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インターカンファレンス終盤
トレード第二弾
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「おい、敗けただと!
ふざけんなよ、おいっ!オレをこんな所に閉じ込めて、挙げ句に敗けたとはどういう事なんだ!」
榊はロッカールームに縛り付けられたままの状態で試合終了を迎えた。
「悪かったって言ってんだろ!
それに、あの展開じゃお前が采配しても勝てねえよ」
中田は悪びれた様子も無い。
「バカヤロっ!お前の采配に問題があるんだよ!」
「何だと、コノヤロー!テメーなんざ、ただベンチでボケっとしてるか、スマホゲームしてるかのどっちかだろうが!」
「うるせぇ!テメーだって、暇さえあればしょっちゅう裏でタバコ吸ってるじゃねえかよ!」
「お前も一緒だろ!」
とにかくうるさい。
敗けた事を擦り合ってる状態だ。
「いい加減にしてくださいよ!今日は敗けたけど、明日は勝ちましょう」
櫻井が仲裁に入った。
「しかし、降谷を打てなかったとはなあ…
アイツ、そんなにピッチングが変わったのか?」
「少なくとも、ウチにいた時よりも格段に違ってたぜ」
「えぇ、ストレートは常時150を越えてましたし、特に縦のスライダーのキレは一級品ですよ」
「そんなに速くなってたのかよ!」
「翔田や天海クラスとまではいかないが、ウチの中邑と遜色ない程の出来だぜ」
降谷を放出して失敗したかも…と榊は一瞬後悔した。
「そんなに良いピッチングするんだったら…ウチに戻ってもらおうかな」
榊の欲しい欲しい病が始まった。
「ムリですよ…そもそも誰と交換するつもりですか?」
「そうだよ。向こうはエースだし、コッチもそれ相応の相手を出さなきゃ納得しないだろ」
結城を獲りたいが為に、吉岡と一緒にドジャースへトレードした。
それを再度コッチに呼び戻すとなれば、金銭では難しい。
「ヒロト…仮に降谷を獲るとなったら、誰を出せばいいと思う?」
「エッ…ホントに獲るつもりですか?」
「いや、だから仮にだよ、仮に!」
櫻井も戸惑う。
「誰がいいか…レギュラークラスの選手でしかも、実績もある選手じゃないと向こうは納得しないでしょうし…ウーン…それこそ、結城くんや鬼束くんクラスの選手を放出しなきゃならないでしょう」
「結城や鬼束?
ムリムリ!とてもじゃないが、それならトレードは止めだ」
「それか、中堅クラスの選手を2名程出すか…でも、これも難しいだろうな」
「中堅クラス?」
榊が食いついた。
「中堅クラスったって、ウチは選手が余ってるワケじゃないんだぞ!
ベンチ入りしてる選手は全員必要なんだからな!」
「中ちゃんさぁ、ウチに足りないのは先発の駒なんだよ。
もし降谷が戻ってきてくれれば、二連覇も夢じゃないんだぜ」
「その言い方だと、野手を二人放出しようというつもりですか?」
「ダメ?」
【ダメ!!】
二人に却下された。
とは言え、成長した降谷がスカイウォーカーズに入れば、投手力が上がって連覇する可能性も高い。
「とりあえずその話は置いといて、明日は何がなんでも勝ちましょう」
「そうだな、ヒロトの言う通りだ。
オレたちは今いる戦力でどう勝ち抜くか、それを考えなきゃならないんだ」
二人は帰り支度を始めた。
「ところでさ…」
【ん?】
「どうしました?」
「何だよ、まだ何かあんのか?」
二人は既に私服に着替えた。
「その前に、これを何とかしてくれよ~っ!!」
【あっ!】
榊はロッカールームの柱に縛り付けられていたままだったのをスッカリ忘れていた。
その晩、榊は高梨に連絡した。
「もしもし、高梨?」
【はい、どうしました?】
「実はさ…」
榊は高梨に降谷獲得の件を話した。
【いや…さすがにそれはどうですかね~…】
高梨も難色を示す。
「頼む、何としてでも降谷を獲得したいんだよ!何なら、また例のタッグマッチで強引にトレードに持ち込みゃいいんだし」
【イヤですよ、もうあんな事するのは!】
結城を何がなんでも獲得する為に、榊は高梨と組んで小倉とGMの不栗旬とタッグマッチを行い、勝利した。
「何でだよ!アレが一番いい解決法だろ!」
【ちっとも良くないですよ!それに、何でそこまでして降谷を獲りたいんですか?】
「いや~…さっき録画してた試合を観たんだけど、降谷は随分と変わったなぁ!
あんな強気に攻めるピッチングだったら、ウチに戻ってくれりゃ一気にエースだぜ」
試合を全く観ていない榊は家に帰って録画していた試合を改めて観た。
そこにはかつての頼りないエースが、ひと皮もふた皮も剥け、エースの貫禄を身に纏っていた降谷がマウンドで仁王立ちしていた。
【でも…誰を出すんですか?ウチはタダでさえ選手層が薄いんですし、向こうが納得するような選手は出せませんよ】
「分かってるよ、そんな事は!
だからさ、中堅どころの選手と若手を二人出せば、向こうは納得するんじゃないかな」
【ちょっと、待ってくださいよ!ウチは三人も出すんですか?】
いくら何でも、降谷相手に三人を出すとは無謀だ。
「えー、いいじゃん別に!
