I Love Baseball 主砲の一振り 6

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5月・インターカンファレンス 交流戦

昔ばなし

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開幕3連戦を1勝2敗と負け越したGlanzだが
その後は本拠地さいたま S Villageで北陸レッズ相手に3タテ
千葉に舞台を移して 今年からネプチューンリーグに移籍した千葉ヤンキースとの3連戦を1勝1敗1引き分けのイーブンにする。

移動日を挟んで今度は東北に遠征。

昨年の覇者 東北マーリンズとの3連戦を1勝2敗で負け越し。

再び本拠地に戻って ヤンキースと共にネプチューンリーグに移籍したFukuoka Dodgers(前 北九州ドジャース)を相手に2勝1敗で勝ち越しに成功した。


その翌日 ナインは列車に乗り山梨県甲府へ移動する。

明日から風林火山スタジアムで甲府ブレーブスとの3連戦がスタートする。




グリーン車の前列には第1戦目先発予定の降谷と2戦目先発予定の片山が隣同士で座っている。


この2人は同い年で暗黒時代のスカイウォーカーズを支えた左右のエースとも言える。


特に降谷は榊が監督時代に1番パワーボムを食らった被害者でもある。


「なぁ…」


降谷が話し掛けた。


「ん?何だ?」


片山は窓から外の景色を眺めていた。


「寝てたのか?」


「いや、起きてるけど」


「あのさぁ…」


「うん」


降谷はスマホのゲームをしながら話を続けた。


「オレらって、最初の頃はケンカばかりしていたよなw」


「何だよ、急に…そんな昔の話なんかして」


「いや、何となくその当時を思い出してな」


片山は高卒で 降谷は社会人を経て入団した為 片山の方が3年早く入団している。


片山はドラフト1位 降谷はドラフト2位で入団。


共に1年目から一軍で活躍。


暗黒期の武蔵野スカイウォーカーズは万年最下位で 
どんなに力投しても勝ちに結びつかないなんて事はしょっちゅうだ。


降谷が入団した時 当時の首脳陣は片山と一緒に左右のエースとしてスカイウォーカーズを牽引する逸材だと期待した。


「アレ、何だっけ…確か、キャンプの時だっけか」


「あぁ…フォームの事で言い争いになって、そのうち取っ組み合いのケンカになったんだよな」


降谷が入団した翌年のキャンプでの事だった。


ブルペンで投球練習をしていた降谷を見て 片山は先輩風を吹かそうとアドバイスを送った。


「なぁ、そのフォームだと膝が安定しないだろ。
もう少し重心を低くした方がいいぜ」


降谷のフォームは重心がやや高い。


踏み込みの際 左膝の角度がバラつくせいで球が高めに浮いてしまう。


「あぁん?」


降谷は敵意剥き出しの表情でガンを飛ばす。



「オイオイ、素直じゃねぇなルーキー…いくらタメだからって、ココじゃオレの方が先輩なんだぜ? 
ルーキーはルーキーらしく、先輩のアドバイスに耳を傾けるもんだぜ」


すると降谷は「チッ…」と舌打ちしながらストレートを投げた。


力んで投げたせいか ワンバンになった。


「おっと…」


ブルペン捕手が膝を着いて上手く捕球した。



「だから言ったろ。お前の左足の踏み込みが甘いからコントロールが定まらないんだよ」


「うるせぇな、エラソーにアドバイスしてんじゃねぇよ!」


「何だと?」


今度は片山の目付きが鋭くなった。


「おいコラ、ルーキーの分際でそんな口叩いていいと思ってんかよ、あぁ?」


「テメーが先輩だと?二桁も勝てねぇクセに、一丁前なアドバイスしてんじゃねぇよ!」


「んだと、コラ!」


「やんのかよ、パイセン」


共に好戦的な2人が口論だけで収まるはずも無く
取っ組み合いが始まった。


「コラァ、何やってんだお前ら!」


「降谷っ!いい加減にしろっ!」


「片山っ、ルーキー相手にケンカなんかするんじゃない!」


コーチやブルペン捕手が止めに入り 何とか無傷で収まったが それ以来2人は犬猿の仲として目も合わせない程の険悪な関係になった。


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