I Love Baseball 主砲の一振り 6

6月・インターカンファレンス 終盤

1勝1敗

Glanz3安打 Knights2安打で両チーム共無得点のまま
終盤の7回へと進む。


【4番センター スチュワート】


第1打席はセンターフライ 第2打席はショートゴロとまだノーヒットだが こういう膠着した場面では1番気をつけなければならないバッターでもある。


先発の伊達はここまで102球を投げて 2安打 2四球 5奪三振の内容。

毒島は打席の様子を見ながらサインを出した。


ややスリークォーター気味のフォームから初球を投げた。


「ボールワン！」


カーブがやや低めに外れた。


伊達はパワーカーブと呼ばれる球速の速い縦に変化するカーブと スラーブのような軌道のカーブと2種類使い分けている。


今投げたのはスラーブに近いカーブだ。


スチュワートはピクリとも動かない。


ボールの軌道が分かっていたのか それとも手が出なかったのか。



今度は伊達がサインを出す。


毒島のミットは真ん中を構えたままだ。


伊達が2球目を投げた。
  

アウトコースギリギリに142km/hのストレートが。


「This is it!（よし、もらった！）」


スチュワートは左足を踏み込んで狙い打ちした。


鋭く速いスイングで弾き返されたボールはライナーでライト方向へグングン伸びる。


ルイスが懸命に追うが 打球は高さ5.5mのフェンスをギリギリに越えてスタンド最前列に突き刺さった。



「ゲッ…ライナーでスタンドかよ」 


「まさに弾丸ライナーだ…」


Glanzバッテリーが驚愕の表情でライトスタンドを見る。



スチュワートの第19号ソロでついに均衡が破れた。


スチュワートは表情を変えず 淡々とダイヤモンドを一周する。



二塁を回って三塁に向かう際 サードを守るロビンソンと目が合った。


「shit！（クソっ）」


ロビンソンが吐き捨てるように言った。


「If you feel frustrated, try hitting a home run too.（悔しかったら、お前もホームラン打ってみろよ）」


スチュワートは涼しい顔で言い返す。



すると ロビンソンは無言で中指を立てた。


「Hey! You want a piece of me?（何だテメー、やんのかコラァ！）」


これにはスチュワートが激怒した。


「Come and get it!（上等だ、コラァ！）」


グラブを叩きつけ 来いと挑発する。



「おい、止めろ！」


「落ち着け、2人とも！」


両軍ベンチから一斉に飛び出した。


「止せ、止めろ！」


「ケンカしてる場合じゃないだろ！」


「止めんか、おいっ！」


必死になって2人を引き離す。


一触即発の状態だが 両チームの選手やコーチが何とか止めに入って乱闘だけは免れた。


「fucking Jesus（クソッタレが！）」


ロビンソンはそう言うと グラブを填め守備についた。


結局 このホームランが決勝点となり 0対1でKnightsが勝利した。



翌日の第2戦はGlanzが長身アンダースローの金澤
対するKnightsは左のサイドスロー佐野が先発。


前日とは打って変わって乱打戦となり 両軍合わせて7本のホームランが飛び出し 終盤の8回表 ツーアウトランナー二塁 三塁という場面で 5番のロビンソンが走者一掃のツーベースで逆転。


最終回を守護神真咲が3人で抑え 11対10でGlanzが乱打戦を制した。


Glanzは明日本拠地に戻り 新潟パイレーツとの2連戦が最終戦となる。