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私の魔法
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「一応確認だけど、ヘイヴィアはあのドラゴンは出せないんだよね」
「そうだな。あれは眷属とは言っても一応契約関係にあるんだ。で、契約条件の一つに月に一度しか呼ぶことを許されていないってのがある」
カルデネの地底都市で見たドラゴンがいれば心強かったんだけど、そう上手くはいかないよね。
「分かった。じゃあ、私が隙を作る。だから、ゼルはその隙を見逃さないで。ヘイヴィアはそのアシスト。喧嘩はなしだからね」
「任せろ。おい、クソゴブリン。俺がアシストしてやるんだ。必ず決めろよ」
「ったりめぇだ、土塊野郎。必ず決めてやる」
私たちは三人とも顔を合わせ、首を縦に振る。
「いくぞ!」
その合図と共に、土の盾を解除する。
「出てきたか。文字通り、光の速さで殺してやる」
ジェイドは土の盾が消えたのを確認し、私たち目掛けて光の剣を放つ。
「これが私の魔法!」
私は両手を前に出して、全魔力を解放する。
そして、私とジェイドの間にそれは形成される。
「“イヴリアの水晶”!」
私の魔法属性、それはガラス。
ジェイドの攻撃線上に巨大なガラスの球体を生成する。
そして、光の剣はその水晶の中に入っていく。
「光を反射するつもりか? だが、ガラスでは……」
そう。空気中からガラスに入ってくる光は全て反射することはなく、そのまま通過してしまう。
けど、一度ガラスの中に入れてしまえば、中から空気中に出ようとする光は角度次第で全反射することが可能。
つまり……。
「なに!?」
光の剣は私が作った水晶の中を乱反射し、そしてジェイドの元へと跳ね返っていく。
これが私の属性が家族から嫌われている理由だ。
ルクスリア家の象徴たる光魔法を屈折させる属性。だから、家族は私が魔法を使うところを見るのを嫌う。
私もそのせいで、あまり人前で魔法を使うことはなかった。
けど、私はこの魔法を綺麗だと思っていた。
いつか家族にも受け入れられてほしい。そう思って、陰ながら魔法の特訓はしてきた。
まだ粗削りだけど、今の私に出来る最高の魔法。
「っ!」
攻撃の反射を予期したジェイドはすぐさま光魔法の高速移動で回避する。
「俺の攻撃を全て反射させただと? 理論上は可能だろうが、その為には即座に俺の攻撃の角度を見極め、ガラスを生成する必要がある。……まさか、魔法発動を先読みしたと言うのか? だが、それには高い魔力感知が必要だ。あんな小娘に出来る芸当では……」
ジェイドの言う通り、光魔法を綺麗に跳ね返すには入射角が重要となってくる。
だから、私は家族の光魔法を見て、独学で会得したのだ。
魔力感知による、魔法の先読みを。
「っく、小娘だと油断したか。だが、次はない」
魔法を跳ね返されたことが気に食わなかったのか、ジェイドの意識は私に向いていた。
それだけで充分。
「天導流特式、一ノ型……」
「なっ!」
私が作った隙を見逃さず、ゼルはジェイドのすぐ傍まで迫っていた。
ジェイドは一瞬遅れて気が付いたが、いくら光魔法でももう間に合わない。
ヘイヴィアは砂を操り、ゼルの双剣に纏わせ、そのリーチを長くする。
「決めろ……クソゴブリン」
ゼルとヘイヴィアの合体技がジェイドを襲う。
「“砂塵の剣撃(デザート・テンペスト)”!」
「ぐあああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」
双剣の二連続攻撃に、砂嵐の追加攻撃を食らったジェイドは空中へ舞い上がり、そして、祭壇の上へと落下した。
「か、勝った……」
安堵したせいか、足に力が入らず私はその場にへたり込んでしまった。
ジェイドが起き上がってくる様子もなく、私たちの完全勝利と言っていいだろう。
