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顔を変えた過去
レイという名のデリヘル嬢
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達也とナツ。
この二人が知り合ったのは、今から一ヶ月半前の事である。
達也は亮輔と同じ、女は性処理の道具という考えの持ち主だ。
ただ二人が違う点は、亮輔は合意のうえでの行為に対し、達也は金に物を言わせ、強引に自らの性癖である、アナルセックスを強要する点であり、レイプに近い行為だ。
達也はギャンブルはやらないが、女遊びは派手で、素人からプロの女まで幅広く関係を持った。
風俗はもっぱらソープかヘルス、またはホテルでデリヘル嬢を呼んで、アナル可能な女を呼んでは行為に及んでいた。
その日もホテルに入り、風俗専門のネットでどのタイプの女にしようか、と物色していた。
達也の目に止まったのは、スタイル抜群なレイという名前のデリヘル嬢を指名した。
だが、部屋に来たのはスタイルは申し分ないが、顔はエラが張って、一重まぶたに大きな口、そして出っ歯気味の暗い感じの女だった。
「何だよ、写真と全然違うじゃねえかよっ!」
デリヘル嬢の写真は載っているが、肝心の顔の部分はボカシが入って、分からないようになっている。
いわゆる地雷と呼ばれるタイプの女で、チェンジしようと店に連絡をした時だった。
ふと、女の左手首の辺りに無数のキズを見つけた。
自傷行為、いわゆるリストカットを何度も行っている女だ。
(ヤベーな、コイツ病んでるじゃんかよ)
女は部屋の玄関で立ったままで、チェンジされると思って部屋を出ようとした。
「ちょっと待った」
達也は何かを感じ取ったのだろう。
レイという女を部屋に入れ、チェンジするのを止めた。
「あ、あの私でいいんですか?こんな顔だし、いつもチェンジされるのは慣れてますから…」
レイはデリヘル嬢として生計を立てているものの、顔を見てチェンジする客が多く、中には
「首から下はサイコーなんだが、顔がなぁ…」
と言われ、客が付かなかった。
「とりあえず、前金払っとくよ」
達也はレイに金を渡した。
「あの、いいんですか?私で?」
レイは不思議そうに金を受け取った。
「いいよ、アンタで。でもそれは何だ?」
達也はレイの左手首を指した。
「…」
「まぁ、いいや。言いたくない事もあるだろうから敢えて聞かないけど、それじゃ客が付かなくなるぞ」
レイは陰気臭く、常に下を向いていた。
「でも、私、こんな顔してるし…」
「顔じゃねえよ、そのキズだよ。それじゃ、客がドン引きするだろ」
レイの言葉を遮るように、達也は自傷行為が原因で客が嫌がるんだ、と指摘した。
「…はい、すいません」
「…何だかアンタ暗いな?そんなんじゃ、この仕事無理なんじゃねえか?まぁ、余計な事なんだがな」
「…ごめんなさい」
「だから謝る必要はねえだろ。何でもかんでも、ごめんなさいばっか言ってんなよ!もう少し自信持てってば」
達也はレイに興味津々だった。
「あの、いいんですか?何もしなくて。あんまり時間ないですけど」
レイは話をばかりする達也に、何もしないで時間が経つのは申し訳ないと思い、服を脱ぎ始めた。
「いいよ、今日は。時間までゆっくり話そう。いや、決してアンタを見て萎えたってワケじゃねえ。むしろその逆でアンタに興味が湧いたんだ」
「…あの、こんな私のどこに興味があるんですか?だったら何で、話ばかりするんですか?」
「だから言ったろ、アンタに興味あるって」
「バカにしてるんですか?こんな女に何の興味があるの?ただからかってるだけでしょ!」
レイは部屋を出ようとした。
「んなこたねぇよ。もう時間か。また呼ぶから次はもう少し明るい顔してくれよ」
その日は話だけで終わり、レイは部屋を出た。
翌日も、達也はホテルを利用してレイを指名した。
【ガチャッ】
ドアを開けると、達也が部屋で待っていた。
「あ…」
「よぅ!また呼ぶって言ったじゃん。まぁ、中へ入んなよ。今日は少し長い時間のコースで頼むよ」
達也は前金をレイに払った。
ソファーに座り、タバコに火をつけた。
「あの、今日も話だけですか?」
一体、この男は何だろう?こんな顔の私を指名して、何もしないで話だけするなんて…
レイは達也が自分に何の興味があって、二日続けて指名したのか?
