30 / 61
インターカンファレンス(交流戦)
ワガママなピッチャー
しおりを挟む
片山は初回を三者凡退に抑える。
「1回の表は三者凡退で終了。
玉井尻さん、片山の調子はどうでしょうか?」
「どうって言われてもなぁ…初回何球投げたんだ?」
「そうですね…先頭の結城には2球、清水に対しては僅か1球、3番の村上には3球でアウトにしてますね」
「て事は、初回は7球で抑えたのかよ…」
「いえ、玉井尻さん、6球です」
計算も出来ないとは…
「ええ、6球ぅ?だって、2球に1球に3球だろ…あ、6球だった…ガハハハハハ!オレァ、中学高校と数学の成績は良かったんだが、歳のせいか、計算間違えしちまったぜ」
うそつけ!
「さぁ、1回の裏Glanzの攻撃はトップバッターの藤村。
玉井尻さん、この藤村は今シーズン打率.283 ホームランが4本で盗塁はリーグ2位の12個。
これはどう思われますか?」
「よくやってる方じゃないのか?
1番バッターは塁に出てナンボだし、コイツの出塁率はどのくらいなんだ?」
「えぇーっと、出塁率は…0.362と高いですね」
「ほぅ、打率と比べると随分高いな」
「それだけ球をよく見てるという事でしょうか」
藤村は昨年のシーズンオフに選球眼を養うためにバットを持たず打席に入り、ピッチングマシンの投げる球をひたすら見る訓練を行った。
そのお陰でボールの縫い目までハッキリ見えるようになったらしい。
「選球眼を養うトレーニングするのはいいけど、目が疲れて逆効果になるんじゃないのか?」
「そのへんはどうなんでしょうかね?」
分からない。
マウンド上のジェファーソンはサイドスローに近いスリークォーターから腕が遅れて出るせいで、バッターのタイミングを狂わすのが持ち味。
「ジェファーソンが第1球を投げた!
インコースにストレートが決まってワンストライク!」
「随分と変則的なフォームだな…あれじゃ腕の振りがよく見えないよな」
「ジェファーソンはフォームを研究して、一番理想的なフォームがコレだったようです」
「これで?確かに腕の振りは見えにくいけど、これだとランナーいる時に走られるんじゃないのか、腕の振りが大きいじゃん」
ジェファーソンはクイックが苦手だ。
「ジェファーソンはランナーがいてもあまり牽制をしないし、クイックも苦手だというから、ランナーは気にせずバッターに集中して投げるみたいですよ」
「大雑把なヤツだな…」
そのジェファーソンがキャッチャー青田のサインに首を振る。
二度、三度とサインを出すが、ジェファーソンはどれも首を振る。
「マウンド上のジェファーソン、キャッチャー青田と息が合わないのか、何度も首を振ります」
「何を投げたがってるんだ、こいつは」
「ジェファーソンはストレート、スライダー、カットボールにカーブとチェンジアップの球種を投げますが、何を要求してるんでしょうか」
堪らず青田がタイムをかけてマウンドに駆け寄る。
同時にピッチングコーチと通訳もベンチから出てきた。
「ああっと、どうやらジェファーソンが怒ってるように見えますが、青田の出すサインに不満があるのでしょうか」
「キャッチャーってのは、つくづく大変なポジションだと思うぜ。
ピッチャーなんて、お山の大将ばっかだし、機嫌を損ねると面倒臭いからな」
多分、玉井尻は榊の事を言ってるに違いない。
「青田は困り果てた顔をしてますね」
「こんなガイジンはさっさとクビにすりゃいいんだよ!
遅延行為じゃねえか、これじゃ」
何が気に入らないのか、ジェファーソンは通訳に対して早口で捲し立てる。
「あぁ、コーチがジェファーソンをなだめてますね」
「こんな事してるヒマがあったら、さっさと投げろってんだ」
話し合いが終わり、コーチと通訳はベンチに下がった。
「青田がジェファーソンの肩をポンポンと叩いてホームに戻りました、試合再開です」
「これで打たれたら、大笑いだぜ」
玉井尻の予想は意外と当たる。
「ジェファーソンが2球目を投げた!藤村打った!打球はレフトへグーンと伸びる!清水が懸命にバック!
