I Love Baseball 主砲の一振り 6

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7月 オールスターゲーム

主役のいないホームランダービー

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白石は上野と口論になり 荷物をまとめてススキノドームを後にした。

上野は白石の行ったことは造反行為に等しいと判断し
オールスター明けの後半戦は無期限の二軍降格という厳しい処分を下すつもりでいるらしい。


白石の代わりに 京都Super Phoenixの姫野がホームランダービーに急遽エントリーする事で穴埋めが出来た。


ホームランダービーに参加する選手は

アポロリーグからは 
スチュワート(山口Knights)
鬼束(新潟パイレーツ)
工藤(札幌ウォーリアーズ)
ロドリゲス(東京KINGDOM )
棚橋(東京KINGDOM )
ルーガー(琉球マシンガンズ)
北条(長野ニックス)
陽凪(高松マリナーズ)の8人。

対するネプチューンリーグからは
ロビンソン(SAITAMA Glanz)
上田(千葉ヤンキース)
卜部(Fukuoka Dodgers)
結城(甲府ブレーブス)
吉川(名古屋99ers)
比嘉(名古屋99ers)
羽田(東北マーリンズ)
仙道(東北マーリンズ)の8人が出場。



ホームランダービーはトーナメント制の勝ち抜き戦で
優勝者には賞金100万円が授与される。


第1ラウンドは

スチュワートVS仙道

陽凪VS比嘉

北条VS卜部

ロドリゲスVS結城

鬼束VSロビンソン

棚橋VS吉川

工藤VS上田

ルーガーVS羽田

の8試合が行われる。


味方チームの選手が10球投げ 多くスタンドインした選手が勝ち抜くシステム。


第1ラウンドの勝者は

アポロリーグが陽凪 鬼束 工藤の3人に対し
ネプチューンリーグは仙道 卜部 結城 吉川  羽田の5人が勝ち上がった。


第2ラウンドの組み合わせは

陽凪VS仙道

鬼束VS卜部

工藤VS結城

吉川VS羽田

の4試合。


どの選手もオレが優勝してやる!と張り切ってバットを振り抜くが 力んでしまいスタンドインどころかフェンス手前で失速するケースが多い。


それでも何とか技術でスタンドまで運び
勝ち残った選手は

陽凪 鬼束 結城 羽田の4人。


準決勝の第3ラウンド 組み合わせは

鬼束VS羽田

陽凪VS結城


第1試合は鬼束が9本スタンドイン 羽田が7本スタンドインで鬼束がファイナルへ進出。


第2試合は陽凪が6本 結城が8本スタンドに打ち込んで結城が進出した。


決勝ラウンドは鬼束VS結城の一騎打ち。


かつて同じチームに所属してクリーンアップを組んだ2人だが袂を分かち 鬼束はパイレーツへ 結城はブレーブスへFA移籍した。


先行は鬼束から。


鬼束は代名詞でもある神主打法でポンポンとスタンドへ放り込む。

フィールド全体を使って広角に打ち分けるバッティングで10球中9本をスタンドへ叩き込んだ。


鬼束と入れ替わりで結城が打席に入った。


鬼束を結城の方に振り返り 笑みを浮かべたまま皮肉を言った。


「いや~、やっぱオレの方が打てるわ!
そう思いません、結城さん?」


しかし 結城はフフと口元に笑みを浮かべるだけで無言のままバットを構えた。


(少しはワイルドになったかな…)

そう思い マウンドの方に視線を向けた。






その頃 上野と口論をして球場を出た白石はブラブラと球場周辺を歩いていた。


「腹減ったな…」


そう言えば 今日は何も食べていない。


辺りをキョロキョロした。


「あ、ラーメン屋か…」


前方に小さいながらも【中華】と書いてある置き看板を見つけた。


「ラーメンなんて、何年ぶりだろう」


普段から節制を心がけている白石だが 今日ぐらいはいいだろうと思い 営業中と書かれているドアを開けた。


「いらっしゃい!」


店内はこじんまりとしているが それでも常連と思しき客が数名カウンターでテレビを観ながら料理が出来上がるのを待っている。


テレビではオールスターゲームが放送している。


「はい、いらっしゃい」


女将らしき人物が水の入ったコップをテーブルに置いた。


「エッと…あ、みそラーメンを…それと、チャーハンも」


「はい、みそラーメンとチャーハンね」


そう言うと 店の厨房に入っていった。


水を一口飲んだ。


「ふぅ~」


視線を上に向けると 画面には結城がポンポンとスタンドに運んでいた。



「いくら結城と言えども、鬼束には勝てないだろ」


「結城はホームラン打つタイプじゃないからな」


常連がテレビを観ながら予想している。


「アレっ?アンちゃん、誰かに似てるなぁ…」


「おぉ、そう言えばそんな気がするな…」


白石を見ると 頭の中で誰に似てるか思い浮かべている。


「アハ、よく言われるんすよ…」


愛想笑いを浮かべて誤魔化す。


まさか球界を代表するスラッガーがラーメン屋にいるとは思いもよらないだろう。
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