王討伐から逃げられるのか?・・・

異世界で穴掘ってます!

KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語

スキルスティール〜悪い奴から根こそぎ奪って何が悪い!能無しと追放されるも実はチート持ちだった!

KeyBow
ファンタジー
 日常のありふれた生活が一変!古本屋で何気に手に取り開けた本のタイトルは【猿でも分かるスキルスティール取得法】  変な本だと感じつい見てしまう。そこにはこう有った。  【アホが見ーる馬のけーつ♪  スキルスティールをやるから魔王を倒してこい!まお頑張れや 】  はっ!?と思うとお城の中に。城の誰かに召喚されたが、無能者として暗殺者をけしかけられたりする。  出会った猫耳ツインズがぺったんこだけど可愛すぎるんですが!エルフの美女が恋人に?何故かヒューマンの恋人ができません!  行き当たりばったりで異世界ライフを満喫していく。自重って何?という物語。  悪人からは遠慮なくスキルをいただきまーーーす!ざまぁっす!  一癖も二癖もある仲間と歩む珍道中!

聖騎士殺しの異世界珍道記〜奴隷を買ったらお姫様だった件〜

KeyBow
ファンタジー
 彼には秘密がある。殺した奴のスキルを奪うスキル食いのギフトを持っているのだ。最初に一つ奪うまではハードルが高いが、そこからはそれを駆使して相手を上回れる可能性を秘めた超チートだ。  戦闘奴隷として死に戦に投入されるも、片手を失いつつ見事に敵将を討ち、その功績から奴隷解放された。  しかし左手を喪い、世話をさせるのに男の子だと思った奴隷を買う。しかし実は女の子だった。また、追加で買った奴隷は殺した聖騎士の婚約者だった・・・  

外れギフト魔石抜き取りの奇跡!〜スライムからの黄金ルート!婚約破棄されましたのでもうお貴族様は嫌です〜

KeyBow
ファンタジー
 この世界では、数千年前に突如現れた魔物が人々の生活に脅威をもたらしている。中世を舞台にした典型的なファンタジー世界で、冒険者たちは剣と魔法を駆使してこれらの魔物と戦い、生計を立てている。  人々は15歳の誕生日に神々から加護を授かり、特別なギフトを受け取る。しかし、主人公ロイは【魔石操作】という、死んだ魔物から魔石を抜き取るという外れギフトを授かる。このギフトのために、彼は婚約者に見放され、父親に家を追放される。  運命に翻弄されながらも、ロイは冒険者ギルドの解体所部門で働き始める。そこで彼は、生きている魔物から魔石を抜き取る能力を発見し、これまでの外れギフトが実は隠された力を秘めていたことを知る。  ロイはこの新たな力を使い、自分の運命を切り開くことができるのか?外れギフトを当りギフトに変え、チートスキルを手に入れた彼の物語が始まる。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

エラーから始まる異世界生活

KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。 本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。 高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。 冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。 その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。 某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。 実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。 勇者として活躍するのかしないのか? 能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。 多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。 初めての作品にお付き合い下さい。

ドロップキング 〜 平均的な才能の冒険者ですが、ドロップアイテムが異常です。 〜

出汁の素
ファンタジー
 アレックスは、地方の騎士爵家の五男。食い扶持を得る為に13歳で冒険者学校に通い始めた、極々一般的な冒険者。  これと言った特技はなく、冒険者としては平凡な才能しか持たない戦士として、冒険者学校3か月の授業を終え、最低ランクHランクの認定を受け、実地研修としての初ダンジョンアタックを冒険者学校の同級生で組んだパーティーでで挑んだ。  そんなアレックスが、初めてモンスターを倒した時に手に入れたドロップアイテムが異常だった。  のちにドロップキングと呼ばれる冒険者と、仲間達の成長ストーリーここに開幕する。  第一章は、1カ月以内に2人で1000体のモンスターを倒せば一気にEランクに昇格出来る冒険者学校の最終試験ダンジョンアタック研修から、クラン設立までのお話。  第二章は、設立したクラン アクア。その本部となる街アクアを中心としたお話。  第三章は、クラン アクアのオーナーアリアの婚約破棄から始まる、ドタバタなお話。  第四章は、帝都での混乱から派生した戦いのお話(ざまぁ要素を含む)。  1章20話(除く閑話)予定です。 ------------------------------------------------------------- 書いて出し状態で、1話2,000字~3,000字程度予定ですが、大きくぶれがあります。 全部書きあがってから、情景描写、戦闘描写、心理描写等を増やしていく予定です。 下手な文章で申し訳ございませんがよろしくお願いいたします。

処理中です...