…入った~っ!レフトスタンドへ第5号の先頭打者ホームランっ!」
「何の変哲もない、ただのストレートじゃねぇか!コイツはストレート投げたいために何度も首を振ったのかよ?
それで打たれたんだから、バカ丸出しだな!ウワハハハハハハハ!」
藤村はゆっくりとベースを回ってホームイン。
Glanzが早くも1点を先制した。
「玉井尻さん、今のは真ん中やや外寄りのストレートですけど、藤村はそれを読んでたという事でしょうか?」
「そうだろうな、自信のある球を投げたかったんだろうが、それがストレートで藤村にはお見通しだったんじゃないか」
ジェファーソンは自慢のストレートをスタンドに運ばれ、顔を紅潮させながらプレートを蹴った。
これでジェファーソンは平常心を失い、Glanzは初回に打者一巡の猛攻で一挙5点を奪う。
ジェファーソンはアウト一つしか取れずにノックアウト。
その後も出て来る投手を滅多打ちにしたGlanzが14点を取って大勝。
片山はこれで5勝目となり、トップのマクダウェルに並んだ。
唐澤の9号ツーラン、森高の12号ソロ、13号スリーランでレボリューションズを退けた。
Glanzはその後、キングダムに三連勝、レッズには1勝2敗、スーパーフェニックスに2勝1敗、マーリンズには1勝2敗という成績で東地区の首位をキープ。
そしてインターカンファレンス、交流戦がスタートした。
「1回の表は三者凡退で終了。
玉井尻さん、片山の調子はどうでしょうか?」
「どうって言われてもなぁ…初回何球投げたんだ?」
「そうですね…先頭の結城には2球、清水に対しては僅か1球、3番の村上には3球でアウトにしてますね」
「て事は、初回は7球で抑えたのかよ…」
「いえ、玉井尻さん、6球です」
計算も出来ないとは…
「ええ、6球ぅ?だって、2球に1球に3球だろ…あ、6球だった…ガハハハハハ!オレァ、中学高校と数学の成績は良かったんだが、歳のせいか、計算間違えしちまったぜ」
うそつけ!
「さぁ、1回の裏Glanzの攻撃はトップバッターの藤村。
玉井尻さん、この藤村は今シーズン打率.283 ホームランが4本で盗塁はリーグ2位の12個。
これはどう思われますか?」
「よくやってる方じゃないのか?
1番バッターは塁に出てナンボだし、コイツの出塁率はどのくらいなんだ?」
「えぇーっと、出塁率は…0.362と高いですね」
「ほぅ、打率と比べると随分高いな」
「それだけ球をよく見てるという事でしょうか」
藤村は昨年のシーズンオフに選球眼を養うためにバットを持たず打席に入り、ピッチングマシンの投げる球をひたすら見る訓練を行った。
そのお陰でボールの縫い目までハッキリ見えるようになったらしい。
「選球眼を養うトレーニングするのはいいけど、目が疲れて逆効果になるんじゃないのか?」
「そのへんはどうなんでしょうかね?」
分からない。
マウンド上のジェファーソンはサイドスローに近いスリークォーターから腕が遅れて出るせいで、バッターのタイミングを狂わすのが持ち味。
「ジェファーソンが第1球を投げた!
