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主砲
流浪の主砲2
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風間はバットを寝かせ、腰を落としたガニ股スタイルでノーステップのレベルスウィングという、超個性的なフォームを完成させる。
このフォームで試合前のフリー打撃に快音を響かせ、飛距離も大幅に伸びた。
キングダム時代ではゆっくりとした放物線を描いた打球は、鋭いライナーでグーンと伸びてスタンドに突き刺さる打球に変わった。
この打球を見ていた当時の監督で、現在はウォーリアーズの球団社長に就任している神田 正利(かんだまさとし)が急遽スタメンで風間を起用した。
この日は奈良ドルフィンズ(現 大阪ドルフィンズ)との試合で、風間は6番指名打者で出場。
当時ドルフィンズは千葉ヤンキースと熾烈な首位争いをして、0.5ゲーム差で追い上げていた。
ウォーリアーズは首位と4ゲーム差の3位につけて、虎視眈々と首位を狙っていた。
ドルフィンズはエースだった松本 忠明(まつもとただあき現投手コーチ)で、6勝1敗 防御率2.06とトップを独走していた。
そのエースから2本本塁打を放ち、松本を5回でマウンドから引きずり下ろした。
試合は6対3でウォーリアーズが勝利。
風間は3打数2安打4打点と大活躍した。
「これは球界を代表するバッターになる」
神田は風間の潜在能力を見抜き、この日からレギュラーに定着。
規定打席には達しなかったが、打率0.309 28本塁打 76打点で最優秀指名打者賞(アポロリーグのベストナイン)を獲得。
以来、風間は北のファンが待ち望んでいた和製大砲としてウォーリアーズを牽引。
翌年には打率0.288 41本塁打 103打点で本塁打王を獲得。
一躍アポロリーグを代表するパワーヒッターとして脚光を浴びる。
ウォーリアーズはまだ1リーグ時代だった頃に(前身札幌ワイルドキャッツ)監督の神田が33本塁打を記録して以来、日本人選手の30本塁打は達成されてない。
それを移籍して2年目の選手が30本を飛び越えて40本もの本塁打を打つものだから、北海道のファンは大喜びした。
と同時に、
「こんな選手を放出するんだから、キングダムは若手の育成がヘタだ」
と扱き下ろされた。
打撃面では申し分無い成績を残した風間だが、守備はイマイチという事で主に指名打者を任される。
「自分はバッティングだけじゃなく、守備でも貢献出来る事を証明したい」
と神田に直訴。
神田自身も、風間は指名打者よりも守備につかせた方がリズムに合ってバッティングも向上出来るのでは?と思い、風間にサードの練習をするよう指示した。
キャンプでは連日泥にまみれながらも特守を行い、開幕戦では4番サードとして出場。
この年はウォーリアーズの快進撃でもあり、ヤンキースと首位争いは終盤までもつれ、最終戦のダブルヘッダーでウォーリアーズが2勝すれば優勝という条件だったが、第二試合で3対1と惜しくも敗れ優勝を逃した。
風間は打率0.337 38本塁打 118打点で打点王を獲得。
優勝は果たせなかったが、0.341で首位打者に輝いたヤンキースの外崎を抑え、見事MVPを獲得。
2位のチームからMVPが選出されるのは異例の事でもあった。
そして契約更新では、7500万から大幅アップの1億4500万でサイン。
名実共にウォーリアーズの顔として翌年からはキャプテンを務めた。
ウォーリアーズに移籍して3年目、風間の勢いは止まらない。
去年とは打って変わってチームは低迷したが、風間は獅子奮迅の活躍をして、打率0.327 51本塁打 134打点で本塁打王と打点王の二冠に輝く。
チームは4位と奮わなかったが、風間の活躍で北海道の野球人気が右肩上がりとなる。
