I Love Baseball 主砲の一振り 6

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9月・優勝争いの混沌とした戦い

首位攻防戦その3

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「ったく、ギャーギャーうるせぇなぁ、おい」


マウンド上の片山はまるで他人事の様だ。


観客の殆どがヤンキースファンだ。

その荒くれ者達が罵声を浴びせながら今にもグラウンドに飛び出しそうな勢いだ。


「隠し球なんかでアウトになるのが悪いんだろうがっ!」


片山もかつてはこのヤンキー達と同じでケンカ三昧の高校時代を過ごした。


プロ野球選手にならなかったら その道からスカウトが来てアウトローの世界にドップリ浸かっていただろう。




「静かにしろっ!!」


打席に立つ上田がスタンドの観客に対して一喝した。


あまりにもドスの効いた声でしかもよく通る為 スタンドの観客は一瞬たじろぐ。



「隠し球如きでアウトになりやがって」


油断していたのだろう。


だが 決して言い訳が出来ない失態だ。


「さすが、ヤンキースのボス…アンタを抑えれば負ける事は無い…と思う」




片山の言葉通り 上田をノーヒットに抑えたせいで点を与える事は無かったのだが Glanz打線もエース小橋を攻略する事が出来ず
両チーム無得点のまま 延長12回の引き分けに終わった。




翌日の第2戦 Glanzは初先発となる向井 対するヤンキースは左腕の澁谷。


Glanzのスターティングメンバー


1 RF ルイス 39
2 LF 唐澤  1
3 SS 白石 5
4 CF 森高 7
5 3B ロビンソン 2
6 2B 石川 8
7 DH 小津 51
8 1B 徳川 23
9 C   滝沢 9

   P 向井 53



ヤンキースのスターティングメンバー


1 CF 国分 1
2 SS 久住 7
3 C 与那嶺 22
4 DH 上田 55
5 RF 山本 3
6 3B 若菜 4
7 2B 福山 13
8 1B 前田 5
9 LF 門脇 2

 P 澁谷 14


試合は6時にプレイボール。


1回の表 Glanzは澁谷の立ち上がりを攻め 2番唐澤がフォアボールで歩くと 3番白石は澁谷の高めに浮いたストレートを完璧に捕え レフトスタンドへ先制の23号ツーランを放つ。


澁谷はその後立ち直り 後続を打ち取り2点に抑えたが
Glanz先発向井のスネークボールと呼ばれるツーシームの前に凡打を繰り返す。


向井は7回を投げ 被安打3 無四球 無失点の内容でマウンドを降り ジェイク―真咲と繋いで完封リレーで初勝利を手にした。


これでGlanzは再び首位に返り咲き 残り試合の少ないヤンキースは0.5ゲーム差の2位に陥落。




ネプチューンリーグが熾烈な優勝争いをしている最中
アポロリーグでは 東地区のKINGDOMが2年連続の地区優勝を果たした。


KINGDOMは主砲のロドリゲス 棚橋が本塁打を量産し
プレイングマネージャーでもあるクローザーの翔田が本来の力を発揮させ 危なげない試合運びで1度も首位を明け渡す事無く優勝。


シーズンは終盤に差し掛かった。
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