Baseball Freak 主砲の一振り 7

sky-high

文字の大きさ
上 下
166 / 181
過酷なペナントレース

手こずるスイッチピッチャー

しおりを挟む
現在回は5回の表。

Glanz打線はスイッチピッチャー椎名に翻弄され、未だノーヒット。

右と左を交互に投げているだけだが、どちらの球もクセがあって攻略法が見いだせないでいる。


椎名は右バッターには左で、左バッターには右で投げている。


一見するとバッターの方が有利に見えるが、椎名は上手くタイミングを外したり、緩急自在のピッチングでGlanz打線を手玉に取る。



「中々打てないなぁ~」


「見た感じ、そんなにスゴイって球でもないのにな」


ベンチから見ても、椎名のボールは何の変哲もないように感じる。


なのに、打線は沈黙したまま。


「私わかります(^-^)」


ひろしは何かに気づいた。


「じゃ、言ってみろよ。何が分かったんだよ」


「簡単ですち!椎名選手は左右どちらもボールの出所を見えないようにしているですち!」


「んなこたぁ、分かってんだよ!こちとら、ピッチャー上がりだ!それぐらい分からなくてどうする!」


「出所を見えなくしているだけじゃなく、投げるタイミングを少しズラしているですち!」


「そんな器用な事出来んのか?」


左右どちらでも投げるタイミングをズラしていると言う。


よく見ると、上手く手首を使ってほんの一瞬だけリリースを遅らせている。


「ホントだ!なんつー投げ方してんだ、アイツは?」


「単なるイロモノじゃないって事だな、ありゃ」


左右均等に投げ分け、尚且つどちらでもタイミングをずらすとは、神業に近い。


「おい、茶坊主!何か攻略法はないのかよ!」


「んだな(^^)」


「無いのかよ!」


さすがのひろしもお手上げだ。


「攻略するにはしばらく時間がかかりますち!それまでの間、フォームの分析や球筋などを記憶するしかないですち!」


「マジか…」


その予言通り、Glanzは7回に石川の内野安打でノーヒットは免れたが、その裏に5番鷹村が疲れの見えた中邑のストレートをフルスイング。

センターバックスクリーンへ第13号ソロを放ち、これが決勝点に。


椎名はGlanzを1安打無四球の完封勝利。


Glanzは痛い1敗を喫した。


これで2位ブレーブスとのゲーム差はゼロになり、Glanzはまさかの4連敗。


続く第2戦も、Super Phoenix先発高橋の前に沈黙。


Glanz先発降谷は4回に北斗、鷹村の連続アーチを浴び、6回には姫野の第8号ツーランで6失点となりKO。


Glanzも9回に白石が第9号ツーランで2点を返すものの、時すでに遅し。


6対2で敗れ去り、とうとう首位の座をブレーブスに明け渡した。


しおりを挟む

処理中です...