「しゃっ!」
ゼルは勝利宣言とばかりに右拳を突き上げた。
「そうだな。あれは眷属とは言っても一応契約関係にあるんだ。で、契約条件の一つに月に一度しか呼ぶことを許されていないってのがある」
カルデネの地底都市で見たドラゴンがいれば心強かったんだけど、そう上手くはいかないよね。
「分かった。じゃあ、私が隙を作る。だから、ゼルはその隙を見逃さないで。ヘイヴィアはそのアシスト。喧嘩はなしだからね」
「任せろ。おい、クソゴブリン。俺がアシストしてやるんだ。必ず決めろよ」
「ったりめぇだ、土塊野郎。必ず決めてやる」
私たちは三人とも顔を合わせ、首を縦に振る。
「いくぞ!」
その合図と共に、土の盾を解除する。
「出てきたか。文字通り、光の速さで殺してやる」
ジェイドは土の盾が消えたのを確認し、私たち目掛けて光の剣を放つ。
「これが私の魔法!」
私は両手を前に出して、全魔力を解放する。
そして、私とジェイドの間にそれは形成される。
「“イヴリアの水晶”!」
私の魔法属性、それはガラス。
ジェイドの攻撃線上に巨大なガラスの球体を生成する。
そして、光の剣はその水晶の中に入っていく。
「光を反射するつもりか? だが、ガラスでは……」
そう。空気中からガラスに入ってくる光は全て反射することはなく、そのまま通過してしまう。
けど、一度ガラスの中に入れてしまえば、中から空気中に出ようとする光は角度次第で全反射することが可能。
つまり……。
「なに!?」
光の剣は私が作った水晶の中を乱反射し、そしてジェイドの元へと跳ね返っていく。
これが私の属性が家族から嫌われている理由だ。
ルクスリア家の象徴たる光魔法を屈折させる属性。だから、家族は私が魔法を使うところを見るのを嫌う。
私もそのせいで、あまり人前で魔法を使うことはなかった。
けど、私はこの魔法を綺麗だと思っていた。
いつか家族にも受け入れられてほしい。そう思って、陰ながら魔法の特訓はしてきた。
まだ粗削りだけど、今の私に出来る最高の魔法。
「っ!」
攻撃の反射を予期したジェイドはすぐさま光魔法の高速移動で回避する。
「俺の攻撃を全て反射させただと? 理論上は可能だろうが、その為には即座に俺の攻撃の角度を見極め、ガラスを生成する必要がある。……まさか、魔法発動を先読みしたと言うのか? だが、それには高い魔力感知が必要だ。あんな小娘に出来る芸当では……」
ジェイドの言う通り、光魔法を綺麗に跳ね返すには入射角が重要となってくる。
だから、私は家族の光魔法を見て、独学で会得したのだ。
魔力感知による、魔法の先読みを。
「っく、小娘だと油断したか。だが、次はない」
魔法を跳ね返されたことが気に食わなかったのか、ジェイドの意識は私に向いていた。
それだけで充分。
「天導流特式、一ノ型……」
「なっ!」
私が作った隙を見逃さず、ゼルはジェイドのすぐ傍まで迫っていた。
ジェイドは一瞬遅れて気が付いたが、いくら光魔法でももう間に合わない。
ヘイヴィアは砂を操り、ゼルの双剣に纏わせ、そのリーチを長くする。
「決めろ……クソゴブリン」
ゼルとヘイヴィアの合体技がジェイドを襲う。
「“砂塵の剣撃(デザート・テンペスト)”!」
「ぐあああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」
双剣の二連続攻撃に、砂嵐の追加攻撃を食らったジェイドは空中へ舞い上がり、そして、祭壇の上へと落下した。
「か、勝った……」
安堵したせいか、足に力が入らず私はその場にへたり込んでしまった。
ジェイドが起き上がってくる様子もなく、私たちの完全勝利と言っていいだろう。
「しゃっ!」
ゼルは勝利宣言とばかりに右拳を突き上げた。
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