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ペナント再開
作戦
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交流戦を優勝したスカイウォーカーズは、再びペナントレースに突入する。
その初戦は、ヘッドコーチに就任した小倉のいる東京キングダムとの3連戦。
キングダムの本拠地、東京ボールパークではホーム用の淡いグリーンのユニフォームに身を包んだ小倉が報道陣と談笑している。
「おい…あのハゲ、キングダムのユニフォームが似合わねぇな」
中田が小倉を指さしてゲラゲラと笑う。
「うゎ~…何か、一人だけ浮いてるなぁ…」
櫻井も笑いを堪える。
「ぬ?おぉー、誰かと思えば…ええっと、誰だったかぬ?」
小倉はこちらを見ると、満面の笑みを浮かべて近づく。
「コッチ来んなハゲ!テメーが来るとツキが逃げるだろ!」
「お久しぶりですね!そうだ、ちょっとお願いがあるんですが」
そう言うと、櫻井はポケットから100円を取り出す。
「ぬ?この100円は何だぬ?」
小倉が首を傾げる。
「ちょうどいいところに来た。おい、ハゲ!喉乾いたから、ダッシュでコーラ買ってこい!」
「ふざけんじゃないぬ!何で、あちきがユーのコーラ買わなきゃなんないんだぬ!」
「うるせえな、ハゲ!さっさと買ってこいよ!」
ドガッ!
「痛てぇっ!あちきを蹴ったな!」
「ギャーギャーうるせぇんだよ、ハゲ!残りの毛むしるぞ、オラッ!」
中田は小倉の帽子を取ると、残り少ない頭髪をむしろうとしている。
「ギャあ、抜ける抜ける!あちきの毛をむしるんじゃないぬ!」
「やかましい、いいから早く買ってこい!」
バキ、ドカッ!
2人でツープラトンのサンドイッチラリアットをかました。
とまぁ、試合前のお遊びはここまでにして、今日の先発はスカイウォーカーズが中5日のエース中邑。
対するキングダムは交流戦3勝を挙げ、勢いに乗る登坂。
先行スカイウォーカーズのスタメンは、
1レフト藤村
2ショート石川
3センター唐澤
4セカンド森高
5サード吉岡
6ライト鬼束
7ファースト結城
8指名打者ジョーンズ
9キャッチャー滝沢
ピッチャー中邑
スカイウォーカーズは現時点のベストメンバーで挑む。
後攻キングダムのスタメンは、
1 セカンド湯原
2 ライト稲葉
3 センター浅倉
4 ファーストロドリゲス
5 サード棚橋
6 レフトアーロン
7 指名打者坂上
8 ショート倉澤
9 キャッチャー小室
ピッチャー登坂
キングダムで今一番怖いバッターは、5番に座る棚橋。
昨年まで高校生だったルーキーは交流戦で4本塁打を放ち、打率も3割をマーク。
将来のキングダムを背負って立つ逸材として、監督の翔田が一番期待する存在。
「ムヒョヒョヒョヒョヒョ!今日こそはアイツらをギャフンと言わせてやるんだぬーーーーん!」
「今日から王国再建のスタートだ」
小倉をヘッドコーチに招いた翔田。
一体どんな策があるというのか。
「藤村くん」
「あ、ハイ」
櫻井が藤村を呼び止める。
「今日の登坂くんはスライダーのキレが良い…」
「分かってますよ、スライダーを捨ててストレートに狙い球を絞れって事でしょ?」
すると櫻井は首を振る。
「フフフ…その逆だよ。
ストレートは捨てて、スライダーを狙うんだ」
「エッ、フツー逆じゃないんじゃないんすか…」
「スライダーを捨ててストレートを打っても、登坂くんを攻略したとは言えない…相手投手の決め球を打って初めて攻略したと言えるんだ」
藤村は首を傾げる。
「じゃあ、追い込まれてストレートを投げてきたらどうするんですか?」
「…見逃せばいい」
「だって…それじゃ、三振しちゃいますよ!」
櫻井の意図が分からない。
「構わないよ…とにかく、キミは登坂くんのスライダーに絞って打つんだ、いいね?」
「は、はい」
藤村は要領を得ないまま、打席に向かった。
「登坂のスライダーはリーグでも1,2を争う程のキレだぞ?藤村にそれを打てって、難しいんじゃないのか?」
中田は隣で腕を組んでいる。
「最強のリードオフマンになるには、相手のウイニングショットを打ち返す事が条件…難しいでしょうが、藤村くんならやってくれると信じていますよ」
「そりゃそうなんだが…アイツにそんな事が出来るのかなぁ」
「フフ、やってくれなきゃ困るんですよ」
櫻井の表情には余裕が見える。
「そうだ、中邑くん!ちょっといいかな?」
ベンチ前でキャッチボールをしている中邑を呼び寄せた。
「ハイ、監督」
「滝沢くんもちょっといいかな」
「ハイ」
滝沢も加わり、2人に作戦を指示した。
「今日キミたちが警戒しなきゃいけないバッターは誰だと思う?」
「誰って…棚橋じゃないですか?」
「ハイ、自分もそう思います」
櫻井は何度も首を振る。
「違う違う…彼には全球ストライクで勝負するんだ」
「ぜ、全球ストライクですか?」
「ウン…打たれてもいいから、全てストライクゾーンの球で勝負だ…」
「打たれてもいいって…どういう事ですか?」
中邑はポカーンとしている。
「相手は今をときめくゴールデンルーキーだ。
生かさず殺さず…そんなところかな」
「ハァ…」
どんな策があるというのか。
スライダーのみを狙えと言われた藤村は困惑したまま打席に立つ。
登坂はスライダーに絶対の自信を持つ。
「プレイボール!」
午後6時、試合はスタートした。
その初戦は、ヘッドコーチに就任した小倉のいる東京キングダムとの3連戦。
キングダムの本拠地、東京ボールパークではホーム用の淡いグリーンのユニフォームに身を包んだ小倉が報道陣と談笑している。
「おい…あのハゲ、キングダムのユニフォームが似合わねぇな」
中田が小倉を指さしてゲラゲラと笑う。
「うゎ~…何か、一人だけ浮いてるなぁ…」
櫻井も笑いを堪える。
「ぬ?おぉー、誰かと思えば…ええっと、誰だったかぬ?」
小倉はこちらを見ると、満面の笑みを浮かべて近づく。
「コッチ来んなハゲ!テメーが来るとツキが逃げるだろ!」
「お久しぶりですね!そうだ、ちょっとお願いがあるんですが」
そう言うと、櫻井はポケットから100円を取り出す。
「ぬ?この100円は何だぬ?」
小倉が首を傾げる。
「ちょうどいいところに来た。おい、ハゲ!喉乾いたから、ダッシュでコーラ買ってこい!」
「ふざけんじゃないぬ!何で、あちきがユーのコーラ買わなきゃなんないんだぬ!」
「うるせえな、ハゲ!さっさと買ってこいよ!」
ドガッ!
