I Love Baseball 主砲の一振り 6

sky-high

文字の大きさ
上 下
46 / 82
6月 ・7月 ペナントレース再開

Chance

しおりを挟む
伊達は白石に1発を許したが 3番仙道をショートゴロ 4番羽田をレフトフライに打ち取り1点で抑えた。

1回の裏 Glanzの攻撃。


【1番ライトルイス…背番号39】


敬虔なクリスチャンでもあるルイスが十字を切ってから左打席に入った。


普段は物静かで常に聖書を携えている姿は 宛ら伝道師の様だ。


グリップを後ろにして耳の辺りまで上げたフォーム。

やや前傾でクローズドスタンスに構え 逆方向へ強い打球を飛ばすのがルイスの持ち味だ。


マウンド上はここまで7勝6敗 防御率3.42の伏見。



マスクを被る川上が大きくミットを構える。


サインは伏見に任せるみたいだ。


今年4年目の伏見をひとり立ちさせる為だと言うが それが吉と出るか凶と出るか。


マウンド上でジックリとルイスを観察した後 組み立てを考えてからサインを出した。


「…ほぉ」


サインを見て 川上は少し驚きながらもアウトコースへ寄った。


サイドスローに近いスリークォーターから第1球を投げた。


アウトコースギリギリに決まる141km/hのストレートで先ずはストライクを先行。



ルイスはこれを見送ってワンストライク。



ルイスは早いカウントから打ちにいくタイプではなく
ジックリとボールを見る。

1打席の平均 5.3球とかなり多くの球数を投げさせ
四球を選ぶ選球眼の良さはリードオフマンに必要な要素でもある。


2球目はインコース膝元へのスライダーが外れた。


これでワンボール ワンストライク。


3球目は真ん中低めへ落とすスプリット。


これも見送ってボールツー。


ルイスはまだ一度もバットを振ってない。


どういう配球にしようか 伏見が迷ってるみたいだ。


「ったく、しょうがねぇな」


今度は川上がサインを出した。


そのサインを見て伏見は首を振る。


「何だ、あのヤロー!せっかくコッチがサインを出したのに」


もう一度同じサインを出した。


今度は頷き 4球目を投げた。


インハイに143km/hのストレートだが ルイスは腕を畳んで上手く捕らえた。


快音と共に打球はあっという間に一二塁間を破った。


元々インコースは得意なコースだが アウトコースが苦手な為にクローズドスタンスにしている。


先頭バッターが早くも塁に出て 続くは2番石川。


【2番ショート石川。背番号8】


今年は今ひとつ波に乗れないのか ここまでの成績は
打率.253 本塁打9 打点23 盗塁8と物足りない。


昨年は打率.306 本塁打21 打点68 盗塁26 出塁率はリーグ2位の.391でベストナインに選ばれてもおかしくないのだが ネプチューンリーグには日本を代表するショートストップ白石拓海がいる。


もし石川がアポロリーグの選手だったら ベストナイン ゴールドグラブの常連だっただろう。


その石川が早くもバントの構えをしている。


初回なのに送る作戦なのか。


「何だよ、初回で送りバントすんのかよ?」


「…さぁ、どうですかね」


石川はとぼけた返事をする。


(送ってくると見せかけて、バスターもあり得るな)


ここは川上がサインを出した。


伏見はセットポジションの体勢に入った。


一塁ランナールイスはやや大きめなリードをとっている。


伏見が素早く一塁へ牽制。


「セーフ!」


ルイスはこれを読んでいたのか 瞬時に戻る。


再びセットポジションの体勢に入った。


今度はリードが小さい。


チラッと一塁を見てから クイックモーションで初球を投げた。

同時にファースト張 サード羽田が猛チャージをかけた。

アウトコース高めに外したストレート 石川はバットを戻した。


「ボール!」


スピードガンは147km/hをマーク。


(やっぱ送ってくるのか)


しかし 石川はこれまで犠打を行った事は皆無に等しい。


そんな選手に送りバントのサインを出すのだろうか。


(ベンチからサインを出したようには思えないんだが)


ここは変化球よりも 速球でグイグイ押した方がいいと思い 再びストレートのサインを出した。


伏見が頷いて2球目を投げた。


同時に張と羽田がチャージをかける。


しかしコントロールミスからか インハイよりやや中寄りに入った。


「ヨシ…」


石川は狙い済ましたように 歩幅の大きい張の股下目掛けてバントをした。



「アッ…」


チャージをかけてた張は咄嗟にグラブを出すが ボールは股の間を通って一塁線へ転がり ベースに当たった。


「おっ、ラッキー!」


石川が全速力で一塁へ。





ベースカバーに入っていたセカンドの藤原がボールを捕って一塁を踏むが 僅かに石川の足が速かった。


「セーフ!」


「ヤバい、サードへ投げろ!」


川上が三塁へ投げるよう指示する。


一塁ランナールイスはトップスピードのまま二塁を蹴って三塁へ。


「クソっ…」


体勢を崩しながらも藤原が三塁へ送球。


羽田がダッシュで三塁に戻り ボールを捕ってタッチ。


「セーフ!」


これも僅かにルイスの足が速かった。


「やった!ノーアウト一塁三塁だっ!」


石川は一塁ベース上でガッツポーズ。


1点を先制されたGlanzだが 早くも同点のチャンスが訪れた。




しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

ARIA(アリア)

残念パパいのっち
ミステリー
山内亮(やまうちとおる)は内見に出かけたアパートでAR越しに不思議な少女、西園寺雫(さいおんじしずく)と出会う。彼女は自分がAIでこのアパートに閉じ込められていると言うが……

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

ゾンビ発生が台風並みの扱いで報道される中、ニートの俺は普通にゾンビ倒して普通に生活する

黄札
ホラー
朝、何気なくテレビを付けると流れる天気予報。お馴染みの花粉や紫外線情報も流してくれるのはありがたいことだが……ゾンビ発生注意報?……いやいや、それも普通よ。いつものこと。 だが、お気に入りのアニメを見ようとしたところ、母親から買い物に行ってくれという電話がかかってきた。 どうする俺? 今、ゾンビ発生してるんですけど? 注意報、発令されてるんですけど?? ニートである立場上、断れずしぶしぶ重い腰を上げ外へ出る事に── 家でアニメを見ていても、同人誌を売りに行っても、バイトへ出ても、ゾンビに襲われる主人公。 何で俺ばかりこんな目に……嘆きつつもだんだん耐性ができてくる。 しまいには、サバゲーフィールドにゾンビを放って遊んだり、ゾンビ災害ボランティアにまで参加する始末。 友人はゾンビをペットにし、効率よくゾンビを倒すためエアガンを改造する。 ゾンビのいることが日常となった世界で、当たり前のようにゾンビと戦う日常的ゾンビアクション。ノベルアッププラス、ツギクル、小説家になろうでも公開中。 表紙絵は姫嶋ヤシコさんからいただきました、 ©2020黄札

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

処理中です...