Baseball Freak 主砲の一振り 7

sky-high

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素質はS級、素行の悪さはSSS級

獲得

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中田の提案に床に大の字で倒れていたひろしがムクリと起き上がって賛同する。

「私わかります(^^)
麻生選手は二桁勝利とトリプルスリーを同時に達成出来ますち!」

「何だ、その語尾にち!って言うのは!」

何でもひろしの口ぐせらしい。

「んだな(^ ^)」


「いつになったら、コイツとまともな会話出来んだよ」


「一生ムリだろ」


ムリなのは置いといて、何としてでも麻生をGlanzに入団させたい。


「私わかります(^_^)」


「毎回ソレ言わなきゃ気が済まないのかよ!」


「麻生選手は二刀流として獲得すべきですち!
私心理カンセラーの先生言われます(^^)」


「…」


二人ともシカトを決め込んだ。


「二刀流ねぇ…ひとえに二刀流って言うけど、そんな簡単なモンじゃないだろ」


「いいじゃねえかよ、やってみなけりゃ分からない事だってあるし」



何にせよ、それだけの逸材が埋もれてしまうのは勿体ない、そんな理由で獲得に名乗りを挙げたらしい。


「んで、獲るのはいいとして…どういう起用法にすりゃいいのか」


「登板日以外は野手として出場させりゃいいじゃん」


「ムリだろ!投げた翌日も野手として出すのかよ?」


投手出身の榊にとって、投げた翌日は野手として出場するなんて考えられない。


「指名打者として出場させりゃ守備の負担は無いし、打つ方に専念出来るじゃん」


「うーん…」


「やってみて、ダメだったら他の方法考えりゃいいじゃん」


「そんな簡単なモンでいいのかなぁ」


楽天家に見える榊だが、実はアレコレと考えるタイプで、中田の方が楽天家なのだ。



「何せ、ウチには選手の分析に秀でた人物がいるじゃねぇか」


ひろしの方を見る。


「私わかります(^ ^)」


「こんなヤツでも取り柄があるとはな」


「んだな(^_^)」


かくして、Glanzは麻生を無償トレードで獲得する事となった。





背番号は22、年俸は750万で契約。



入団会見は榊と中田、それにひろしが同席した。


真新しいGlanzのロゴが入ったユニフォームに袖を通すと、仏頂面で席に着いた。


記者からの質問に対して、


「何処に移ろうが、ワシはワシのやり方でやるけんのぉ」

と広島弁で言い放つ。


ダークブランの短髪にピアス、アゴヒゲに右の前腕部にはナスカの地上絵の様なタトゥーが見え隠れしている。


浅黒い肌にやや彫りの深い端正で精悍な顔立ちだが、見ようによっては輩にも見える。


とにかく一目でガラが悪いヤツだと丸わかりだ。


すると、隣に座っている榊が麻生の方を見て発言した。


「オレ流なのは結構だがよ、ウチにはウチのやり方があるんだよ。それに従ってもらうからな、いいな?」


一瞬、殺気に満ちた表情を浮かべた。


「っ、…」


その表情に気圧されたのか、言葉が詰まった。


「や、やり方だか何だか知らんが、要は結果さえ出しゃええんじゃ!ワシのやり方に口を挟むなや!」


「ホォ~、中々骨のあるヤツじゃねぇか…これは先が楽しみだなぁ」


現役時代、最凶サウスポーと謳われた恐い榊が垣間見えた。


「あ~ぁ、こりゃどうなる事やら…」


「私わかります(^ ^)
朝の朝食はサンドイッチとお茶漬けありですか?」


【食い合わせが悪いわぃ!】


バゴッ…


「グヘッ…」


榊がローキック、麻生がハイキック、中田はミドルキックを同時に叩き込んだ。



「面白ぇチームに来たモンだのぉ」


少しは期待出来そうだ、麻生はそう思った。
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