「痛てぇっ!あちきを蹴ったな!」
「ギャーギャーうるせぇんだよ、ハゲ!残りの毛むしるぞ、オラッ!」
中田は小倉の帽子を取ると、残り少ない頭髪をむしろうとしている。
「ギャあ、抜ける抜ける!あちきの毛をむしるんじゃないぬ!」
「やかましい、いいから早く買ってこい!」
バキ、ドカッ!
2人でツープラトンのサンドイッチラリアットをかました。
とまぁ、試合前のお遊びはここまでにして、今日の先発はスカイウォーカーズが中5日のエース中邑。
対するキングダムは交流戦3勝を挙げ、勢いに乗る登坂。
先行スカイウォーカーズのスタメンは、
1レフト藤村
2ショート石川
3センター唐澤
4セカンド森高
5サード吉岡
6ライト鬼束
7ファースト結城
8指名打者ジョーンズ
9キャッチャー滝沢
ピッチャー中邑
スカイウォーカーズは現時点のベストメンバーで挑む。
後攻キングダムのスタメンは、
1 セカンド湯原
2 ライト稲葉
3 センター浅倉
4 ファーストロドリゲス
5 サード棚橋
6 レフトアーロン
7 指名打者坂上
8 ショート倉澤
9 キャッチャー小室
ピッチャー登坂
キングダムで今一番怖いバッターは、5番に座る棚橋。
昨年まで高校生だったルーキーは交流戦で4本塁打を放ち、打率も3割をマーク。
将来のキングダムを背負って立つ逸材として、監督の翔田が一番期待する存在。
「ムヒョヒョヒョヒョヒョ!今日こそはアイツらをギャフンと言わせてやるんだぬーーーーん!」
「今日から王国再建のスタートだ」
小倉をヘッドコーチに招いた翔田。
一体どんな策があるというのか。
「藤村くん」
「あ、ハイ」
櫻井が藤村を呼び止める。
「今日の登坂くんはスライダーのキレが良い…」
「分かってますよ、スライダーを捨ててストレートに狙い球を絞れって事でしょ?」
すると櫻井は首を振る。
「フフフ…その逆だよ。
ストレートは捨てて、スライダーを狙うんだ」
「エッ、フツー逆じゃないんじゃないんすか…」
「スライダーを捨ててストレートを打っても、登坂くんを攻略したとは言えない…相手投手の決め球を打って初めて攻略したと言えるんだ」
藤村は首を傾げる。
「じゃあ、追い込まれてストレートを投げてきたらどうするんですか?」
「…見逃せばいい」
「だって…それじゃ、三振しちゃいますよ!」
櫻井の意図が分からない。
「構わないよ…とにかく、キミは登坂くんのスライダーに絞って打つんだ、いいね?」
「は、はい」
藤村は要領を得ないまま、打席に向かった。
「登坂のスライダーはリーグでも1,2を争う程のキレだぞ?藤村にそれを打てって、難しいんじゃないのか?」
中田は隣で腕を組んでいる。
「最強のリードオフマンになるには、相手のウイニングショットを打ち返す事が条件…難しいでしょうが、藤村くんならやってくれると信じていますよ」
「そりゃそうなんだが…アイツにそんな事が出来るのかなぁ」
「フフ、やってくれなきゃ困るんですよ」
櫻井の表情には余裕が見える。
「そうだ、中邑くん!ちょっといいかな?」
ベンチ前でキャッチボールをしている中邑を呼び寄せた。
「ハイ、監督」
「滝沢くんもちょっといいかな」
「ハイ」
滝沢も加わり、2人に作戦を指示した。
「今日キミたちが警戒しなきゃいけないバッターは誰だと思う?」
「誰って…棚橋じゃないですか?」
「ハイ、自分もそう思います」
櫻井は何度も首を振る。
「違う違う…彼には全球ストライクで勝負するんだ」
「ぜ、全球ストライクですか?」
「ウン…打たれてもいいから、全てストライクゾーンの球で勝負だ…」
「打たれてもいいって…どういう事ですか?」
中邑はポカーンとしている。
「相手は今をときめくゴールデンルーキーだ。
生かさず殺さず…そんなところかな」
「ハァ…」
どんな策があるというのか。
スライダーのみを狙えと言われた藤村は困惑したまま打席に立つ。
登坂はスライダーに絶対の自信を持つ。
「プレイボール!」
午後6時、試合はスタートした。
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