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新生スカイウォーカーズ
敵味方に別れて
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マウンド上の梁屋は今まで袖を通していたスカイウォーカーズのユニフォームから、真っ青なドジャースのユニフォームに替わり、新たな背番号16を付けてスカイウォーカーズナインと戦う。
ホームを守る保坂も同様、新しいユニフォームに身を包み、こちらも新たな背番号2を付けてかつての仲間と対峙する。
(まさか、こんな早く対決するとは…絶対に抑えてやる!)
(オレらを放出した事を後悔させてやる!)
2人の思惑は一致した。
【1回の表、スカイウォーカーズの攻撃は…1番レフト藤村。背番号46】
2試合目のスタメン出場となる藤村が2度、3度と素振りをしてから右打席に入った。
「ほぉ、ようやくスタメンで出られるようになったのかよ」
保坂がからかう様な口調で話す。
「…ハハッ、お陰様でスタメン出場ですよ。
それにしても、ユニフォーム似合ってますね」
本音とも嫌味ともとれる言葉で言い返す。
「言うじゃねぇかよ…どうせ、スタメン出場は今日限りだ。
1度も塁には出させねぇからな」
「それはどうですかね…」
この人の挑発に乗ってはいけない…保坂はキャッチャーとしての能力は一流だ。
フレーミング、肩の強さ、リードどれをとっても一級品。
オマケにマウンドに立ってるのは、榊から伝授された落差十分のカーブを投げる梁屋。
藤村にとっては、これ以上ない程の難敵だ。
「プレイボール!」
午後6時、主審の手が挙がり試合はスタートした。
藤村のフォームが今までの前傾姿勢から背筋を伸ばしてリラックスした姿勢に変わっている。
バットを持つ位置も、身体の正面から後ろに変わった。
(ワタル…挨拶代わりにこの球を投げてやれ)
保坂はニヤリと笑いながらサインを出した。
梁屋は大きく頷き、第1球を投げた。
回転のかかったボールがピッチトンネルを抜けて、ギュイーン、と大きく縦に変化してミットに収まる。
「ストライク!」
インコース低めギリギリに必殺のカーブが決まった。
(何だ、このカーブ…こんな球投げる人をトレードに出したのかよ)
打席に立つと、カーブのキレがより一層凄く見える。
「どうした?今の球打てなきゃ、一軍じゃ通用しないぞ」
保坂は不敵な笑みを浮かべ、梁屋に返球する。
「さすがっすね…こんな人がチームメイトだったとは、改めてスゲーって思いますよ」
お世辞ではなく、藤村は素直にそう思った。
「フフっ、ホントにそう思ってるのかよ?」
「えぇ、勿論ですよ」
「じゃあ、次もスゲーのを投げてくるから、よく見とけよ」
次のサインを出した。
梁屋は首を振らない。保坂のリードに全幅の信頼を寄せている。
榊からアドバイスされたスリークォーターのモーションから2球目を投げた。
今度はベルト付近に鋭く曲がるカーブだ。
藤村は思わず腰を引く。
「ボール!」
先ほどよりも曲がりは小さいが、鋭角的にスライダーの様に曲がるカーブだ。
「よく見送ったな。アイツのカーブは何種類もあるんだ。お前にそれが打てるか?」
「どんな球だろうと、打席に立ってる以上、打たなきゃならないのがバッターの仕事でしょう」
「ほー、言うことは立派だな」
(カーブを捨てて、ストレート狙いに絞ろう)
畑中のアドバイス通り、バットを短く持った。
(コイツ、ストレート狙いだな…ワタル、全球カーブだ)
梁屋は3球目を投げた。
緩い球が弧を描いてミットに吸い込まれた。
「ストライクツー!」
スローカーブでツーストライクに追い込んだ。
(何なんだ…カーブしか投げてないのに、こんなに変化が違うのか…)
梁屋のカーブに手こずる。
(次で決めてやれ)
梁屋が頷く。
177cmの身体がマウンド上で躍動し、4球目を投げた。
「速っ…」
アウトコースから真ん中低めへ、ボールになるカーブに手を出した。
「ストライクアウト!」
最後は129km/hの速いカーブで三振した。
まるでナックルカーブの様に、ストレートに近い軌道から大きく縦に変化した。
「はい、まずはアウト一つ!」
保坂の陽気な声を背に、藤村はベンチに戻る。
(全球カーブだった…)
あれは打てない…藤村はベンチに座ると、ガックリと項垂れた。
【2番ショート石川。背番号8】
チーム1の身体能力を誇る石川が打席に入る。
ショートと言えば、マーリンズの白石が代表されるが、石川も白石以上のセンスを持つ。
ここまで打率0.307 9本塁打 53打点 13盗塁と2番打者としての十分な働きをしている。
守備でも、187cmとショートにしては大型だが、素早い身のこなしでチームのピンチを救う。
「よぉ、久しぶり!どうだ、最近は?」
「ご無沙汰してます…最近はボチボチやってますよ」
石川は保坂に対し、ヘルメットを取って挨拶した。
「ボチボチか…じゃあ、この打席は凡退だな」
「さぁ、どうでしょうかね?」
石川飄々とした態度ではぐらかす。
その石川も、初球、2球目のカーブを見送り、カウントはワンボール、ワンストライク。
3球目、外一杯の146km/hのストレートを打つものの、差し込まれてライトフライに倒れる。
【3番センター唐澤。背番号1】
そして今日、3番に座る唐澤が屈伸をしてから左打席に入った。
(パワーカーブ、スラーブ、ナックルカーブにスローカーブ…カーブだけでいくつもの球種を持っている。
この試合、アイツのカーブを打てばオレたちの勝利。打てなければ、オレたちの負けだ)
狙い球はカーブに絞った。
ホームを守る保坂も同様、新しいユニフォームに身を包み、こちらも新たな背番号2を付けてかつての仲間と対峙する。
(まさか、こんな早く対決するとは…絶対に抑えてやる!)
