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栄冠
最終決戦その3
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先頭打者の村上を三振に打ち取ると、2番の主砲羽田を157km/hのツーシームでセカンドゴロ、3番高野をフォークの空振り三振でスリーアウトチェンジ。
対するマーリンズ先発天海も中邑に負けじと165km/hのバレットで三振の山を築く。
球速に変化は無いが、スカイウォーカーズのバッターは口々に「以前よりも速い」と言う。
少なくともオールスター前までは、結城や鬼束と言った日本を代表するスラッガーがバレットを攻略したケースが何度かあった。
しかしマーリンズに移籍してから、バレットに当てる事すら難しくなってきた。
完全試合を達成した際も、レボリューションズ打線はバレットにタイミングが合わず三振を喫していた。
一体何が変わったというのか。
幾つかの理由があるのだが、一つはバレットの回転数がオールスター前と比べると、かなり上がっている事が顕著に見られる。
それまでのバレットの回転数は約2200
しかし、オールスター明けにマーリンズへ移籍してから回転数が約2500とアップしている。
ノビのあるストレートとは縦回転、即ちバックスピンがかかると揚力が強く、ホップするような軌道を描く。
実際にはホップする事は無いが、初速と終速の差が少ない程バッターにはホップする様に感じる。
ノビのあるストレートが高目に来た場合、バッターは軌道を予測してスイングするが、実際の軌道はボール二個、三個分上を通過している。
天海はバレットを精度を上げるため、縦の軸回転と回転数を上げる事に着目した。
試行錯誤を繰り返し、正しいフォームとリリースを手に入れた。
進化したバレットは想像以上で、予測した軌道の更に上へノビていく。
もう一つの理由は、先程の縦回転のバレットとは別に【ジャイロ回転】のバレットをマスターした事だ。
縦のバックスピンとは違い、進行方向に回転するジャイロボールは揚力が発生しない。
初速と終速の差は少ないが、下に落ちる軌道を描く。
天海はジャイロ回転のバレットにもトライし、何とかモノにした。
二種類のバレットを駆使してノビのストレートと縦横に鋭く変化するストレートを手に入れた。
完全試合の時は投球の7割がこの二種類のバレットで、残りの3割はスライダーとカーブのみ。
1回から9回までバレットを投げる為には、強靭な足腰と無尽蔵のスタミナが必要不可欠となる。
二軍では徹底的に身体を鍛え上げ、心·技·体のうち技·体を得て、鈴木前監督とのタイマン勝負で負けたものの、残りの心を習得した。
中邑が【発展途上のエース】ならば、天海は心·技·体が備わった【完全無欠のエース】で死角はどこにも見当たらない。
息詰まる投手戦が続くなか、試合は終盤の7回まで進む。
ここまで両チーム共に無得点。
中邑は6回まで2安打2四球5奪三振。
天海は無安打無四球9奪三振とパーフェクトピッチング。
スカイウォーカーズは天海を攻略出来ずに凡打を繰り返す。
「Now, let's turn to counterattack!(さぁ、ここから反撃してやろうぜ!)」
ベンチではトーマス打撃総合コーチが選手を鼓舞する。
今シーズン打撃コーチに就任したトーマスは、バッティング技術向上のみならず、ムードメーカーとしてベンチの士気を上げる役割を買って出た。
現役時代と変わらぬ熱血漢で人間味溢れる人柄で、選手達は【グレートダディ】と呼ばれ慕われている。
「All right. Great father.I'm sure I'll go on base!(分かったよ、グレートダディ。絶対に出塁してやる)」
この回トップのラファエルがトーマスにウインクすると、バットを持って打席に向かった。
【7回の表、スカイウォーカーズの攻撃は1番ライトラファエル】
颯爽とラファエルが左打席に入る。
(ここまでパーフェクトピッチング…だが、オレが必ず塁に出てやる)
獲物を捕らえる様な目でマウンド上の天海を見る。
第一打席は空振りの三振。
第二打席はショートゴロとタイミングに合ってない。
背番号99を付けた現役最高のピッチャーが、ラファエルの前に高い壁として立ちはだかる。
「Raphael, imagine the trajectory a little above you and hit it!(ラファエル、少し上の軌道をイメージしてスイングしろ!)」
ベンチからトーマスが大声でアドバイスする。
天海のバレットは想像以上のノビがある。
イメージする軌道よりボール三つ分上にホップする。
左脇を開け、バットがスムーズに出やすいよう、寝かせ気味に構える。
(ヤツのフォーシームを打つには、鋭く速いスイングでぶっ叩くのみ)
上体を捻り、反動で素早いスイングで打ち返す。
キャッチャーの川上はラファエルの構えを見てサインを出した。
サインに頷き、ノーワインドアップからキレイなオーバースローで初球を投げた。
まさに弾丸と呼ばれるフォーシームが放たれ、唸りを上げてミットに吸い込まれる。
「ストライク!」
