かっこいいヤギさん

バナナの人

文字の大きさ
上 下
5 / 8

僕はもうライオンだ

しおりを挟む
「う~。どうしよう……」

 トボトボ。トボトボ。ヤギさんはしょんぼりしていました。
 トラさんに言われてトレーニングしようとヤギさんは思いました。
 けど、ヤギさんはもう強いのです。これ以上鍛えても強くなれません。

「どうすれば……ん?」

 どこからか、誰かが泣いている声が聞こえました。やさしいヤギさんは声のする方に行きます。

「へへへ。ほらもっと泣いてみろ」
「うわーん!」

 向かった先には、いじめられているネズミさんがいました。
 いじめているのはイジワルなハイエナさんです。

「おい何をしている!?」

 ヤギさんは立ち向かいました。
 ライオンさんはいつもハイエナさんをこらしめています、だから、ヤギさんもハイエナさんをこらしめようとしました。

「なんだ? お前ヤギじゃねえか。なんでライオンのマネしてるんだ?」
「ボクはライオンだ! だからボクが君をやっつけてやる!」

 ヤギさんはとても強いです。ハイエナさんよりも強いオオカミさんもヤギさんには勝てません。
 けど、今日のヤギさんは弱かった。

「うわッ!」
「ハハハハ! お前ライオンのくせに弱いな!」

 ヤギさんは角と蹄でたたかってきました。けど今の武器はツメとキバです。
 ツメとキバを使うのは今日が初めてです。なのでうまく使えませんでした。

「えい!」

 ヤギさんはジャンプしました。
 ぴゅーん。ヤギさんはまるで飛んでいるかのうに高く高くジャンプしました。

「卑怯だぞ! 降りてこい!」
「降りてやるよ! お前の顔にね!」

 ドン! ヤギさんの跳び膝蹴りがハイエナさんに当たりました。
 ふっとばされたハイエナさん。そしてドンっと地面に倒されてしまいました。

「う……うう……」

 起き上がったけどヨロヨロです。もうケンカできる元気はありません。

「お…おぼえてろー!」

 ハイエナさんはそう言って逃げました。

「……ボクは強い。強いんだ!」

 ヤギさんはライオンさんみたいに鳴きました。
 ボクは強い。もうライオンになったんだ。ボクはもうライオンなんだ!

「ボクがライオンだ!」
しおりを挟む

処理中です...