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ペナント真っ只中
強気のリード
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玉井尻はKOされたので、ここから先は実況無しで進む。
1回の表、トップバッター比嘉の打席でカウントはワンボール、ワンストライク。
冴島は毒島のサインに首を振る。
毒島がもう一度サインを出す。
今度は頷き、ノーワインドアップからのやや重心の低いスリークォーターで3球目を投げた。
外いっぱいに148km/hのストレートが決まった。
「ストライクツー!」
比嘉はまだ一度もバットを振ってない。
何を狙っているのか、その微動だにしない構えからは予想がつかない。
毒島は比嘉の立つ位置を注意深く見た。
バッターボックスの一番後ろでベース寄りに立っている。
(この立ち位置だと、インコースは手が出せないハズ…でも、この選手はインコース打ちが上手い…
やっぱりアウトコースへ投げた方がいいかも)
瞬時に頭の中で配球を組み立てた。
(ヨシ、次はこの球だ)
毒島がサインを出した。
冴島はそのサインを確認し、4球目を投げた。
「っ!…」
外のコースから内側に入るカッターが決まった。
「ストライクアウト!」
意表を突かれた比嘉は見逃しの三振に倒れた。
「バックドアか…」
そう呟くと、淡々とした表情でベンチに下がった。
(ヨシ、先頭打者を三振で仕留めたぞ!この調子でドンドン攻めろ!)
毒島はミットをパシーンと叩き、ドンドン攻めろというジェスチャーをする。
【2番ショート飛鳥…背番号5】
2番の飛鳥が打席に向かう。
今年は2番バッターとして、打線の面舵をとる。
プレイングマネージャーの吉川はキーマンとして飛鳥を挙げた。
飛鳥の活躍如何でチームが左右されると言っても過言ではない。
177cm、78kgとプロ野球選手にしては小柄な方だが、背筋力は220kg、握力は右が82、左が79というパワーを秘めている。
比嘉とは正反対のスタンダードなフォームで870gと軽めのバットを使用する。
(比嘉の次はコイツか…厄介な相手だな)
ネプチューンリーグのショートを挙げると、マーリンズの白石、Glanzの石川、99ersの飛鳥と3人に分かれる。
3人とも甲乙つけがたい程の存在で、ショートストップのポジションに適した能力を持つ。
タイプはそれぞれ違うが、共通するのは野球センス抜群の天才タイプ。
飛鳥は派手さは無いが、基本に忠実で教科書の様にお手本のプレーをする。
堅実という表現がピッタリの飛鳥だが、犠打はまだ一度も無い。
そもそも99ersは犠打を多用せず、前身の愛媛ブラックス時代からの持ち味でもある打撃戦で真っ向勝負を得意とする。
その名残りからか、送りバントをしないチームとして知られる。
(さて、どう攻めるか…)
毒島は頭の中でシミュレーションをする。
(アレコレ考えても仕方ない…ドンドン攻めるしかないんだ)
様子見などはせず、堂々と正面から勝負するのみ。
その真っ向勝負のサインに頷き、初球を投げた。
インハイに151km/hのストレートが決まるが、ボール一個分高い。
「ボール!」
「エッ、ウソ!今の入ってるでしょ?」
毒島は主審に抗議するが、判定は覆らず。
「今のは入ってるだろ」
「ボクもそう思ってました…リクエストを要求してきます」
櫻井はベンチを出て、リクエストのサインを出した。
審判団が一旦控え室に入り、ビデオ判定をする。
その間、肩が冷えないように冴島は投球練習をしている。
約3分後、審判団が再び現れ、主審がマイクを手にした。
【リクエストの結果、判定をストライクに変更します!】
ストライクに訂正され、試合は再開した。
(インハイの次はアウトロー…でもこれじゃ読まれる。
それなら、ここはどうだ?)
強気のリードで冴島を引っ張る。
冴島も毒島の強気なリードに引っ張られ、ガンガン攻めた。
初球アウトコースへのストレートでストライクをとり、2球目は縦のスライダーが外れてボール。
3球目は再びインハイへ153km/hのストレートを投げるが、飛鳥はこれをファール。
ツーストライクとなり、4球目は真ん中低めへ得意の高速チェンジアップを投げた。
飛鳥はこれに手を出し、セカンドゴロでツーアウト。
そして3番のプレイングマネージャー吉川の登場。
【3番センター…吉川。背番号3】
今年の成績は、打率.263 本塁打4 打点18
毎年スロースターターの吉川だが、交流戦明けの6月下旬から調子を上げていく。
開幕してまだ1ヶ月も経ってないこの時期は、下位打線の方が脅威だ。
それは毒島も承知の上で、ましてや左対左という事もあって、いつも以上に強気なリードをする。
(速い球をアウトコースへ)
そのサインを見て、冴島は全身を躍動させ初球を投げた。
152km/hのストレートが外角へ唸りを上げる。
しかし、吉川はこれを読んでいたのか、カンペキに捕らえた。
打球音を残し、打球はグーンと左中間へ。
センター唐澤、レフト藤村が打球を追う。
吉川は入ると確信したのか、歩きながら打球の行方を見る。
打球は失速する事無く、左中間スタンドの前列に入った。
「ウソだろ、あの球を読んでいたのかよ!」
毒島の強気なリードが裏目に出た。
吉川はゆっくりとベースを回ってホームイン。
初回で早くも99ersが吉川の第5号ソロで先制した。
1回の表、トップバッター比嘉の打席でカウントはワンボール、ワンストライク。
冴島は毒島のサインに首を振る。
毒島がもう一度サインを出す。
今度は頷き、ノーワインドアップからのやや重心の低いスリークォーターで3球目を投げた。
外いっぱいに148km/hのストレートが決まった。
「ストライクツー!」
比嘉はまだ一度もバットを振ってない。
何を狙っているのか、その微動だにしない構えからは予想がつかない。
毒島は比嘉の立つ位置を注意深く見た。
バッターボックスの一番後ろでベース寄りに立っている。
(この立ち位置だと、インコースは手が出せないハズ…でも、この選手はインコース打ちが上手い…
やっぱりアウトコースへ投げた方がいいかも)
瞬時に頭の中で配球を組み立てた。
(ヨシ、次はこの球だ)
毒島がサインを出した。
冴島はそのサインを確認し、4球目を投げた。
「っ!…」
外のコースから内側に入るカッターが決まった。
「ストライクアウト!」
意表を突かれた比嘉は見逃しの三振に倒れた。
「バックドアか…」
そう呟くと、淡々とした表情でベンチに下がった。
(ヨシ、先頭打者を三振で仕留めたぞ!この調子でドンドン攻めろ!)