今まで以上にスピードの乗ったバレットがアウトコース低目へズバッと決まった。
(なる程…コーチの言ってた通り、ボール三個分上を通過する)
イメージはインプット出来たか。
対するマーリンズ先発天海も中邑に負けじと165km/hのバレットで三振の山を築く。
球速に変化は無いが、スカイウォーカーズのバッターは口々に「以前よりも速い」と言う。
少なくともオールスター前までは、結城や鬼束と言った日本を代表するスラッガーがバレットを攻略したケースが何度かあった。
しかしマーリンズに移籍してから、バレットに当てる事すら難しくなってきた。
完全試合を達成した際も、レボリューションズ打線はバレットにタイミングが合わず三振を喫していた。
一体何が変わったというのか。
幾つかの理由があるのだが、一つはバレットの回転数がオールスター前と比べると、かなり上がっている事が顕著に見られる。
それまでのバレットの回転数は約2200
しかし、オールスター明けにマーリンズへ移籍してから回転数が約2500とアップしている。
ノビのあるストレートとは縦回転、即ちバックスピンがかかると揚力が強く、ホップするような軌道を描く。
実際にはホップする事は無いが、初速と終速の差が少ない程バッターにはホップする様に感じる。
ノビのあるストレートが高目に来た場合、バッターは軌道を予測してスイングするが、実際の軌道はボール二個、三個分上を通過している。
天海はバレットを精度を上げるため、縦の軸回転と回転数を上げる事に着目した。
試行錯誤を繰り返し、正しいフォームとリリースを手に入れた。
進化したバレットは想像以上で、予測した軌道の更に上へノビていく。
もう一つの理由は、先程の縦回転のバレットとは別に【ジャイロ回転】のバレットをマスターした事だ。
縦のバックスピンとは違い、進行方向に回転するジャイロボールは揚力が発生しない。
初速と終速の差は少ないが、下に落ちる軌道を描く。
天海はジャイロ回転のバレットにもトライし、何とかモノにした。
二種類のバレットを駆使してノビのストレートと縦横に鋭く変化するストレートを手に入れた。
完全試合の時は投球の7割がこの二種類のバレットで、残りの3割はスライダーとカーブのみ。
1回から9回までバレットを投げる為には、強靭な足腰と無尽蔵のスタミナが必要不可欠となる。
二軍では徹底的に身体を鍛え上げ、心·技·体のうち技·体を得て、鈴木前監督とのタイマン勝負で負けたものの、残りの心を習得した。
中邑が【発展途上のエース】ならば、天海は心·技·体が備わった【完全無欠のエース】で死角はどこにも見当たらない。
息詰まる投手戦が続くなか、試合は終盤の7回まで進む。
ここまで両チーム共に無得点。
中邑は6回まで2安打2四球5奪三振。
天海は無安打無四球9奪三振とパーフェクトピッチング。
スカイウォーカーズは天海を攻略出来ずに凡打を繰り返す。
「Now, let's turn to counterattack!(さぁ、ここから反撃してやろうぜ!)」
ベンチではトーマス打撃総合コーチが選手を鼓舞する。
今シーズン打撃コーチに就任したトーマスは、バッティング技術向上のみならず、ムードメーカーとしてベンチの士気を上げる役割を買って出た。
現役時代と変わらぬ熱血漢で人間味溢れる人柄で、選手達は【グレートダディ】と呼ばれ慕われている。
「All right. Great father.I'm sure I'll go on base!(分かったよ、グレートダディ。絶対に出塁してやる)」
この回トップのラファエルがトーマスにウインクすると、バットを持って打席に向かった。
【7回の表、スカイウォーカーズの攻撃は1番ライトラファエル】
颯爽とラファエルが左打席に入る。
(ここまでパーフェクトピッチング…だが、オレが必ず塁に出てやる)
獲物を捕らえる様な目でマウンド上の天海を見る。
第一打席は空振りの三振。
第二打席はショートゴロとタイミングに合ってない。
背番号99を付けた現役最高のピッチャーが、ラファエルの前に高い壁として立ちはだかる。
「Raphael, imagine the trajectory a little above you and hit it!(ラファエル、少し上の軌道をイメージしてスイングしろ!)」
ベンチからトーマスが大声でアドバイスする。
天海のバレットは想像以上のノビがある。
イメージする軌道よりボール三つ分上にホップする。
左脇を開け、バットがスムーズに出やすいよう、寝かせ気味に構える。
(ヤツのフォーシームを打つには、鋭く速いスイングでぶっ叩くのみ)
上体を捻り、反動で素早いスイングで打ち返す。
キャッチャーの川上はラファエルの構えを見てサインを出した。
サインに頷き、ノーワインドアップからキレイなオーバースローで初球を投げた。
まさに弾丸と呼ばれるフォーシームが放たれ、唸りを上げてミットに吸い込まれる。
「ストライク!」
今まで以上にスピードの乗ったバレットがアウトコース低目へズバッと決まった。
(なる程…コーチの言ってた通り、ボール三個分上を通過する)
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