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政治家暗殺事件Ⅰ
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「来たぞー!!!! 箱根!!!!」
電車で1時間ちょっと。
旅行にしては近い気もするが、俺にとっては初めてなので丁度いい。
「おお!!! ラスクにプリン! あの、これ全部下さい」
箱根に着いたばかりなのに、紫苑は既にお土産屋さんで買い漁っていた。
「待て待て待て。はぇよ。着いたばっかだぞ、お土産買うには早すぎるだろ」
俺は店の在庫を全て買い上げようとしていた紫苑の首根っこを掴んで止める。
「何言ってるの? これはお土産じゃなくて、今食べるの。おやつだよ?」
「おやつだよ? で、買う量じゃねぇ! ああ、店員さんも持ってこなくていいから、こいつの冗談だから」
店の売り上げに目を光らせた店員さんが奥から在庫をあるだけ持ってきていた。
どう見てもあれ、持ち運べる量じゃねぇ。紫苑ならこの場で平らげることは出来るだろうが、それは他の客の迷惑になる。
なので、申し訳ないが、店員さんには在庫を見せの奥に引っ込ませてもらった。
「もう~なんでよ~。いいじゃん、別に今買ったって」
「よくねぇ。せめて、旅館に着いてからにしろ。荷物持ったままじゃ行動しづらいだろ」
俺はキャリーバックを指差してそう言った。
「ちぇ~」
不満たらたらながらも、紫苑は俺の要求を聞き入れてくれた。
丁度、目の前に来たタクシーに乗り込み、旅館の近くまで送ってもらう。
「ここが、旅館か」
科学技術が発展したこの世界ではデジタル化が進んでいる。
その中でも旅館だけはアナログ。まるで、そこだけ時間が止まっているかの様。
今や旅行先はもっぱらホテル一択のこの時代に旅館が残っているのは温泉街だけ。
逆に言えば、旅館が楽しめるのは温泉街だけと言うことになる。
利便性から言えば、圧倒的にホテルの方が優位なのだが、雰囲気を楽しみたい人たちにとっては旅館も捨てがたいものらしい。
ちなみに今日泊まる旅館を決めたのは俺たちではない。元々行く予定だったクロエさんが事前に予約していた。
そう言えば、ペアチケットだったな。クロエさんは誰と行く予定だったんだ? もしかして、彼氏?
いそうっちゃいそうではあるな。美人だし。どんな人なんだろうか? やっぱり、どっかの会社の社長さんとか? あり得そうだな。
ここの旅館は雰囲気がとてもいいが、客を絞っているらしい。と言うか、客間が少ないらしい。お偉いさん方がお忍びで来る隠れスポット的旅館なんだとか(ネット調べ)。
クロエさんもお忍びデートする予定だったのかもしれない。
そう思うと、入院することになったのはご愁傷様としか言えない。
仕方がない。ここはこれなくなったクロエさんの分まで楽しんでやるか。
旅館に入ると部屋まで仲居さんに案内してもらった。
「うぉ! ひっっっろ!」
案内されたのは10畳ほどの部屋が2つある二間大部屋客室というものだった。
当然、バス(温泉)・トイレ付きである。
どう考えても2人で泊まる広さじゃない。流石、お偉いさんのお忍びスポットと言ったところか。
旅館自体大きいと感じたが、他の部屋もこの広さなら一度に入る客の数には限りがあるのにも納得が行く。
1つの階に客間は確か、4つ。2階建てだから、全部で8つか。少ないな。
人目に付きたくない人たちにとってはありがたいんだろうな。
そんなことを思いながら、荷物を開け、客室を過ごしやすい環境に変えていく。
「私、そっちの部屋がいい!」
「荷物開けてから言うなや。てか、どっちも変わらんだろ」
「えぇ~でもそっちの方がちょっと広そう」
「いや、同じだから……。俺はこの後、温泉に行くつもりだがお前はどうする?」
「伊織が部屋変わってくれたら一緒に行く」
「じゃあ、お前は客室の温泉で我慢しろ、ばいばい」
「あ。待って! ウソウソ! 私も行く!」
「それなら最初から正直にそう言えや」
つっても、この旅館は混浴じゃないから一緒に行く意味はあんまりないんだけどな。
温泉に行く準備を済ませた俺たちは一緒に1階にある温泉に向かう。
「温泉なんて久しぶりだな~。何年ぶりだろ。3年?」
「あれじゃね、お前は学生の時、修学旅行行ったじゃん。それだろ?」
「あ、そうだそうだ。じゃあ、大体3年だ。あってる。……え、待って。修学旅行ってもうそんなに前なの? ウソ……歳を感じた……。私、おばあちゃんかも……」
「アホか」
「誰がアホじゃー! ……ん?」
怒ったかと思ったら、急に後ろを振り向く紫苑。
「なんだー忘れものかー?」
「うんん、今、誰かの気配感じた」
「お前のファンかもな。せいぜい風呂覗かれないように気を付けろー」
俺はそう言い残し、男湯の方に入っていく。
「あ、それってもしかして、伊織がお風呂覗くフラグ?」
最後にそんなアホみたいなこと言ってるのが聞こえたが、あえて無視した。