インコースにストレートが決まってワンストライク!」
「随分と変則的なフォームだな…あれじゃ腕の振りがよく見えないよな」
「ジェファーソンはフォームを研究して、一番理想的なフォームがコレだったようです」
「これで?確かに腕の振りは見えにくいけど、これだとランナーいる時に走られるんじゃないのか、腕の振りが大きいじゃん」
ジェファーソンはクイックが苦手だ。
「ジェファーソンはランナーがいてもあまり牽制をしないし、クイックも苦手だというから、ランナーは気にせずバッターに集中して投げるみたいですよ」
「大雑把なヤツだな…」
そのジェファーソンがキャッチャー青田のサインに首を振る。
二度、三度とサインを出すが、ジェファーソンはどれも首を振る。
「マウンド上のジェファーソン、キャッチャー青田と息が合わないのか、何度も首を振ります」
「何を投げたがってるんだ、こいつは」
「ジェファーソンはストレート、スライダー、カットボールにカーブとチェンジアップの球種を投げますが、何を要求してるんでしょうか」
堪らず青田がタイムをかけてマウンドに駆け寄る。
同時にピッチングコーチと通訳もベンチから出てきた。
「ああっと、どうやらジェファーソンが怒ってるように見えますが、青田の出すサインに不満があるのでしょうか」
「キャッチャーってのは、つくづく大変なポジションだと思うぜ。
ピッチャーなんて、お山の大将ばっかだし、機嫌を損ねると面倒臭いからな」
多分、玉井尻は榊の事を言ってるに違いない。
「青田は困り果てた顔をしてますね」
「こんなガイジンはさっさとクビにすりゃいいんだよ!
遅延行為じゃねえか、これじゃ」
何が気に入らないのか、ジェファーソンは通訳に対して早口で捲し立てる。
「あぁ、コーチがジェファーソンをなだめてますね」
「こんな事してるヒマがあったら、さっさと投げろってんだ」
話し合いが終わり、コーチと通訳はベンチに下がった。
「青田がジェファーソンの肩をポンポンと叩いてホームに戻りました、試合再開です」
「これで打たれたら、大笑いだぜ」
玉井尻の予想は意外と当たる。
「ジェファーソンが2球目を投げた!藤村打った!打球はレフトへグーンと伸びる!清水が懸命にバック!
…入った~っ!レフトスタンドへ第5号の先頭打者ホームランっ!」
「何の変哲もない、ただのストレートじゃねぇか!コイツはストレート投げたいために何度も首を振ったのかよ?
それで打たれたんだから、バカ丸出しだな!ウワハハハハハハハ!」
藤村はゆっくりとベースを回ってホームイン。
Glanzが早くも1点を先制した。
「玉井尻さん、今のは真ん中やや外寄りのストレートですけど、藤村はそれを読んでたという事でしょうか?」
「そうだろうな、自信のある球を投げたかったんだろうが、それがストレートで藤村にはお見通しだったんじゃないか」
ジェファーソンは自慢のストレートをスタンドに運ばれ、顔を紅潮させながらプレートを蹴った。
これでジェファーソンは平常心を失い、Glanzは初回に打者一巡の猛攻で一挙5点を奪う。
ジェファーソンはアウト一つしか取れずにノックアウト。
その後も出て来る投手を滅多打ちにしたGlanzが14点を取って大勝。
片山はこれで5勝目となり、トップのマクダウェルに並んだ。
唐澤の9号ツーラン、森高の12号ソロ、13号スリーランでレボリューションズを退けた。
Glanzはその後、キングダムに三連勝、レッズには1勝2敗、スーパーフェニックスに2勝1敗、マーリンズには1勝2敗という成績で東地区の首位をキープ。
そしてインターカンファレンス、交流戦がスタートした。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
お知らせ有り※※束縛上司!~溺愛体質の上司の深すぎる愛情~
ひなの琴莉
恋愛
イケメンで完璧な上司は自分にだけなぜかとても過保護でしつこい。そんな店長に秘密を握られた。秘密をすることに交換条件として色々求められてしまう。 溺愛体質のヒーロー☓地味子。ドタバタラブコメディ。
2021/3/10
しおりを挟んでくださっている皆様へ。
こちらの作品はすごく昔に書いたのをリメイクして連載していたものです。
しかし、古い作品なので……時代背景と言うか……いろいろ突っ込みどころ満載で、修正しながら書いていたのですが、やはり難しかったです(汗)
楽しい作品に仕上げるのが厳しいと判断し、連載を中止させていただくことにしました。
申しわけありません。
新作を書いて更新していきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
お詫びに過去に書いた原文のママ載せておきます。
修正していないのと、若かりし頃の作品のため、
甘めに見てくださいm(__)m
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる