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オールスター投票
チーム改善
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財前の改善策は打順にまで及ぶ。
これまでリードオフマンとしてリーグトップの23盗塁を記録する藤村を下位打線に置いて、メジャーで新人王を獲得した中山をトップに据えた。
2番には昨年MVPの唐澤を置き、ミート力と出塁率、そして走塁の上手い左右のヒットメーカーで相手ピッチャーにプレッシャーを与える打順に変更。
3番には森高、4番は天性の長打に加え、逆方向にも打てる柔軟なバッティングを併せ持つ吉岡を置き、5番には成長著しい徳川、6番は自身がポイントゲッターとして入る。
7番はミートの上手い石川、8番は長打の毒島、ラストバッターは藤村と武藤を併用する作戦で巻き返しをはかる。
歴代最多安打を記録し、天才と称された櫻井だが、財前は以前から櫻井の采配に疑問を持っていた。
ピッチャーの起用法、打順や選手交代のタイミングが悪く、勝てる試合を何度も落とした。
「確かに監督(櫻井)はスゲー選手だったし、采配も決して悪くは無いんだが、なんつーか…選手の特徴を生かした采配じゃないんだよなぁ」
財前は何度も中田ヘッドコーチにその事を洩らしていた。
「ヒロトだって人間なんだよ、それに采配に正解なんて無いんだからな」
中田は櫻井を庇うが、本音は財前と同じ考えだ。
「めちゃくちゃな采配なら、去年日本一にはならないだろ」
「あれは采配というより、選手に恵まれていたからだろ!それに比べて、今年はチサト(結城)もマコト(鬼束)もいないし、思いっきり戦力ダウンしてるじゃん」
「そうだよなぁ…去年までは結城というチームリーダーがいたせいか、チームの雰囲気も良かったし、結束力だってあったよな」
「そうか、今のチームに足りないのはチームリーダー的な存在がいない事か」
思いついたように財前が言う。
「誰がリーダーをやるかって言ったら…やっぱり、実績から見ても唐澤じゃないかな」
「トーマ?いやぁ、アイツはチームリーダーってタイプじゃねぇだろ。
どっちかって言うと、孤高の天才ってタイプじゃん?」
年齢的にも、実績から見ても、生え抜きの唐澤が一番相応しいのだが、唐澤は皆を引っ張るタイプではなく、一人で我が道を行くタイプだ。
とてもチームリーダーなんて無理だと財前は思った。
「んじゃ、他に誰がいるよ?森高や石川はまだ若いし、吉岡はあの通り吃音症でコミュ障じゃないか。
毒島はお調子者だし…」
つまりはチームリーダーに相応しい人材がいないという事だ。
「アイツは?カズト(中山)なら、チームを引っ張れそうじゃん」
「だって、アイツは来年ウチにいるかどうか分からないだろ?
またメジャーに戻るかもしれないじゃないか」
中山は1年契約でGlanzに入団した。
まだ明言してないが、来年はメジャーに戻るだろうという見方が多い。
「いいじゃん、今年限りだって!アイツをチームリーダーにして、トーマをサブリーダーに置けば、トーマも少しはリーダーとしての心構えを勉強出来るんだし」
「ホントはお前がチームリーダーに一番相応しいんだけどな」
「監督代行やって、オマケにチームリーダーなんてムリだってば!
その点、カズトはメジャーでの経験もあるし、年齢的にもリーダーに相応しいじゃん」
「お前だってメジャーの経験あるだろ」
「だったら、アンタが監督代行やってくれよ!
