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2-2 そっち方面でも成長してしまった王子様。
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「は、早かったね……」
「………ああ。用事が早く終わって……なんだその服」
口をひくつかせる俊に気のない返事をした後、クレイグがおもむろに近づいてくる。なぜかしかめ面をしている彼に思わず後ずさりするも、腕を掴まれた。
受勲式にも着ていた王宮から支給された聖騎士の制服は、相変わらず赤面するほどクレイグに似合っている。
異世界然としたクレイグを前にして、野暮ったいスーツを着ている自分がさらに居たたまれなくなった。
「こ、これは前の世界の服で、召喚されたときに着てたやつ。こないだシュバイツアーから返してもらって、暇つぶしに着てみただけで、コスプレとかじゃなくて、ただ懐かしいなって」
クレイグの威圧感のためか、お母さんにエロ本が見つかった男子高校生並みに慌ててしまう。そんな俊を尻目に、クレイグの視線はスーツに固定されたままだ。
「えっと、早めに夕飯行く? すぐ着替えるし、少し待ってて……」
クレイグに背中を向け、脱ごうとするも焦りのためかネクタイが上手くほどけない。二度目の「待って」を言う前に、背後から抱きすくめられた。
「な、何…っ! んっ…」
後ろを向かされ、口をふさがれる。
目を白黒させていると閉じたままだった口端に指を突っ込まれ、無理やり開いたそこに舌が入ってきた。
「っ、ん、っ……」
奥に引っ込んでいた舌が引きだされ、互いのものが絡む。ぢゅ、と音を立てて吸われて背中があわたった。
この感じには覚えがありすぎる。これは絶対にキスだけでは終わらない。
一体どうしたのだろう。
まさかのスーツフェチだとでもいうのか。などとクレイグの変貌ぶりにバカなことを考えていたら、予想どおりクレイグは口を解放すると、俊のワイシャツをスラックスから引き出し手を侵入させた。
臍を通り、胸を撫でて敏感な突起を刺激する。
姿見の真正面にいるせいで、後ろから襲われている姿をはっきりと見せつけられる。
「あ、っ…、夕飯に行くんじゃ」
もっともな非難の言葉は途中で止まった。
鏡の中の金の瞳と目が合う。俊の首筋を舌でなぞりながらこちらを見る視線は、ありありと熾烈な感情を宿している。情欲と、あと一つは……。
「面白れぇ形してんな」
ネクタイのノットを難なく解いた長い指は、続けてワイシャツのボタンを上から順に外していく。
白いシャツから肩が露出しクレイグはそこに薄い唇を寄せた。は、と濡れた吐息が素肌にかかり、一気に腰が重くなった。
「っあ! あ、やっ!」
スラックスの上から一番敏感な場所を握られて、体の芯が痺れる。
数回擦られただけでそこは完全に立ち上がってしまった。
ぐ、と後ろから腰に押し付けられた硬い感覚でクレイグも同じ状態なことが分かった。
「ちょ、………っと待って! 先にお風呂に入らせて」
汗をかいたままでは恥ずかしい。台詞に嘘はない。だがなんだか普段のクレイグらしくないし、一旦離れれば冷静になるだろうと提案した。
期待どおりクレイグの動きが止まった。
ほっとした次の瞬間、クレイグが、ふ、と息を吐いた。金色の柔らかい風が全身をめぐり、入浴後のようにどこもかしこもはすっきりしてしまった。
「これで良いだろ」
目を丸くしていると、クレイグが得意げに目を眇めた。
こちらの思惑など全てお見通しのようだった。
しかも足の爪先から耳の裏まで、どこにも不快感が残っていないのだ。清めの術の発動条件を思い出した俊は、真っ赤になった。
「そうだった……クレイグにはこれがあったんだった……。って、待って…っん!」
目論見が失敗に終わるも、後悔に浸らせてくれる気はないらしい。
鏡に映る俊のシャツはもう全開で、クレイグの大きな手が無遠慮に肌の上を這っていく。俊が見ている前で、腰のベルトが解かれ直接性器に触れられる。
ひときわ大きな声を上げて俊は目をつむった。
「ここで何されてるか見ながらすんのと、ベッドの上、どっちが良い?」
「っ――!」
湿度を増した低い声にぞくりと背中が震えた。
いつの間に言葉責めなんて覚えたのか。そんな悪態は自身の嬌声にもみ消された。
直に刺激されている場所からぐちゃぐちゃと音が立って、視界を遮断した意味もなかった。
「あ、もう立ってられな……、あ、ンん!」
スラックスと下穿きが床に落ち、後孔を指がなぞる。
前に倒れ壁に埋め込まれた鏡に手をつくと、熱に浮かされた自分の顔が目に入る。後ろから覆いかぶさる聖騎士も。
こんなの、見ていられない。
「っ……で」
「ん?」
真っ赤になっている耳を甘噛みされ、催促される。俊は震えるまま、口を開いた。