(オレらを放出した事を後悔させてやる!)
2人の思惑は一致した。
【1回の表、スカイウォーカーズの攻撃は…1番レフト藤村。背番号46】
2試合目のスタメン出場となる藤村が2度、3度と素振りをしてから右打席に入った。
「ほぉ、ようやくスタメンで出られるようになったのかよ」
保坂がからかう様な口調で話す。
「…ハハッ、お陰様でスタメン出場ですよ。
それにしても、ユニフォーム似合ってますね」
本音とも嫌味ともとれる言葉で言い返す。
「言うじゃねぇかよ…どうせ、スタメン出場は今日限りだ。
1度も塁には出させねぇからな」
「それはどうですかね…」
この人の挑発に乗ってはいけない…保坂はキャッチャーとしての能力は一流だ。
フレーミング、肩の強さ、リードどれをとっても一級品。
オマケにマウンドに立ってるのは、榊から伝授された落差十分のカーブを投げる梁屋。
藤村にとっては、これ以上ない程の難敵だ。
「プレイボール!」
午後6時、主審の手が挙がり試合はスタートした。
藤村のフォームが今までの前傾姿勢から背筋を伸ばしてリラックスした姿勢に変わっている。
バットを持つ位置も、身体の正面から後ろに変わった。
(ワタル…挨拶代わりにこの球を投げてやれ)
保坂はニヤリと笑いながらサインを出した。
梁屋は大きく頷き、第1球を投げた。
回転のかかったボールがピッチトンネルを抜けて、ギュイーン、と大きく縦に変化してミットに収まる。
「ストライク!」
インコース低めギリギリに必殺のカーブが決まった。
(何だ、このカーブ…こんな球投げる人をトレードに出したのかよ)
打席に立つと、カーブのキレがより一層凄く見える。
「どうした?今の球打てなきゃ、一軍じゃ通用しないぞ」
保坂は不敵な笑みを浮かべ、梁屋に返球する。
「さすがっすね…こんな人がチームメイトだったとは、改めてスゲーって思いますよ」
お世辞ではなく、藤村は素直にそう思った。
「フフっ、ホントにそう思ってるのかよ?」
「えぇ、勿論ですよ」
「じゃあ、次もスゲーのを投げてくるから、よく見とけよ」
次のサインを出した。
梁屋は首を振らない。保坂のリードに全幅の信頼を寄せている。
榊からアドバイスされたスリークォーターのモーションから2球目を投げた。
今度はベルト付近に鋭く曲がるカーブだ。
藤村は思わず腰を引く。
「ボール!」
先ほどよりも曲がりは小さいが、鋭角的にスライダーの様に曲がるカーブだ。
「よく見送ったな。アイツのカーブは何種類もあるんだ。お前にそれが打てるか?」
「どんな球だろうと、打席に立ってる以上、打たなきゃならないのがバッターの仕事でしょう」
「ほー、言うことは立派だな」
(カーブを捨てて、ストレート狙いに絞ろう)
畑中のアドバイス通り、バットを短く持った。
(コイツ、ストレート狙いだな…ワタル、全球カーブだ)
梁屋は3球目を投げた。
緩い球が弧を描いてミットに吸い込まれた。
「ストライクツー!」
スローカーブでツーストライクに追い込んだ。
(何なんだ…カーブしか投げてないのに、こんなに変化が違うのか…)
梁屋のカーブに手こずる。
(次で決めてやれ)
梁屋が頷く。
177cmの身体がマウンド上で躍動し、4球目を投げた。
「速っ…」
アウトコースから真ん中低めへ、ボールになるカーブに手を出した。
「ストライクアウト!」
最後は129km/hの速いカーブで三振した。
まるでナックルカーブの様に、ストレートに近い軌道から大きく縦に変化した。
「はい、まずはアウト一つ!」
保坂の陽気な声を背に、藤村はベンチに戻る。
(全球カーブだった…)
あれは打てない…藤村はベンチに座ると、ガックリと項垂れた。
【2番ショート石川。背番号8】
チーム1の身体能力を誇る石川が打席に入る。
ショートと言えば、マーリンズの白石が代表されるが、石川も白石以上のセンスを持つ。
ここまで打率0.307 9本塁打 53打点 13盗塁と2番打者としての十分な働きをしている。
守備でも、187cmとショートにしては大型だが、素早い身のこなしでチームのピンチを救う。
「よぉ、久しぶり!どうだ、最近は?」
「ご無沙汰してます…最近はボチボチやってますよ」
石川は保坂に対し、ヘルメットを取って挨拶した。
「ボチボチか…じゃあ、この打席は凡退だな」
「さぁ、どうでしょうかね?」
石川飄々とした態度ではぐらかす。
その石川も、初球、2球目のカーブを見送り、カウントはワンボール、ワンストライク。
3球目、外一杯の146km/hのストレートを打つものの、差し込まれてライトフライに倒れる。
【3番センター唐澤。背番号1】
そして今日、3番に座る唐澤が屈伸をしてから左打席に入った。
(パワーカーブ、スラーブ、ナックルカーブにスローカーブ…カーブだけでいくつもの球種を持っている。
この試合、アイツのカーブを打てばオレたちの勝利。打てなければ、オレたちの負けだ)
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