「んー、今日は何しようか。まず、話をしてからでいいじゃん?だからロングのコースにしたんだから」
「でも、二日続けて話だなんて、お金が勿体ない…」
達也は笑い飛ばした。
「客の懐まで心配すんのかよ?アンタやっぱ面白いな。益々気に入ったよ」
「いい加減にして!何だか私バカにされてるみたいでイヤなの!何で高い金払って、何もしなくて話だけなの?」
レイは何故、この男は2日続けて話だけするんだろうか?
これじゃ、何のためにここに来たのか、サッパリ分からない。
「まぁ、いいからちょっと隣に座ってくれよ」
ソファーをポンポンと叩き、隣に座れと促した。
レイは達也と少し距離を置いたような感じで、ソファーに座った。
「その腕、オレに見せてくれない?」
達也は自傷行為を繰り返し、無数の切り傷が刻まれた左手首を見た。
「あぁ~あ、良い身体してんのに勿体ない。こんな事繰り返してデリヘルなんてやったって、男はあまりいい気分にならないぞ」
「…説教するつもり?」
レイは左腕を引っ込めた。
「いや、別に。だって説教しても、アンタまた繰り返すだろ?」
「…じゃ、何が言いたいの?」
達也は立ち上がりベッドに倒れ込んだ。
「アンタもオレと一緒で暗い過去あんだろ?ただそれだけだ」
天井の鏡を見ながら達也はレイに自分の過去を話した。
「生まれた時から母親がいなくてさ、オヤジとずっと二人で暮らしてきたんだけど、最近になって、オフクロだと名乗る人物が現れてきてさ…
今更、何が母親だ!
おまけに、血の繋がらねえ弟まで現れて、はい、そうですか、なんて言えるか?言えないだろ、フツー!
なのに、母親は出て来るわ、頭の悪そうなガキが弟だなんてよ…
挙げ句に、オヤジは出張先で事故に遭って死んじまってな。
何が何だか、サッパリ分からねえや。
だからこうやって、昨日も今日もアンタを呼んで話したくなっただけだよ」
レイはただ黙って聞いていた。
「…大変なんですね」
「アンタも大変だったんだろ?似た者同士じゃねえか」
レイはうつむき、ボソッと話し出した。
「実は…私、過去に傷害事件起こして…」
レイは達也につられるように、過去をカミングアウトしていった。
この二人が知り合ったのは、今から一ヶ月半前の事である。
達也は亮輔と同じ、女は性処理の道具という考えの持ち主だ。
ただ二人が違う点は、亮輔は合意のうえでの行為に対し、達也は金に物を言わせ、強引に自らの性癖である、アナルセックスを強要する点であり、レイプに近い行為だ。
達也はギャンブルはやらないが、女遊びは派手で、素人からプロの女まで幅広く関係を持った。
風俗はもっぱらソープかヘルス、またはホテルでデリヘル嬢を呼んで、アナル可能な女を呼んでは行為に及んでいた。
その日もホテルに入り、風俗専門のネットでどのタイプの女にしようか、と物色していた。
達也の目に止まったのは、スタイル抜群なレイという名前のデリヘル嬢を指名した。
だが、部屋に来たのはスタイルは申し分ないが、顔はエラが張って、一重まぶたに大きな口、そして出っ歯気味の暗い感じの女だった。
「何だよ、写真と全然違うじゃねえかよっ!」
デリヘル嬢の写真は載っているが、肝心の顔の部分はボカシが入って、分からないようになっている。
いわゆる地雷と呼ばれるタイプの女で、チェンジしようと店に連絡をした時だった。
ふと、女の左手首の辺りに無数のキズを見つけた。
自傷行為、いわゆるリストカットを何度も行っている女だ。
(ヤベーな、コイツ病んでるじゃんかよ)
女は部屋の玄関で立ったままで、チェンジされると思って部屋を出ようとした。
「ちょっと待った」
達也は何かを感じ取ったのだろう。
レイという女を部屋に入れ、チェンジするのを止めた。
「あ、あの私でいいんですか?こんな顔だし、いつもチェンジされるのは慣れてますから…」
レイはデリヘル嬢として生計を立てているものの、顔を見てチェンジする客が多く、中には
「首から下はサイコーなんだが、顔がなぁ…」
と言われ、客が付かなかった。
「とりあえず、前金払っとくよ」
達也はレイに金を渡した。
「あの、いいんですか?私で?」
レイは不思議そうに金を受け取った。
「いいよ、アンタで。でもそれは何だ?」
