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自由の魔獣召喚編
なんちゃって決闘の後処理
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「お前なかなか強かったな」
「………はい?」
あの戦闘の後、俺はジャンヌを立たせて言う。
どうやらさっきの一撃で腰が抜けてしまったらしく立てなくなってしまったようだ。なので俺は彼女を支えて立たせてやった。
「強い……? あ、あんなあっさり負けた私が……」
「いや、他の騎士団の団長似たようなもんだったぞ。アンドリューもあんな感じで吹っ飛んだし」
「え!?」
いきなりジャンヌはこっちに振り向いた。その勢いで三つ編みにまとめられた髪が顔に当たって鬱陶しい。
「あ……あの鋼の虎を倒したのですか!!?」
「ああ。というか俺が強すぎて稽古も断られた。これ俺のステータス」
ステータスプレートを見せる。途端ジャンヌだけでなくその場にいた全員が騒ぎ出した。
「な……なんだこの異常なステータスは!?」
「全部が測定不能の上にこの強力なスキル……いったい何者!?」
「たしかにこれな」
俺のプレートを一目見ようと、ワラワラと集まってくる女騎士団たち。
「……やはり、男には勝てないのですね」
「え?なんで?」
「だって、こんなにも貴方と差があるんですもの。これじゃあ勝てるわけないわ……」
プレートを見てジャンヌと女騎士団たちは俯いた。
すごく暗い表情だ。まるで失望したかのような、希望を叩き潰されたかのような。そんな顔だった。
「……勇者リオン様、先ほどまでの無礼、どうかお許しください」
ジャンヌと白薔薇騎士団たちは頭を下げて言った。さっきまでの威勢から嘘のようだ。
「え? ああ……うん。別に怒ってないが……」
いきなり謙虚になった騎士たちに戸惑う俺。そんな俺に構わずコイツらは勝手に話を進めやがった。
「私たち白薔薇騎士団は女ということで冷遇されていました。活躍や実績はトップの黒虎騎士団と同じくらいのはずなのに……!」
「ですから昨日の襲撃でわれらの実力を見せつけることで株を上げようとしましたのですが……」
「それで、昨日当然現れて活躍した俺が気に入らなかったから喧嘩をふっかけたと?」
「………ええ」
更にしおれるジャンヌと女騎士団たち。
「けどよく俺に喧嘩を吹っ掛けようって思ったな。俺の噂聞いてるんだろ?」
「最初は、嘘だと思ってましたの。一人で魔族軍をせん滅したり、ウォーリアトロールを素手で投げ飛ばすなんて……国を活気付けるためのデマだと思ってました」
「活躍の水増しはよくあることですの。黒狐騎士団なんて形だけの騎士団なのに!」
「あいつらはそうや下々の者たちから活躍を取り上げるのよ!」
「騎士として許せませんわ!」
なるほど。つまりぱっと出の俺がプロパガンダとして手柄を水増しされ、他の騎士たちから手柄を横取りしたと早とちり。それで切れて今にあたるというわけか。
「それで、俺の実力は……聞くまでもないか」
「……ええ。これ上いじめないでください」
いや、いじめてるつもりはないんだけど?
「…私たちには夢がありますの」
突然、ジャンヌは自分の夢について語りだした。
おい、何勝手に話を進めてるんだ。俺は聞く気ねえぞ。
そんな俺の思いとは他所に話を進めるジャンヌ。なので馬耳東風に聞き流して要約した。
この国では女とは嫁入りするのがあたりまえであり、自由などない。そんな現状に抗うため彼女はオリヴィア姫さまの騎士団に入った。
しかし、女という理由から他の騎士団よりも冷遇され、チャンスもなかなか与えられない。むしろ騎士団ごっこされて笑われる始末。そんな現状を打破しようとアレコレするも、全て失敗した。
そんなときに俺が登場した。本来ならば自分が担当するはずであった手柄を俺がすべて掻っ攫ってしまい、俺を恨んで今に当たると。
「ふ~ん、そうか」
「え…えぇ……。それだけですか?」
興味なくため息をつく俺にジャンヌは目をぱちくりさせた。
「何をあたりまえのこと言ってるんだ? 俺はお前にさっき会ったばかりなんだぞ。そんな相手の夢や悩み言われても、なんとも言えんぞ」
「そ、それもそうですわね……」
俺はこの国にも民にも姫さまにも興味はない。あの牢獄から出してくれたのには礼を言うがそれだけだ。正直、情報が集まり次第出ていくことも視野に入れている。
「さて、じゃあ調査の続きを再開するか」
「お待ちください勇者さま! いったいどこに行かれるというのですか!?」
俺はいったん止まって答えた。
「お前たち騎士団の実力を測りに」
