Strong Baseball 主砲の一振り 続編5

インターカンファレンス（交流戦）

主砲のプライド

新潟県三条市にあるパイレーツスタジアム。

収容人数は約45,000人のレトロモダンな天然芝の屋外型球場。


左翼 - 約100.0 m
左中間 - 約115.5 m
中堅 - 約123.1 m
右中間 - 約112.8 m
右翼 - 約99.1 m

バックネット - 約14.9 m
フェンス左翼 - 約3.6 m
その他 - 約2.4 m

ファウルゾーンが狭く、右中間や左中間にふくらみがないのでホームランバッターに有利。

芝が長く、内野ゴロを打たすのに有利である。



上半身は黒に白文字で【Pirates】のフォント、下半身は白に両サイドは赤のラインが入ったユニフォーム。


好き嫌いが分かれるが、一般公募によるデザインで選手の間では概ね好評だと言う。


パイレーツは現在アポロリーグ東地区の3位。

産声を上げたばかりの球団で、ネームバリューのある選手は鬼束のみだが、若い選手が多く、可能性を秘めている。



鬼束は勿論、その他の注目選手は、昨年ドラフト1位で入団した冬野 祐希（とうのゆうき）外野手。

右投左打の22才。

大学ナンバーワン野手として3球団競合の末、パイレーツが交渉権を獲得。


契約金1億5000万 年俸1500万 背番号は1という高待遇で入団。


開幕一軍とはならなかったが、ゴールデンウィーク明けから一軍に定着。

鬼束の前を打つ3番打者として、打率.293 本塁打4 打点17 盗塁9という好成績を挙げる。

しかも、ここ5試合は打率.427と好調で、得点圏打率は実に.486とチャンスに強い。


バッティングだけではなく、広い守備範囲と強肩でセンターを守り、美技でピンチを救う。


もう一人は長野ニックスで2番手捕手だった兼近 利明（かねちかとしあし）のリードが冴え渡る。


兼近はプロ9年目の30才で鬼束とは同期入団で年齢も一緒。


ニックスでは正捕手前田の陰に隠れて2番手というポジションだったが、新天地を求めて退団。


パイレーツの入団テストを受けて合格、開幕スタメンでマスクを被り、以降は正捕手として投手陣をリードする。


キャンプでは鬼束のアドバイスにより神主打法をマスター。

リーグ3位の打率.317で好守にわたり活躍。



試合前のフリー打撃で鬼束は柵越を連発する。

ライト、右中間、センターバックスクリーン、左中間にレフトと広角に打ち分ける。


スカイウォーカーズではリーグ優勝、日本一という栄冠は手にしたものの、個人成績では満足のいく数字ではなかった。


（優勝、日本一は経験した…でも、個人的には満足のいく成績は挙げられなかった。
オレは優勝よりも個人成績に拘る！
その為には、スカイウォーカーズから出なきゃいい成績は挙げられない）


フォアザチームの精神で個人成績よりもチームの勝利を最優先するのが当たり前だが、鬼束は個人成績に拘る。


スカイウォーカーズでは結城の存在が大きく、鬼束にとってはそれが苦痛に感じた。


苦痛から逃れるには他球団へ移籍するのが手っ取り早いと思い、チーム名と本拠地が変わるのを理由にFA宣言した。



フリー打撃を終え、ゲージから出てきた鬼束を待ち構えた唐澤が帽子をとって挨拶した。


「鬼束さんお久しぶりです」


「おぅ、久しぶり」


てっきり笑顔で答えるかと思いきや、ぶっきらぼうな口調で言葉少なめに返事した。


しかもアゴ髭を生やし、野性味溢れる顔立ちに変貌していた。


「調子良さそうですね！」


「…フツーだけどな」


素っ気ない言い方だ。


「あの…鬼束さん、機嫌悪いですか？」


「え？フツーだよ」


「そうすか…今日はヨロシクお願いします」


「おう、ヨロシク」


そう言うとさっさとベンチ奥に引っ込んだ。


「何だろ…イヤな事でもあったんだろうか」


唐澤は首を傾げる。





今日の先発はGlanzが桐生、パイレーツは昨年右肘のトミー・ジョン手術でリハビリに専念していた山本 涼太（やまもとりょうた）


山本は大阪ドルフィンズで先発、リリーフの両方をこなしていたが、昨年オープン戦でダイビングキャッチを試みた際、右肘断裂の大ケガを負い、渡米してトミー・ジョン手術を行った。


今年は再起を懸けて開幕一軍を果たしたが、金銭トレードでパイレーツに移籍。


150を超えるストレートは140前半にまで落ちてしまったものの、スライダー、カットボール、シンカーでバッターを打ち取る投球術を身につけた。


Glanzのスタメンは

1ライト中山 2
2ショート石川 8
3センター唐澤 1
4セカンド森高 7
5サード吉岡 33
6キャッチャー毒島 6
7ファースト徳川 23
8指名打者ジョーンズ 49
9レフト武藤 5

ピッチャー 桐生 21


リードオフマンの藤村は右脇腹痛により、登録を抹消。


代わりに一軍登録されたのは、昨年ドラフト1位でGlanzに入団した武藤 和哉（むとうかずや）

左投左打の21才。



高校卒業後独立リーグ、横浜オーシャンズに入団。


左のアベレージヒッターとして高打率をマーク。


巧みなバットコントロールで逆方向にも強い打球を打てるパワーも兼ね備え、櫻井は日本を代表するヒットメーカーに成長する逸材で、鬼束が付けていた5を継承する。




後攻パイレーツのスタメン


1センター三原 31
2指名打者牧田 10
3センター冬野 1
4セカンド鬼束 5
5キャッチャー兼近 60
6サード吉田 8
7ライト三井 2
8レフト長渕 25
9ショート峯山 0

ピッチャー山本 20


一発長打よりも、小技を駆使して後ろに繋ぐ打線は迫力に欠けるが、ツボに入れば厄介な存在だ。