達也はレイの左手首を指した。
「…」
「まぁ、いいや。言いたくない事もあるだろうから敢えて聞かないけど、それじゃ客が付かなくなるぞ」
レイは陰気臭く、常に下を向いていた。
「でも、私、こんな顔してるし…」
「顔じゃねえよ、そのキズだよ。それじゃ、客がドン引きするだろ」
レイの言葉を遮るように、達也は自傷行為が原因で客が嫌がるんだ、と指摘した。
「…はい、すいません」
「…何だかアンタ暗いな?そんなんじゃ、この仕事無理なんじゃねえか?まぁ、余計な事なんだがな」
「…ごめんなさい」
「だから謝る必要はねえだろ。何でもかんでも、ごめんなさいばっか言ってんなよ!もう少し自信持てってば」
達也はレイに興味津々だった。
「あの、いいんですか?何もしなくて。あんまり時間ないですけど」
レイは話をばかりする達也に、何もしないで時間が経つのは申し訳ないと思い、服を脱ぎ始めた。
「いいよ、今日は。時間までゆっくり話そう。いや、決してアンタを見て萎えたってワケじゃねえ。むしろその逆でアンタに興味が湧いたんだ」
「…あの、こんな私のどこに興味があるんですか?だったら何で、話ばかりするんですか?」
「だから言ったろ、アンタに興味あるって」
「バカにしてるんですか?こんな女に何の興味があるの?ただからかってるだけでしょ!」
レイは部屋を出ようとした。
「んなこたねぇよ。もう時間か。また呼ぶから次はもう少し明るい顔してくれよ」
その日は話だけで終わり、レイは部屋を出た。
翌日も、達也はホテルを利用してレイを指名した。
【ガチャッ】
ドアを開けると、達也が部屋で待っていた。
「あ…」
「よぅ!また呼ぶって言ったじゃん。まぁ、中へ入んなよ。今日は少し長い時間のコースで頼むよ」
達也は前金をレイに払った。
ソファーに座り、タバコに火をつけた。
「あの、今日も話だけですか?」
一体、この男は何だろう?こんな顔の私を指名して、何もしないで話だけするなんて…
レイは達也が自分に何の興味があって、二日続けて指名したのか?
「んー、今日は何しようか。まず、話をしてからでいいじゃん?だからロングのコースにしたんだから」
「でも、二日続けて話だなんて、お金が勿体ない…」
達也は笑い飛ばした。
「客の懐まで心配すんのかよ?アンタやっぱ面白いな。益々気に入ったよ」
「いい加減にして!何だか私バカにされてるみたいでイヤなの!何で高い金払って、何もしなくて話だけなの?」
レイは何故、この男は2日続けて話だけするんだろうか?
これじゃ、何のためにここに来たのか、サッパリ分からない。
「まぁ、いいからちょっと隣に座ってくれよ」
ソファーをポンポンと叩き、隣に座れと促した。
レイは達也と少し距離を置いたような感じで、ソファーに座った。
「その腕、オレに見せてくれない?」
達也は自傷行為を繰り返し、無数の切り傷が刻まれた左手首を見た。
「あぁ~あ、良い身体してんのに勿体ない。こんな事繰り返してデリヘルなんてやったって、男はあまりいい気分にならないぞ」
「…説教するつもり?」
レイは左腕を引っ込めた。
「いや、別に。だって説教しても、アンタまた繰り返すだろ?」
「…じゃ、何が言いたいの?」
達也は立ち上がりベッドに倒れ込んだ。
「アンタもオレと一緒で暗い過去あんだろ?ただそれだけだ」
天井の鏡を見ながら達也はレイに自分の過去を話した。
「生まれた時から母親がいなくてさ、オヤジとずっと二人で暮らしてきたんだけど、最近になって、オフクロだと名乗る人物が現れてきてさ…
今更、何が母親だ!
おまけに、血の繋がらねえ弟まで現れて、はい、そうですか、なんて言えるか?言えないだろ、フツー!
なのに、母親は出て来るわ、頭の悪そうなガキが弟だなんてよ…
挙げ句に、オヤジは出張先で事故に遭って死んじまってな。
何が何だか、サッパリ分からねえや。
だからこうやって、昨日も今日もアンタを呼んで話したくなっただけだよ」
レイはただ黙って聞いていた。
「…大変なんですね」
「アンタも大変だったんだろ?似た者同士じゃねえか」
レイはうつむき、ボソッと話し出した。
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