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オールスターゲーム

ホームラン競争

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ストラックアウト決勝戦、マクダウェルと天海の一騎打ちは速球VS変化球の対決となった。



天海は得意のバレットで、マクダウェルはチェンジアップ、スライダー、カーブにツーシームと多彩な球種で次々とパネルを射抜く。


共にノーミスで残るはあと1枚。


マクダウェルはド真ん中、天海はインコース低めのパネルを残すのみ。


「ド真ん中を残すとは、随分と頭を使ったピッチングをしやがる」


マクダウェルは余裕の笑みを浮かべた。


「Are you going to throw 100 miles straight again?(次も100マイルのストレートを投げるのかい?)」


コイツが速球なら、オレは変化球で射抜くのみ。


マウンドに立ち、左腕をグルグル回した。


「Take a good look, Barrett Boy.(よく見とけよ、バレットボーイ)」


マクダウェルが9球目を投げた。


高さは十分だが、コースはインコースのボールゾーンだ。


「あっ、曲がった!」


天海が声を上げた。


インコースに外れたと思ったボールは、フリスビーの様にグーンと外に曲がり、ド真ん中のパネルをぶち抜いた。


「何だ、あのスライダーは?」


「あそこから急激に曲がったぞ」


「何つー変化しやがるんだ…」

両軍のベンチから驚きの声が上がる。


最後は大きく曲がるスライダーで見事ド真ん中のパネルを当てた。


マクダウェルは3回連続パーフェクトという偉業を達成。


場内は物凄い歓声に包まれた。


      
「随分とまぁ、えげつない曲がりをするスライダーやな…」


「I achieved perfection.
Will you be able to achieve the perfect score?(オレはパーフェクト達成した。
お前もパーフェクト達成出来るか?)」


そう言うと、マウンドを天海に譲った。


「オモロいやないか…次もバレットで決めたるわい」


天海の目付きが変わった。


残るはインコース低めのパネル。


大きく深呼吸をして、ボールに念を送る。


(ヨシ、これで決める!)


試合さながらのフォームで9球目を投げた。


文字通り弾丸の様な速い球が唸りを上げて、一直線にインコースへ。


凄まじい速さでインコース低めのパネルをぶち抜き、パーフェクト達成となった。


【両者パーフェクト達成じゃん!】


【はぁ…スゲーな、2人とも】


【この勝負どうなるんだ?】


2人ともパーフェクト達成だ。


この場合どうなるのか、審判団が集まり論議を展開するが、お互いパーフェクトで勝敗がつかない。


どちかがミスをするまでのサドンデス方式で勝敗を決めようと話し合ったが、試合を翌日に控えている状態では難しい。


色々と話し合った結果、両者優勝という事でストラックアウトは幕を閉じた。

「何や、どっちかがミスるまで投げるんじゃないのか」

やや拍子抜けした表情で優勝賞金100万円をゲットした。


マクダウェルも優勝賞金のボードを手にし、些か不満な表情を浮かべる。




ストラックアウトの後は、恒例のホームラン競争となった。

出場者は、ネプチューンリーグでは羽田、仙道、白石、吉川、比嘉、吉岡、ロドリゲス、棚橋の8人。

アポロリーグでは、鬼束、斐川、上田、ボーン、陽凪、西口、横山、高橋の8人。


ホームラン競争もストラックアウト同様トーナメント制で対決し、数多くホームランを打った選手が勝ち進む。


第1ラウンド初戦はパイレーツの鬼束対99ersの比嘉。


ホームランバッターというより、中距離ヒッターの比嘉には不利な対決だが、独特のスコーピオン打法で鋭い当たりをスタンドに叩き込む。


レフトからライトまで広角に打ち分け、10球中8本をスタンドに叩き込んだ。


対する鬼束はトレードマークの神主打法に凄みを増したバッティングでポンポンとスタンドに運ぶ。


しっかりポイントで捕え、ミスショットをする気配もない。


「スゲ…鬼束さんパーフェクトだぜ」


唐澤が驚くほどのカンペキなスイングで鬼束はパーフェクト達成。

第2ラウンド進出となった。


2試合目はドジャース斐川対吉岡の一戦。


吉岡の顔を見るなり、斐川は開口一番、


「テメーのせいで、去年は棒に振ったじゃねぇかよ!
いいか、この競争オレが勝つ!
テメーは一本もホームラン打つんじゃねえぞ!
もし打ったら…どうなるか分かってるよな?」


吉岡に脅しをかけた。


斐川はチームメイト時代、吉岡の吃音症をからかい、執拗にパワハラを繰り返していた。


その事がバレ、斐川は無期限の二軍降格で去年はシーズンを棒に振った。


「え、で、でも…きょ、今日はオールスターだし…そ、そんな事出来なぃ…」


「あぁ?何だって?テメー、オレに逆らおうってのか?」


すると、ベンチから降谷を筆頭に唐澤、中山、片山、そして去年までのチームメイト結城までが揃って打席に向かう。


「オイオイ、斐川くんよぉ…テメー、またタケルに何か吹き込んだな、コラ」

降谷が斐川の肩に手を回す。


傍から見れば、かつてのチームメイトと談笑しているようにも見える。


「斐川さん、アンタそんな姑息な手を使って勝とうとしてるのか?」

唐澤がもう片方の肩に手を回す。


「アポロリーグを代表するバッターがそんな卑怯な事していいのかよ、うん?」


「こんな事がバレたら、今度は球界追放じゃないのか、なぁ斐川くん」


中山と片山は前後を挟むように斐川を囲む。


「斐川くん…キミがもし卑怯なマネをしたら…ボクはキミを絶対に許さない…」


ヤンキーモードの結城がドスの効いた声で脅しをかける。


「ハ、ハハハ…い、イヤだなぁ…こんな場所でそんなみっともない事するわけ無いじゃないすか!
吉岡と会うのが久しぶりだから、軽く挨拶しただけですって!」


引きつった表情で弁解する。


「へぇ~、挨拶っすか!それにしては、随分と凄んだ顔してましたね?」


唐澤が突っ込む。


「凄むって…そんな事してないってば!」


「よく言うぜ、コイツに一本もホームラン打つんじゃねぇって言ってたクセに」


「う、嘘だ!そんな事言ってないって!」


片山は読唇術の心得がある。

口の動きで何を言ってるのか丸分かりだ。


「一本もホームラン打つなってか…じゃあ、オメーが一本でもホームラン打ったら…オレたちは何をしようかな…」


降谷は耳元でボソッと囁いた。


「お、おい…冗談だろ?止めてくれよ、頼むよ…」

斐川はビビる。


「今までそうやって吉岡さんに酷い事やってきたんだろ?
だったら、今度はアンタがその報いを受けるんだな」


唐澤は意地の悪い笑顔を浮かべた。


「…っ!わ、悪かったよ…オレが悪かった、だから勘弁してくれっ!」


結局、斐川は一本も柵越出来ずに敗退となった。


吉岡は持ち前の長打力で9本スタンドに運び、第2ラウンド進出となった。
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