しかし、風間にとって青天の霹靂とも言える話が浮上した。
それは監督の神田がチームの不振を理由に解任され、後任は二軍監督の山田 巧(やまだたくみ)が昇任。
風間にとって神田は師とも言える程の人物で、神田が見出してくれたお陰で、風間はスター選手にまで成長した。
その神田が解任され、後任は風間にとって水と油とも言えるべき人物の山田。
山田は良くも悪くも昭和の名残を残す指導者タイプ。
二軍では風間をひたすら走らせる練習を課した。
(ふざけんな!野球選手なのに、長距離選手みたいな事ばかりさせやがって)
案の定、山田は就任会見で
「風間は少し痩せた方がいい。その為には走って走って、ムダな肉を落とさせる」
と言い放った。
風間の身体は強靭な筋肉で覆われ、胸板が人一倍分厚い。
山田は余計な筋肉は却ってプレーの妨げにもなるし、機敏に動けないと指摘。
だが、風間はかつては守備失格の烙印を押された事をバネに、猛練習の末にリーグ屈指のサードとして守備でも貢献した。
「あの人が監督になるなら、自分はこのチームを出る」
と球団にトレードを申し出る。
球団は風間を慰留を促すが、風間は首を縦に振らない。
それを受けて山田は、
「オレが監督になるのがそんなに気に入らないのか!ならば、何処にでも行けばいい!」
と激怒して、金銭トレードで愛媛ブラックスに移籍。
あの人の下でプレーするよりマシだ、と風間はブラックスに入団。
優勝には程遠い球団だが、風間は1年目に打率0.306 57本塁打 128打点でネプチューンリーグ最多の本塁打を記録。
同時に本塁打王と打点王の二冠を獲得。
両リーグで本塁打王と打点王の二冠を獲得するのは史上初。
その翌年には打率0.346 34本塁打 118打点で首位打者と二年連続打点王を獲得。
以降はブラックスの主砲として弱小チームを引っ張る。
とまぁ、相変わらず前置きが長くなったが、風間はキングダム→ウォーリアーズ→99ersといった具合に、チームを転々と変えて、今年は最も優勝に近いチームで若手を引っ張る。
その風間の打席だが、次の話で。
このフォームで試合前のフリー打撃に快音を響かせ、飛距離も大幅に伸びた。
キングダム時代ではゆっくりとした放物線を描いた打球は、鋭いライナーでグーンと伸びてスタンドに突き刺さる打球に変わった。
この打球を見ていた当時の監督で、現在はウォーリアーズの球団社長に就任している神田 正利(かんだまさとし)が急遽スタメンで風間を起用した。
この日は奈良ドルフィンズ(現 大阪ドルフィンズ)との試合で、風間は6番指名打者で出場。
当時ドルフィンズは千葉ヤンキースと熾烈な首位争いをして、0.5ゲーム差で追い上げていた。
ウォーリアーズは首位と4ゲーム差の3位につけて、虎視眈々と首位を狙っていた。
ドルフィンズはエースだった松本 忠明(まつもとただあき現投手コーチ)で、6勝1敗 防御率2.06とトップを独走していた。
そのエースから2本本塁打を放ち、松本を5回でマウンドから引きずり下ろした。
試合は6対3でウォーリアーズが勝利。
風間は3打数2安打4打点と大活躍した。
「これは球界を代表するバッターになる」
神田は風間の潜在能力を見抜き、この日からレギュラーに定着。
規定打席には達しなかったが、打率0.309 28本塁打 76打点で最優秀指名打者賞(アポロリーグのベストナイン)を獲得。
以来、風間は北のファンが待ち望んでいた和製大砲としてウォーリアーズを牽引。
翌年には打率0.288 41本塁打 103打点で本塁打王を獲得。
一躍アポロリーグを代表するパワーヒッターとして脚光を浴びる。
ウォーリアーズはまだ1リーグ時代だった頃に(前身札幌ワイルドキャッツ)監督の神田が33本塁打を記録して以来、日本人選手の30本塁打は達成されてない。
