ドラゴンナイトになるつもりが魔物ハーレム作っちゃいました

赤ちゃん編

魔力強化使えます

「では坊っちゃま、ディッカは仕事がありますのそろそろ向かいます。そこから動かないで下さいね。って、こんな赤ん坊が動けるはずがありませんね」
「あ～」

　この家の家政婦さん、ディッカさんは俺をかごの中に入れて部屋の中に置いていった。
　大体４０代後半の女性。安そうな草色のＴシャツに安物のスカートを着ている。いかにも平民という感じだ。

　そう、平民だ。

　俺の家系はどうやら貴族であるらしい。
　そう、中世ヨーロッパなどよく聞く貴族だ。爵位や領地の大きさはまだ知らんが、この屋敷の大きさからして相応の地位にいるであろう。

　俺の家が貴族ならばもしや騎士に――ドラゴンナイトに成る為のコネが見つかるかもしれない。
　なんだ、あの女神ちゃんと特典くれたじゃないか。生まれて何度か魔力を使って特典を発動させようとしても何もなかったので騙されたと思ったが、ちゃんと与えてくれたではないか。



　話は変わるがあれから一ヶ月後。俺はやっと寝返りが出来るようになった。
　何分暇な時間が多いせいで、暇を見つけては適度に腕を動かしたり、足を動かしたりしていた。

　首が座ったのは一週間前、顔を挙げられるようになったのは三日前、ハイハイは昨日。そして今日やっと寝返りが出来るようになった。

　今が生後何ヶ月かは知らない。
　意識がハッキリしたのは一ヶ月前。生まれた頃からではない。つまりある程度成長しているのだ。
　しかしそれでも分かる。俺の成長速度が早いと。

　首が座ったり首を挙げられるのは生後三ヶ月、物に手を伸ばせるのは４～６ヶ月頃、寝返りは３～９ヶ月頃だといわれる。
　俺は生後３ヶ月らしい。なのでおかしくはないのだが……。

「よいよ～」

　……その６時間後に一人座りが可能になるのはおかしい。

　どうやら俺は加速的に成長スピードが上がっているらしい。
　心当たりはもちろんある。あの魔力操作だ。

　最近は魔力の質も量も上がり、魔力操作の練度も格段に上がった。それに比例して成長速度も上がっているのだ。

　これは嬉しい誤算だ。このままいけば一歳になれば走ったり跳んだり剣を降ったり出来るかもしれない。
　フッ、これでまたドラゴンナイトの近道ができたな。

「魔力強化わりょぅようあ～」

　力を全身に流して強化。ゆりかごの中から立ち上がって出て行った。

　よし、今からこの屋敷を散歩だ！
　ジャンプしてドアノブに捕まり、扉を開けて出て行った。