毒島はミットをパシーンと叩き、ドンドン攻めろというジェスチャーをする。
【2番ショート飛鳥…背番号5】
2番の飛鳥が打席に向かう。
今年は2番バッターとして、打線の面舵をとる。
プレイングマネージャーの吉川はキーマンとして飛鳥を挙げた。
飛鳥の活躍如何でチームが左右されると言っても過言ではない。
177cm、78kgとプロ野球選手にしては小柄な方だが、背筋力は220kg、握力は右が82、左が79というパワーを秘めている。
比嘉とは正反対のスタンダードなフォームで870gと軽めのバットを使用する。
(比嘉の次はコイツか…厄介な相手だな)
ネプチューンリーグのショートを挙げると、マーリンズの白石、Glanzの石川、99ersの飛鳥と3人に分かれる。
3人とも甲乙つけがたい程の存在で、ショートストップのポジションに適した能力を持つ。
タイプはそれぞれ違うが、共通するのは野球センス抜群の天才タイプ。
飛鳥は派手さは無いが、基本に忠実で教科書の様にお手本のプレーをする。
堅実という表現がピッタリの飛鳥だが、犠打はまだ一度も無い。
そもそも99ersは犠打を多用せず、前身の愛媛ブラックス時代からの持ち味でもある打撃戦で真っ向勝負を得意とする。
その名残りからか、送りバントをしないチームとして知られる。
(さて、どう攻めるか…)
毒島は頭の中でシミュレーションをする。
(アレコレ考えても仕方ない…ドンドン攻めるしかないんだ)
様子見などはせず、堂々と正面から勝負するのみ。
その真っ向勝負のサインに頷き、初球を投げた。
インハイに151km/hのストレートが決まるが、ボール一個分高い。
「ボール!」
「エッ、ウソ!今の入ってるでしょ?」
毒島は主審に抗議するが、判定は覆らず。
「今のは入ってるだろ」
「ボクもそう思ってました…リクエストを要求してきます」
櫻井はベンチを出て、リクエストのサインを出した。
審判団が一旦控え室に入り、ビデオ判定をする。
その間、肩が冷えないように冴島は投球練習をしている。
約3分後、審判団が再び現れ、主審がマイクを手にした。
【リクエストの結果、判定をストライクに変更します!】
ストライクに訂正され、試合は再開した。
(インハイの次はアウトロー…でもこれじゃ読まれる。
それなら、ここはどうだ?)
強気のリードで冴島を引っ張る。
冴島も毒島の強気なリードに引っ張られ、ガンガン攻めた。
初球アウトコースへのストレートでストライクをとり、2球目は縦のスライダーが外れてボール。
3球目は再びインハイへ153km/hのストレートを投げるが、飛鳥はこれをファール。
ツーストライクとなり、4球目は真ん中低めへ得意の高速チェンジアップを投げた。
飛鳥はこれに手を出し、セカンドゴロでツーアウト。
そして3番のプレイングマネージャー吉川の登場。
【3番センター…吉川。背番号3】
今年の成績は、打率.263 本塁打4 打点18
毎年スロースターターの吉川だが、交流戦明けの6月下旬から調子を上げていく。
開幕してまだ1ヶ月も経ってないこの時期は、下位打線の方が脅威だ。
それは毒島も承知の上で、ましてや左対左という事もあって、いつも以上に強気なリードをする。
(速い球をアウトコースへ)
そのサインを見て、冴島は全身を躍動させ初球を投げた。
152km/hのストレートが外角へ唸りを上げる。
しかし、吉川はこれを読んでいたのか、カンペキに捕らえた。
打球音を残し、打球はグーンと左中間へ。
センター唐澤、レフト藤村が打球を追う。
吉川は入ると確信したのか、歩きながら打球の行方を見る。
打球は失速する事無く、左中間スタンドの前列に入った。
「ウソだろ、あの球を読んでいたのかよ!」
毒島の強気なリードが裏目に出た。
吉川はゆっくりとベースを回ってホームイン。
初回で早くも99ersが吉川の第5号ソロで先制した。
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