まだ誰を出すか決めてないけど、ウチで燻ってるよりも、向こうで活躍の場を求めて移籍する方がいいだろ」
【ホントにトレードするつもりですか?】
どうやら本気で降谷獲得に向けて動くらしい。
ふざけんなよ、おいっ!オレをこんな所に閉じ込めて、挙げ句に敗けたとはどういう事なんだ!」
榊はロッカールームに縛り付けられたままの状態で試合終了を迎えた。
「悪かったって言ってんだろ!
それに、あの展開じゃお前が采配しても勝てねえよ」
中田は悪びれた様子も無い。
「バカヤロっ!お前の采配に問題があるんだよ!」
「何だと、コノヤロー!テメーなんざ、ただベンチでボケっとしてるか、スマホゲームしてるかのどっちかだろうが!」
「うるせぇ!テメーだって、暇さえあればしょっちゅう裏でタバコ吸ってるじゃねえかよ!」
「お前も一緒だろ!」
とにかくうるさい。
敗けた事を擦り合ってる状態だ。
「いい加減にしてくださいよ!今日は敗けたけど、明日は勝ちましょう」
櫻井が仲裁に入った。
「しかし、降谷を打てなかったとはなあ…
アイツ、そんなにピッチングが変わったのか?」
「少なくとも、ウチにいた時よりも格段に違ってたぜ」
「えぇ、ストレートは常時150を越えてましたし、特に縦のスライダーのキレは一級品ですよ」
「そんなに速くなってたのかよ!」
「翔田や天海クラスとまではいかないが、ウチの中邑と遜色ない程の出来だぜ」
降谷を放出して失敗したかも…と榊は一瞬後悔した。
「そんなに良いピッチングするんだったら…ウチに戻ってもらおうかな」
榊の欲しい欲しい病が始まった。
「ムリですよ…そもそも誰と交換するつもりですか?」
「そうだよ。向こうはエースだし、コッチもそれ相応の相手を出さなきゃ納得しないだろ」
結城を獲りたいが為に、吉岡と一緒にドジャースへトレードした。
それを再度コッチに呼び戻すとなれば、金銭では難しい。
「ヒロト…仮に降谷を獲るとなったら、誰を出せばいいと思う?」
「エッ…ホントに獲るつもりですか?」
「いや、だから仮にだよ、仮に!」
櫻井も戸惑う。
「誰がいいか…レギュラークラスの選手でしかも、実績もある選手じゃないと向こうは納得しないでしょうし…ウーン…それこそ、結城くんや鬼束くんクラスの選手を放出しなきゃならないでしょう」
「結城や鬼束?
ムリムリ!とてもじゃないが、それならトレードは止めだ」
「それか、中堅クラスの選手を2名程出すか…でも、これも難しいだろうな」
「中堅クラス?」
榊が食いついた。
「中堅クラスったって、ウチは選手が余ってるワケじゃないんだぞ!
ベンチ入りしてる選手は全員必要なんだからな!」
「中ちゃんさぁ、ウチに足りないのは先発の駒なんだよ。
もし降谷が戻ってきてくれれば、二連覇も夢じゃないんだぜ」
「その言い方だと、野手を二人放出しようというつもりですか?」
「ダメ?」
【ダメ!!】
二人に却下された。
とは言え、成長した降谷がスカイウォーカーズに入れば、投手力が上がって連覇する可能性も高い。
「とりあえずその話は置いといて、明日は何がなんでも勝ちましょう」
「そうだな、ヒロトの言う通りだ。
オレたちは今いる戦力でどう勝ち抜くか、それを考えなきゃならないんだ」
二人は帰り支度を始めた。
「ところでさ…」
【ん?】
「どうしました?」
「何だよ、まだ何かあんのか?」
二人は既に私服に着替えた。
「その前に、これを何とかしてくれよ~っ!!」
【あっ!】
榊はロッカールームの柱に縛り付けられていたままだったのをスッカリ忘れていた。
その晩、榊は高梨に連絡した。
「もしもし、高梨?」
【はい、どうしました?】
「実はさ…」
榊は高梨に降谷獲得の件を話した。
【いや…さすがにそれはどうですかね~…】
高梨も難色を示す。
「頼む、何としてでも降谷を獲得したいんだよ!何なら、また例のタッグマッチで強引にトレードに持ち込みゃいいんだし」
【イヤですよ、もうあんな事するのは!】
結城を何がなんでも獲得する為に、榊は高梨と組んで小倉とGMの不栗旬とタッグマッチを行い、勝利した。
「何でだよ!アレが一番いい解決法だろ!」
【ちっとも良くないですよ!それに、何でそこまでして降谷を獲りたいんですか?】
「いや~…さっき録画してた試合を観たんだけど、降谷は随分と変わったなぁ!
あんな強気に攻めるピッチングだったら、ウチに戻ってくれりゃ一気にエースだぜ」
試合を全く観ていない榊は家に帰って録画していた試合を改めて観た。
そこにはかつての頼りないエースが、ひと皮もふた皮も剥け、エースの貫禄を身に纏っていた降谷がマウンドで仁王立ちしていた。
【でも…誰を出すんですか?ウチはタダでさえ選手層が薄いんですし、向こうが納得するような選手は出せませんよ】
「分かってるよ、そんな事は!
だからさ、中堅どころの選手と若手を二人出せば、向こうは納得するんじゃないかな」
【ちょっと、待ってくださいよ!ウチは三人も出すんですか?】
いくら何でも、降谷相手に三人を出すとは無謀だ。
「えー、いいじゃん別に!
まだ誰を出すか決めてないけど、ウチで燻ってるよりも、向こうで活躍の場を求めて移籍する方がいいだろ」
【ホントにトレードするつもりですか?】
どうやら本気で降谷獲得に向けて動くらしい。
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