何が悲しくてお前の入浴シーンを覗かなきゃいけないんだ。女優やアイドルが入ってるなら、覗くのもやぶさかでないが。
電車で1時間ちょっと。
旅行にしては近い気もするが、俺にとっては初めてなので丁度いい。
「おお!!! ラスクにプリン! あの、これ全部下さい」
箱根に着いたばかりなのに、紫苑は既にお土産屋さんで買い漁っていた。
「待て待て待て。はぇよ。着いたばっかだぞ、お土産買うには早すぎるだろ」
俺は店の在庫を全て買い上げようとしていた紫苑の首根っこを掴んで止める。
「何言ってるの? これはお土産じゃなくて、今食べるの。おやつだよ?」
「おやつだよ? で、買う量じゃねぇ! ああ、店員さんも持ってこなくていいから、こいつの冗談だから」
店の売り上げに目を光らせた店員さんが奥から在庫をあるだけ持ってきていた。
どう見てもあれ、持ち運べる量じゃねぇ。紫苑ならこの場で平らげることは出来るだろうが、それは他の客の迷惑になる。
なので、申し訳ないが、店員さんには在庫を見せの奥に引っ込ませてもらった。
「もう~なんでよ~。いいじゃん、別に今買ったって」
「よくねぇ。せめて、旅館に着いてからにしろ。荷物持ったままじゃ行動しづらいだろ」
俺はキャリーバックを指差してそう言った。
「ちぇ~」
不満たらたらながらも、紫苑は俺の要求を聞き入れてくれた。
丁度、目の前に来たタクシーに乗り込み、旅館の近くまで送ってもらう。
「ここが、旅館か」
科学技術が発展したこの世界ではデジタル化が進んでいる。
その中でも旅館だけはアナログ。まるで、そこだけ時間が止まっているかの様。
今や旅行先はもっぱらホテル一択のこの時代に旅館が残っているのは温泉街だけ。
逆に言えば、旅館が楽しめるのは温泉街だけと言うことになる。
利便性から言えば、圧倒的にホテルの方が優位なのだが、雰囲気を楽しみたい人たちにとっては旅館も捨てがたいものらしい。
ちなみに今日泊まる旅館を決めたのは俺たちではない。元々行く予定だったクロエさんが事前に予約していた。
そう言えば、ペアチケットだったな。クロエさんは誰と行く予定だったんだ? もしかして、彼氏?
いそうっちゃいそうではあるな。美人だし。どんな人なんだろうか? やっぱり、どっかの会社の社長さんとか? あり得そうだな。
ここの旅館は雰囲気がとてもいいが、客を絞っているらしい。と言うか、客間が少ないらしい。お偉いさん方がお忍びで来る隠れスポット的旅館なんだとか(ネット調べ)。
クロエさんもお忍びデートする予定だったのかもしれない。
そう思うと、入院することになったのはご愁傷様としか言えない。
仕方がない。ここはこれなくなったクロエさんの分まで楽しんでやるか。
旅館に入ると部屋まで仲居さんに案内してもらった。
「うぉ! ひっっっろ!」
案内されたのは10畳ほどの部屋が2つある二間大部屋客室というものだった。
当然、バス(温泉)・トイレ付きである。
どう考えても2人で泊まる広さじゃない。流石、お偉いさんのお忍びスポットと言ったところか。
旅館自体大きいと感じたが、他の部屋もこの広さなら一度に入る客の数には限りがあるのにも納得が行く。
1つの階に客間は確か、4つ。2階建てだから、全部で8つか。少ないな。
人目に付きたくない人たちにとってはありがたいんだろうな。
そんなことを思いながら、荷物を開け、客室を過ごしやすい環境に変えていく。
「私、そっちの部屋がいい!」
「荷物開けてから言うなや。てか、どっちも変わらんだろ」
「えぇ~でもそっちの方がちょっと広そう」
「いや、同じだから……。俺はこの後、温泉に行くつもりだがお前はどうする?」
「伊織が部屋変わってくれたら一緒に行く」
「じゃあ、お前は客室の温泉で我慢しろ、ばいばい」
「あ。待って! ウソウソ! 私も行く!」
「それなら最初から正直にそう言えや」
つっても、この旅館は混浴じゃないから一緒に行く意味はあんまりないんだけどな。
温泉に行く準備を済ませた俺たちは一緒に1階にある温泉に向かう。
「温泉なんて久しぶりだな~。何年ぶりだろ。3年?」
「あれじゃね、お前は学生の時、修学旅行行ったじゃん。それだろ?」
「あ、そうだそうだ。じゃあ、大体3年だ。あってる。……え、待って。修学旅行ってもうそんなに前なの? ウソ……歳を感じた……。私、おばあちゃんかも……」
「アホか」
「誰がアホじゃー! ……ん?」
怒ったかと思ったら、急に後ろを振り向く紫苑。
「なんだー忘れものかー?」
「うんん、今、誰かの気配感じた」
「お前のファンかもな。せいぜい風呂覗かれないように気を付けろー」
俺はそう言い残し、男湯の方に入っていく。
「あ、それってもしかして、伊織がお風呂覗くフラグ?」
最後にそんなアホみたいなこと言ってるのが聞こえたが、あえて無視した。
何が悲しくてお前の入浴シーンを覗かなきゃいけないんだ。女優やアイドルが入ってるなら、覗くのもやぶさかでないが。
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