「ベッドが良い……」
「っ、…了解」
こく、と喉を鳴らしたクレイグが俊を抱き上げた。
「………ああ。用事が早く終わって……なんだその服」
口をひくつかせる俊に気のない返事をした後、クレイグがおもむろに近づいてくる。なぜかしかめ面をしている彼に思わず後ずさりするも、腕を掴まれた。
受勲式にも着ていた王宮から支給された聖騎士の制服は、相変わらず赤面するほどクレイグに似合っている。
異世界然としたクレイグを前にして、野暮ったいスーツを着ている自分がさらに居たたまれなくなった。
「こ、これは前の世界の服で、召喚されたときに着てたやつ。こないだシュバイツアーから返してもらって、暇つぶしに着てみただけで、コスプレとかじゃなくて、ただ懐かしいなって」
クレイグの威圧感のためか、お母さんにエロ本が見つかった男子高校生並みに慌ててしまう。そんな俊を尻目に、クレイグの視線はスーツに固定されたままだ。
「えっと、早めに夕飯行く? すぐ着替えるし、少し待ってて……」
クレイグに背中を向け、脱ごうとするも焦りのためかネクタイが上手くほどけない。二度目の「待って」を言う前に、背後から抱きすくめられた。
「な、何…っ! んっ…」
後ろを向かされ、口をふさがれる。
目を白黒させていると閉じたままだった口端に指を突っ込まれ、無理やり開いたそこに舌が入ってきた。
「っ、ん、っ……」
奥に引っ込んでいた舌が引きだされ、互いのものが絡む。ぢゅ、と音を立てて吸われて背中があわたった。
この感じには覚えがありすぎる。これは絶対にキスだけでは終わらない。
一体どうしたのだろう。
まさかのスーツフェチだとでもいうのか。などとクレイグの変貌ぶりにバカなことを考えていたら、予想どおりクレイグは口を解放すると、俊のワイシャツをスラックスから引き出し手を侵入させた。
臍を通り、胸を撫でて敏感な突起を刺激する。
姿見の真正面にいるせいで、後ろから襲われている姿をはっきりと見せつけられる。
「あ、っ…、夕飯に行くんじゃ」
もっともな非難の言葉は途中で止まった。
鏡の中の金の瞳と目が合う。俊の首筋を舌でなぞりながらこちらを見る視線は、ありありと熾烈な感情を宿している。情欲と、あと一つは……。
「面白れぇ形してんな」
ネクタイのノットを難なく解いた長い指は、続けてワイシャツのボタンを上から順に外していく。
白いシャツから肩が露出しクレイグはそこに薄い唇を寄せた。は、と濡れた吐息が素肌にかかり、一気に腰が重くなった。
「っあ! あ、やっ!」
スラックスの上から一番敏感な場所を握られて、体の芯が痺れる。
数回擦られただけでそこは完全に立ち上がってしまった。
ぐ、と後ろから腰に押し付けられた硬い感覚でクレイグも同じ状態なことが分かった。
「ちょ、………っと待って! 先にお風呂に入らせて」
汗をかいたままでは恥ずかしい。台詞に嘘はない。だがなんだか普段のクレイグらしくないし、一旦離れれば冷静になるだろうと提案した。
期待どおりクレイグの動きが止まった。
ほっとした次の瞬間、クレイグが、ふ、と息を吐いた。金色の柔らかい風が全身をめぐり、入浴後のようにどこもかしこもはすっきりしてしまった。
「これで良いだろ」
目を丸くしていると、クレイグが得意げに目を眇めた。
こちらの思惑など全てお見通しのようだった。
しかも足の爪先から耳の裏まで、どこにも不快感が残っていないのだ。清めの術の発動条件を思い出した俊は、真っ赤になった。
「そうだった……クレイグにはこれがあったんだった……。って、待って…っん!」
目論見が失敗に終わるも、後悔に浸らせてくれる気はないらしい。
鏡に映る俊のシャツはもう全開で、クレイグの大きな手が無遠慮に肌の上を這っていく。俊が見ている前で、腰のベルトが解かれ直接性器に触れられる。
ひときわ大きな声を上げて俊は目をつむった。
「ここで何されてるか見ながらすんのと、ベッドの上、どっちが良い?」
「っ――!」
湿度を増した低い声にぞくりと背中が震えた。
いつの間に言葉責めなんて覚えたのか。そんな悪態は自身の嬌声にもみ消された。
直に刺激されている場所からぐちゃぐちゃと音が立って、視界を遮断した意味もなかった。
「あ、もう立ってられな……、あ、ンん!」
スラックスと下穿きが床に落ち、後孔を指がなぞる。
前に倒れ壁に埋め込まれた鏡に手をつくと、熱に浮かされた自分の顔が目に入る。後ろから覆いかぶさる聖騎士も。
こんなの、見ていられない。
「っ……で」
「ん?」
真っ赤になっている耳を甘噛みされ、催促される。俊は震えるまま、口を開いた。
「ベッドが良い……」
「っ、…了解」
こく、と喉を鳴らしたクレイグが俊を抱き上げた。
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