その後、俺はすべての騎士団の訓練場所に向かい、騎士団団長と決闘。その戦闘力のデータを集めて石板に記してみた。・・・なんだよ、やっぱジャンヌの奴けっこう強いじゃん。
「………はい?」
あの戦闘の後、俺はジャンヌを立たせて言う。
どうやらさっきの一撃で腰が抜けてしまったらしく立てなくなってしまったようだ。なので俺は彼女を支えて立たせてやった。
「強い……? あ、あんなあっさり負けた私が……」
「いや、他の騎士団の団長似たようなもんだったぞ。アンドリューもあんな感じで吹っ飛んだし」
「え!?」
いきなりジャンヌはこっちに振り向いた。その勢いで三つ編みにまとめられた髪が顔に当たって鬱陶しい。
「あ……あの鋼の虎を倒したのですか!!?」
「ああ。というか俺が強すぎて稽古も断られた。これ俺のステータス」
ステータスプレートを見せる。途端ジャンヌだけでなくその場にいた全員が騒ぎ出した。
「な……なんだこの異常なステータスは!?」
「全部が測定不能の上にこの強力なスキル……いったい何者!?」
「たしかにこれな」
俺のプレートを一目見ようと、ワラワラと集まってくる女騎士団たち。
「……やはり、男には勝てないのですね」
「え?なんで?」
「だって、こんなにも貴方と差があるんですもの。これじゃあ勝てるわけないわ……」
プレートを見てジャンヌと女騎士団たちは俯いた。
すごく暗い表情だ。まるで失望したかのような、希望を叩き潰されたかのような。そんな顔だった。
「……勇者リオン様、先ほどまでの無礼、どうかお許しください」
ジャンヌと白薔薇騎士団たちは頭を下げて言った。さっきまでの威勢から嘘のようだ。
「え? ああ……うん。別に怒ってないが……」
いきなり謙虚になった騎士たちに戸惑う俺。そんな俺に構わずコイツらは勝手に話を進めやがった。
「私たち白薔薇騎士団は女ということで冷遇されていました。活躍や実績はトップの黒虎騎士団と同じくらいのはずなのに……!」
「ですから昨日の襲撃でわれらの実力を見せつけることで株を上げようとしましたのですが……」
「それで、昨日当然現れて活躍した俺が気に入らなかったから喧嘩をふっかけたと?」
「………ええ」
更にしおれるジャンヌと女騎士団たち。
「けどよく俺に喧嘩を吹っ掛けようって思ったな。俺の噂聞いてるんだろ?」
「最初は、嘘だと思ってましたの。一人で魔族軍をせん滅したり、ウォーリアトロールを素手で投げ飛ばすなんて……国を活気付けるためのデマだと思ってました」
「活躍の水増しはよくあることですの。黒狐騎士団なんて形だけの騎士団なのに!」
「あいつらはそうや下々の者たちから活躍を取り上げるのよ!」
「騎士として許せませんわ!」
なるほど。つまりぱっと出の俺がプロパガンダとして手柄を水増しされ、他の騎士たちから手柄を横取りしたと早とちり。それで切れて今にあたるというわけか。
「それで、俺の実力は……聞くまでもないか」
「……ええ。これ上いじめないでください」
いや、いじめてるつもりはないんだけど?
「…私たちには夢がありますの」
突然、ジャンヌは自分の夢について語りだした。
おい、何勝手に話を進めてるんだ。俺は聞く気ねえぞ。
そんな俺の思いとは他所に話を進めるジャンヌ。なので馬耳東風に聞き流して要約した。
この国では女とは嫁入りするのがあたりまえであり、自由などない。そんな現状に抗うため彼女はオリヴィア姫さまの騎士団に入った。
しかし、女という理由から他の騎士団よりも冷遇され、チャンスもなかなか与えられない。むしろ騎士団ごっこされて笑われる始末。そんな現状を打破しようとアレコレするも、全て失敗した。
そんなときに俺が登場した。本来ならば自分が担当するはずであった手柄を俺がすべて掻っ攫ってしまい、俺を恨んで今に当たると。
「ふ~ん、そうか」
「え…えぇ……。それだけですか?」
興味なくため息をつく俺にジャンヌは目をぱちくりさせた。
「何をあたりまえのこと言ってるんだ? 俺はお前にさっき会ったばかりなんだぞ。そんな相手の夢や悩み言われても、なんとも言えんぞ」
「そ、それもそうですわね……」
俺はこの国にも民にも姫さまにも興味はない。あの牢獄から出してくれたのには礼を言うがそれだけだ。正直、情報が集まり次第出ていくことも視野に入れている。
「さて、じゃあ調査の続きを再開するか」
「お待ちください勇者さま! いったいどこに行かれるというのですか!?」
俺はいったん止まって答えた。
「お前たち騎士団の実力を測りに」
その後、俺はすべての騎士団の訓練場所に向かい、騎士団団長と決闘。その戦闘力のデータを集めて石板に記してみた。・・・なんだよ、やっぱジャンヌの奴けっこう強いじゃん。
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