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序章 私刑人誕生編

第22話 リザードマン戦第2幕

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 追跡はそれ程難しくなかった。
 血が垂れており、それを伝って行くだけだ。
 一度スキルで確認したが、地の跡と逃げた方面が一致するからそれ以降はスキルを使わずに魔力を温存する事にした。

「マリニア、血の跡を辿るが、気配に気を配るんだぞ!」

「あっはい!」

 マリニアはショートソードを手に持ち追跡している。
 俺は私刑をする時に使ったサブウェポンのツーブレードソードだ。
 林の中を進んでいったのでロングソードだと木に当たったりするだろう。
 なので取り回しの良いツーブレードソードを選んだ。

「変わった武器ですね」

「こういう時用のサブウェポンだ。オークジェネラルを倒した時のドロップ品で、やたらと丈夫でソードブレイカーを兼ねているんだ」

「格好良いですね!」

「煽ててもこれはやらんぞ!っと、到着だな。気を引き締めて行くぞ!」

 また湖畔に来たが、逃げるのに何故か回り道をしている。ひょっとしたら道がこれしかなかったのか?
 まあ良い。

 そこには壊された馬車の残骸と人の死体が何体かあり、リザードマンが10体程いた。
 また、人間の子供?が縛られており、生きているのがいるが死体もあった。
 茂みから確認したが魔物の数が多いな。

「さっきのライオットはターゲットを選ぶ事は可能か?」

「子供には当てないように出来ます!でも、全部は無理だよ」

「じゃあ右側の3体へ頼む。俺は残りを殺る。本当はこの依頼はマリニアに任せたかったが、状況が変わったからここからは俺が指示する」

「勿論です。子供を助けるのが優先だよね?」

「そうだ。よし、詠唱が終わったら俺も行く」

 マリニアが詠唱を終え、呪文を唱えるタイミングで俺も合わせて唱える。

 中級魔法は俺には詠唱が不要だ。

 バリバリバリバリ!

 稲妻がリザードマンを襲う。
 俺はそのまま駆ける。

「子供達を守れ!」

 俺は子供達がいる方のリザードマンを倒したが、マリニアの稲妻では殺りきれていなかったので、一気に駆けて残りを倒しに行った。

 俺が向かった方には3体が健在で、マリニアの方には1体いる。

 子供を守れとつい命じたが、返事を待たずに動いた。

 俺は獲物をロングソードに切り替え、魔法陣を展開してタン・タン・タンと跳ねて頭上から剣を振り縦に斬り裂く。

 咄嗟に俺の方に尻尾の1撃を放って来た。
 寸前でジャンプして躱し、躱し際にその尻尾を叩き斬る。
 倒れたそいつに剣を投げて串刺しにし、もう1体へアイスランスを放った。

 剣は脳天に刺さり即死、アイスランスは胸を穿ち地面に縫い付けられる形で藻掻いているが、死ぬのは時間の問題だ。

 マリニアを見ると1体を倒したようだが、2体とやり合っていた。
 どうやら隠れていたか離れていて駆け付けたのがいる。

 どうもマリニアは2体を無理して倒そうとはしておらず、攻撃をいなして時間稼ぎをしているがどう見てもジリ貧だ。
 多分俺が来るのを待つ作戦だろう。
 俺は駆けつけつつ、1体に結界を使い、胸の所で皮1枚残しで切断し残り1体にナイフを投げると目に刺さった。

 そこからはマリニアが反撃に出て胴体を半ば切断した。
 傷を押さえながら崩れ落ちたので首を差し出す形になり、剣を振りかぶり首を落として決着した。

「よく頑張ったな!索敵をしてくれ」

 俺がしても良かったが、どうしても隙が出来るからマリニアにやらせる。

 ギフトの関係からマリニアの索敵能力の方が上になるのもある。

「ハァハァハァ。ち、近くに敵はいないです」

「よし。子供達を見るから警戒していてくれ」

 マリニアはゼェ、!ゼェ、!と息をきらせていて、その辺の石の上に座るよう手振りで示すとその場にへたり込んだ。

 水筒を渡してから子供達の確認だ。
 生きているのは3人で、怪我をしているから急ぎ治療を行う。
 見た目から4か5歳、6歳、10歳位の3人で粗末な服を着た奴隷だ。

「どうしてこんな幼い子が奴隷なんだ?」

 首輪をしているから一目瞭然だ。
 一瞬結界魔法で首輪のみを切ろうかと思ったが、まだ細かい制御が荒く、俺だと首を落とし兼ねない。

 周りを見ると馬車の残骸があるが子供の死体が3体あり、大人は御者?と思われる者が1人のみだ。

 馬車はこの子供達を乗せていただけで、荷物は特になかったのであった。
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