それを移籍して2年目の選手が30本を飛び越えて40本もの本塁打を打つものだから、北海道のファンは大喜びした。
と同時に、
「こんな選手を放出するんだから、キングダムは若手の育成がヘタだ」
と扱き下ろされた。
打撃面では申し分無い成績を残した風間だが、守備はイマイチという事で主に指名打者を任される。
「自分はバッティングだけじゃなく、守備でも貢献出来る事を証明したい」
と神田に直訴。
神田自身も、風間は指名打者よりも守備につかせた方がリズムに合ってバッティングも向上出来るのでは?と思い、風間にサードの練習をするよう指示した。
キャンプでは連日泥にまみれながらも特守を行い、開幕戦では4番サードとして出場。
この年はウォーリアーズの快進撃でもあり、ヤンキースと首位争いは終盤までもつれ、最終戦のダブルヘッダーでウォーリアーズが2勝すれば優勝という条件だったが、第二試合で3対1と惜しくも敗れ優勝を逃した。
風間は打率0.337 38本塁打 118打点で打点王を獲得。
優勝は果たせなかったが、0.341で首位打者に輝いたヤンキースの外崎を抑え、見事MVPを獲得。
2位のチームからMVPが選出されるのは異例の事でもあった。
そして契約更新では、7500万から大幅アップの1億4500万でサイン。
名実共にウォーリアーズの顔として翌年からはキャプテンを務めた。
ウォーリアーズに移籍して3年目、風間の勢いは止まらない。
去年とは打って変わってチームは低迷したが、風間は獅子奮迅の活躍をして、打率0.327 51本塁打 134打点で本塁打王と打点王の二冠に輝く。
チームは4位と奮わなかったが、風間の活躍で北海道の野球人気が右肩上がりとなる。
しかし、風間にとって青天の霹靂とも言える話が浮上した。
それは監督の神田がチームの不振を理由に解任され、後任は二軍監督の山田 巧(やまだたくみ)が昇任。
風間にとって神田は師とも言える程の人物で、神田が見出してくれたお陰で、風間はスター選手にまで成長した。
その神田が解任され、後任は風間にとって水と油とも言えるべき人物の山田。
山田は良くも悪くも昭和の名残を残す指導者タイプ。
二軍では風間をひたすら走らせる練習を課した。
(ふざけんな!野球選手なのに、長距離選手みたいな事ばかりさせやがって)
案の定、山田は就任会見で
「風間は少し痩せた方がいい。その為には走って走って、ムダな肉を落とさせる」
と言い放った。
風間の身体は強靭な筋肉で覆われ、胸板が人一倍分厚い。
山田は余計な筋肉は却ってプレーの妨げにもなるし、機敏に動けないと指摘。
だが、風間はかつては守備失格の烙印を押された事をバネに、猛練習の末にリーグ屈指のサードとして守備でも貢献した。
「あの人が監督になるなら、自分はこのチームを出る」
と球団にトレードを申し出る。
球団は風間を慰留を促すが、風間は首を縦に振らない。
それを受けて山田は、
「オレが監督になるのがそんなに気に入らないのか!ならば、何処にでも行けばいい!」
と激怒して、金銭トレードで愛媛ブラックスに移籍。
あの人の下でプレーするよりマシだ、と風間はブラックスに入団。
優勝には程遠い球団だが、風間は1年目に打率0.306 57本塁打 128打点でネプチューンリーグ最多の本塁打を記録。
同時に本塁打王と打点王の二冠を獲得。
両リーグで本塁打王と打点王の二冠を獲得するのは史上初。
その翌年には打率0.346 34本塁打 118打点で首位打者と二年連続打点王を獲得。
以降はブラックスの主砲として弱小チームを引っ張る。
とまぁ、相変わらず前置きが長くなったが、風間はキングダム→ウォーリアーズ→99ersといった具合に、チームを転々と変えて、今年は最も優勝に近いチームで若手を引っ張る。
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