そうすりゃ、オレはリーダーやるから」
「冗談だよ、冗談!確かに中山が一番相応しいかもな」
そんなワケで、中山が急遽チームリーダーに就任した。
チームの改革を行ったせいなのか、Glanzは息を吹き返したように連勝を続け、東地区最下位だった順位はあっという間にトップのマーリンズに僅か0.5ゲーム差にまで縮めて2位に返り咲いた。
そしてオールスター投票の最終結果が発表された。
Glanzからは、野手では唐澤、森高、中山に監督推薦で吉岡が選ばれ、投手では中邑、片山、マクダウェル、降谷が出場。
明日はキングダムの本拠地、東京ボールパークで年に一度の祭典が行われる。
これまでリードオフマンとしてリーグトップの23盗塁を記録する藤村を下位打線に置いて、メジャーで新人王を獲得した中山をトップに据えた。
2番には昨年MVPの唐澤を置き、ミート力と出塁率、そして走塁の上手い左右のヒットメーカーで相手ピッチャーにプレッシャーを与える打順に変更。
3番には森高、4番は天性の長打に加え、逆方向にも打てる柔軟なバッティングを併せ持つ吉岡を置き、5番には成長著しい徳川、6番は自身がポイントゲッターとして入る。
7番はミートの上手い石川、8番は長打の毒島、ラストバッターは藤村と武藤を併用する作戦で巻き返しをはかる。
歴代最多安打を記録し、天才と称された櫻井だが、財前は以前から櫻井の采配に疑問を持っていた。
ピッチャーの起用法、打順や選手交代のタイミングが悪く、勝てる試合を何度も落とした。
「確かに監督(櫻井)はスゲー選手だったし、采配も決して悪くは無いんだが、なんつーか…選手の特徴を生かした采配じゃないんだよなぁ」
財前は何度も中田ヘッドコーチにその事を洩らしていた。
「ヒロトだって人間なんだよ、それに采配に正解なんて無いんだからな」
中田は櫻井を庇うが、本音は財前と同じ考えだ。
「めちゃくちゃな采配なら、去年日本一にはならないだろ」
「あれは采配というより、選手に恵まれていたからだろ!それに比べて、今年はチサト(結城)もマコト(鬼束)もいないし、思いっきり戦力ダウンしてるじゃん」
「そうだよなぁ…去年までは結城というチームリーダーがいたせいか、チームの雰囲気も良かったし、結束力だってあったよな」
「そうか、今のチームに足りないのはチームリーダー的な存在がいない事か」
思いついたように財前が言う。
「誰がリーダーをやるかって言ったら…やっぱり、実績から見ても唐澤じゃないかな」
「トーマ?いやぁ、アイツはチームリーダーってタイプじゃねぇだろ。
どっちかって言うと、孤高の天才ってタイプじゃん?」
年齢的にも、実績から見ても、生え抜きの唐澤が一番相応しいのだが、唐澤は皆を引っ張るタイプではなく、一人で我が道を行くタイプだ。
とてもチームリーダーなんて無理だと財前は思った。
「んじゃ、他に誰がいるよ?森高や石川はまだ若いし、吉岡はあの通り吃音症でコミュ障じゃないか。
毒島はお調子者だし…」
つまりはチームリーダーに相応しい人材がいないという事だ。
「アイツは?カズト(中山)なら、チームを引っ張れそうじゃん」
「だって、アイツは来年ウチにいるかどうか分からないだろ?
またメジャーに戻るかもしれないじゃないか」
中山は1年契約でGlanzに入団した。
まだ明言してないが、来年はメジャーに戻るだろうという見方が多い。
「いいじゃん、今年限りだって!アイツをチームリーダーにして、トーマをサブリーダーに置けば、トーマも少しはリーダーとしての心構えを勉強出来るんだし」
「ホントはお前がチームリーダーに一番相応しいんだけどな」
「監督代行やって、オマケにチームリーダーなんてムリだってば!
その点、カズトはメジャーでの経験もあるし、年齢的にもリーダーに相応しいじゃん」
「お前だってメジャーの経験あるだろ」
「だったら、アンタが監督代行やってくれよ!
そうすりゃ、オレはリーダーやるから」
「冗談だよ、冗談!確かに中山が一番相応しいかもな」
そんなワケで、中山が急遽チームリーダーに就任した。
チームの改革を行ったせいなのか、Glanzは息を吹き返したように連勝を続け、東地区最下位だった順位はあっという間にトップのマーリンズに僅か0.5ゲーム差にまで縮めて2位に返り咲いた。
そしてオールスター投票の最終結果が発表された。
Glanzからは、野手では唐澤、森高、中山に監督推薦で吉岡が選ばれ、投手では中邑、片山、マクダウェル、降谷が出場。
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