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コンバート
第二の正捕手
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今夜はナイトゲームで6時にプレイボール。
昨日はスカイウォーカーズキラーの金の前に打線が沈黙。
順位はマーリンズと並ばれ、同率首位に。
今日のゲームは絶対に負けられない。
今日の先発は16勝6敗、防御率2.53 奪三振206とトップを独走する真咲。
レッズは12勝7敗、防御率3.34と6年連続二桁勝利をマークしたエース与謝野。
スカイウォーカーズのスタメンは
1ライト ラファエル
2センター 唐澤
3セカンド 鬼束
4ファースト 結城
5サード 毒島
6レフト 中山
7ショート 石川
8ピッチャー 真咲
9キャッチャー 七海
今夜は鬼束が3番に回り、結城が4番に座る。
キャッチャーは正捕手の保坂をベンチスタートに回し、一軍に昇格したばかりの七海 晴彦(ななみはるひこ)をスタメンに起用した。
レッズのスタメンは
1ショート葛西
2サード乃木
3ファーストワグナー
4センター浅倉
5レフト渡部
6キャッチャー林
7ライト三浦
8セカンド八木
9ピッチャー与謝野
レッズはサード岩下に代わり、ルーキーの乃木。
レフトはこのところ不振のウォーリーをベンチに下げ、代打で結果を残している渡部をスタメンに。
北陸ブルーオーシャンドームは4万人の大観衆で、熱狂的なレッズファンがひしめく。
チーム名でもある、赤のキャップにユニフォームシャツを着てスタンドを赤く染める。
「プレイボール!」
午後6時主審の右手が上がり、試合がスタート。
与謝野は立ち上がり絶好調で、1番ラファエルをツーシームで見逃しの三振。
2番唐澤をセンターフライ。
3番鬼束をサードゴロで三者凡退に打ち取る。
スカイウォーカーズ先発の真咲は、今日が初スタメンの七海とマウンドで入念な打ち合わせをする。
七海は大学野球の名門、英智大学から一昨年ドラフト2位でスカイウォーカーズに入団。
プロ1年目の昨年は、一軍で6試合出場。
リード面とキャッチングは改善の余地があるものの、強肩で座ったまま二塁へ矢のような送球を投げる。
長打は少ないが、類まれなるバットコントロールと50m5.8秒という脚力を誇り、外野手へのコンバート案も浮上したが、本人はキャッチャーへのこだわりが強く断念した。
スカイウォーカーズは1才年下の保坂が正捕手だが、キャッチャーというポジションは激務でフル出場は難しい。
七海と併用して起用する事で保坂の負担を軽減させようとする。
保坂は右打ち、七海は左打ち。
相手投手によっては出番が増える事も可能だ。
「おいルーキー、キンチョーしてるか?」
真咲がからかうような口調で問い掛ける。
「スゴい熱気ですね…」
雰囲気に飲まれないように努めているが、初スタメンという事もあってか、浮き足立っている。
「落ち着けって言っても、この雰囲気じゃムリってもんだ…
サインはオレが出す。
お前はミットを構えてくれりゃいい」
真咲は豪胆でどんな状況でも臆する事無く、自分の仕事を淡々とこなす。
平常心故に、球界一遅い球を投げる事が出来る。
「…分かりました。
でも真咲さんに頼りっぱなしじゃ、いつまで経っても半人前ですから、自分もサインを出します」
縁なしメガネの奥から大きな瞳を輝かせる。
「あいよ。とにかく今日は頼むぜ、相棒」
背中をパンと叩いた。
「こちらこそよろしくお願いします」
ペコりと頭を下げ、小走りで本塁に戻った。
背番号36が頼もしく見えた。
「こりゃ、アツシもうかうかしてらんないな」
笑みを浮かべ、いつもの様にマウンドで柔軟体操を始める。
膝を伸ばした状態で前屈すると、額と膝小僧がくっ付く。
身体の柔らかいプロ野球選手は多いが、真咲の柔軟な身体は球界でもトップクラスに入る。
スタンドから【おぉ~】という声が聞こえる。
投球練習をしない代わりに、柔軟体操を入念に行う。
前屈、屈伸と立った状態でストレッチをして準備完了となる。
「プレイ!」
トップバッターの葛西は既に右打席に入って、真咲が投げるのを待ち構えている。
主審の声で1回の裏レッズの攻撃がスタート。
真咲はサインを出す。
マスクを被る七海はミットをポンと叩くと、外に寄ってミットを構えた。
「今日は一人もランナーを出さずに終わらせようかな」
真咲がパーフェクトを予告した。
昨日はスカイウォーカーズキラーの金の前に打線が沈黙。
順位はマーリンズと並ばれ、同率首位に。
今日のゲームは絶対に負けられない。
今日の先発は16勝6敗、防御率2.53 奪三振206とトップを独走する真咲。
レッズは12勝7敗、防御率3.34と6年連続二桁勝利をマークしたエース与謝野。
スカイウォーカーズのスタメンは
1ライト ラファエル
2センター 唐澤
3セカンド 鬼束
4ファースト 結城
5サード 毒島
6レフト 中山
7ショート 石川
8ピッチャー 真咲
9キャッチャー 七海
今夜は鬼束が3番に回り、結城が4番に座る。
キャッチャーは正捕手の保坂をベンチスタートに回し、一軍に昇格したばかりの七海 晴彦(ななみはるひこ)をスタメンに起用した。
レッズのスタメンは
1ショート葛西
2サード乃木
3ファーストワグナー
4センター浅倉
5レフト渡部
6キャッチャー林
7ライト三浦
8セカンド八木
9ピッチャー与謝野
レッズはサード岩下に代わり、ルーキーの乃木。
レフトはこのところ不振のウォーリーをベンチに下げ、代打で結果を残している渡部をスタメンに。
北陸ブルーオーシャンドームは4万人の大観衆で、熱狂的なレッズファンがひしめく。
チーム名でもある、赤のキャップにユニフォームシャツを着てスタンドを赤く染める。
「プレイボール!」
午後6時主審の右手が上がり、試合がスタート。
与謝野は立ち上がり絶好調で、1番ラファエルをツーシームで見逃しの三振。
2番唐澤をセンターフライ。
3番鬼束をサードゴロで三者凡退に打ち取る。
スカイウォーカーズ先発の真咲は、今日が初スタメンの七海とマウンドで入念な打ち合わせをする。
七海は大学野球の名門、英智大学から一昨年ドラフト2位でスカイウォーカーズに入団。
プロ1年目の昨年は、一軍で6試合出場。
リード面とキャッチングは改善の余地があるものの、強肩で座ったまま二塁へ矢のような送球を投げる。
長打は少ないが、類まれなるバットコントロールと50m5.8秒という脚力を誇り、外野手へのコンバート案も浮上したが、本人はキャッチャーへのこだわりが強く断念した。
スカイウォーカーズは1才年下の保坂が正捕手だが、キャッチャーというポジションは激務でフル出場は難しい。
七海と併用して起用する事で保坂の負担を軽減させようとする。
保坂は右打ち、七海は左打ち。
相手投手によっては出番が増える事も可能だ。
「おいルーキー、キンチョーしてるか?」
真咲がからかうような口調で問い掛ける。
「スゴい熱気ですね…」
雰囲気に飲まれないように努めているが、初スタメンという事もあってか、浮き足立っている。
「落ち着けって言っても、この雰囲気じゃムリってもんだ…
サインはオレが出す。
お前はミットを構えてくれりゃいい」
真咲は豪胆でどんな状況でも臆する事無く、自分の仕事を淡々とこなす。
平常心故に、球界一遅い球を投げる事が出来る。
「…分かりました。
でも真咲さんに頼りっぱなしじゃ、いつまで経っても半人前ですから、自分もサインを出します」
縁なしメガネの奥から大きな瞳を輝かせる。
「あいよ。とにかく今日は頼むぜ、相棒」
背中をパンと叩いた。
「こちらこそよろしくお願いします」
ペコりと頭を下げ、小走りで本塁に戻った。
背番号36が頼もしく見えた。
「こりゃ、アツシもうかうかしてらんないな」
笑みを浮かべ、いつもの様にマウンドで柔軟体操を始める。
膝を伸ばした状態で前屈すると、額と膝小僧がくっ付く。
身体の柔らかいプロ野球選手は多いが、真咲の柔軟な身体は球界でもトップクラスに入る。
スタンドから【おぉ~】という声が聞こえる。
投球練習をしない代わりに、柔軟体操を入念に行う。
前屈、屈伸と立った状態でストレッチをして準備完了となる。
「プレイ!」
トップバッターの葛西は既に右打席に入って、真咲が投げるのを待ち構えている。
主審の声で1回の裏レッズの攻撃がスタート。
真咲はサインを出す。
マスクを被る七海はミットをポンと叩くと、外に寄ってミットを構えた。
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