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チャンピオンへの道
再起戦は…
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東郷の喝が効いたのか、あれ以来今道は考え方を改め、チャンピオンになるべく、ファイトスタイルを変えていく方向性にシフトチェンジする。
今道の原動力でもある、ファイトマネーについても同様で、闘って勝った結果の対価がファイトマネーという考えに変わっていった。
そんな中、次の対戦相手が決まったと運営からの知らせが届く。
ランキング7位だった佐々木が引退した事により、繰り上げとなった総合格闘技出身の大和 充(やまとみつる)27歳。
UWPでの戦績は、6戦全勝。
全て相手はプロレスラーで、付いたニックネームは【プロレスハンター】と呼ばれている。
大和のファイトスタイルは極めて残酷的で、オープンフィンガーグローブを着用せず、素手によるパンチ攻撃を得意とし、屈強なプロレスラーをパウンドで下している。
プロレスラーに対して嫌悪感を抱き、プロレスはショーで、総合格闘家の足元にも及ばないと豪語している。
「プロレスラーは実際は弱いというのを証明する為に、このリングに上がって闘っているというワケですか…」
「そのようですね」
プロレスをバカにされればいい気はしない。
プロレスを毛嫌いしていた今道だが、それでもプロレスラーのはしくれだ。
しかも、部外者でもある大和にそんな事を言われれば、やってやろうじゃないか!という気持ちにもなる。
「プロレスがイヤなら、総合格闘技のリングに上がればいいものを、何でココに?」
「さァ…とにかく、プロレスはインチキ、コッチのやる事がホンモノだという事を証明したいんじゃないですかね」
要するに、カネと己の強さを誇示したいが為にUWPのリングに上がってるのだろうと、今道なりに解釈した。
「しかも、素手での顔面パンチって…自分の拳もケガするんじゃないですかね?」
「でしょうね。実際、彼は過去に三回拳を骨折しています。
全て素手によるパンチ攻撃で負傷したらしいですが、それでも素手による攻撃にこだわってるみたいです」
頭がイカれてるんじゃないか…今道はそう思った。
「でも、素手による顔面パンチは反則なんじゃないですか?」
東郷は首を横に振った。
「今道クン、ここは地下プロレスですよ。
従来のプロレス団体とは違うんです。UWPはほぼノールール。
それに、プロレスとはルールが曖昧なのが他の格闘技と違う点です。
プロレスこそが、真のヴァーリトゥードなのです」
それにしても、あまりに危険な闘いになることは必至だ。
「危険過ぎますね。下手すりゃ一発で試合が終わってしまいそうな攻撃ですし」
「当然です。ですが、その危険性を含めてのUWPなんですから」
それ故に、勝てば莫大なファイトマネーを手にする。
「とにかく、相手はプロレスラーじゃないという事は分かりました。
それならば、オレはプロレスラーとして総合格闘家に勝てばいいワケですよね?」
「勿論です。それこそが、神宮寺さんの目指す理想のプロレスラーという事です」
となれば、それに対応出来る闘い方をするのが重要だ。
「今回はハードな試合になりそうだな」
多少のケガは覚悟する必要があると思った。
その対戦相手の大和だが、彼の練習方法は地下の総合格闘技に出場しているアウトロー達を相手に実戦さながらのスパーを行っているという。
「ったく、少しは歯ごたえのあるヤツがいるかと思ったんだが…こうも使えねえヤツらじゃ、練習にもなんねえ」
(うぅ…)
186cm 101kgという、ヘビー級の体格を誇る大和がリングの上で仁王立ちする。
傍らには、タトゥーを施したイカつい連中が大の字で倒れている。
「クソ…総合格闘技なのに、素手で攻撃しやがって」
スキンヘッドの男が埋めくように呟く。
「アホか!闘いは常に殺るか殺られるかのどっちかだ!」
「ふざけんな!これは試合だろ!
試合だったら、ルールに則った闘い方をするのが当たり前だろ!」
セコンドの一人が反論する。
「試合?だからオマエらは甘いんだよ。
リングに立ったら、そんなモンは関係ねぇ!目の前の敵をぶっ倒す!それだけだ!」
「汚ねえ…こんな卑怯モンが総合格闘家とは…」
「それがどうした?要は勝てばいいんだよ!」
ギラつく目つきで大和は叫ぶ。
「コイツらじゃトレーニングの足しにもならねぇ…やっぱ、あの場所に行くしかねぇな」
汗も拭わず、大和はリングを下りてジムを出た。
今道の原動力でもある、ファイトマネーについても同様で、闘って勝った結果の対価がファイトマネーという考えに変わっていった。
そんな中、次の対戦相手が決まったと運営からの知らせが届く。
ランキング7位だった佐々木が引退した事により、繰り上げとなった総合格闘技出身の大和 充(やまとみつる)27歳。
UWPでの戦績は、6戦全勝。
全て相手はプロレスラーで、付いたニックネームは【プロレスハンター】と呼ばれている。
大和のファイトスタイルは極めて残酷的で、オープンフィンガーグローブを着用せず、素手によるパンチ攻撃を得意とし、屈強なプロレスラーをパウンドで下している。
プロレスラーに対して嫌悪感を抱き、プロレスはショーで、総合格闘家の足元にも及ばないと豪語している。
「プロレスラーは実際は弱いというのを証明する為に、このリングに上がって闘っているというワケですか…」
「そのようですね」
プロレスをバカにされればいい気はしない。
プロレスを毛嫌いしていた今道だが、それでもプロレスラーのはしくれだ。
しかも、部外者でもある大和にそんな事を言われれば、やってやろうじゃないか!という気持ちにもなる。
「プロレスがイヤなら、総合格闘技のリングに上がればいいものを、何でココに?」
「さァ…とにかく、プロレスはインチキ、コッチのやる事がホンモノだという事を証明したいんじゃないですかね」
要するに、カネと己の強さを誇示したいが為にUWPのリングに上がってるのだろうと、今道なりに解釈した。
「しかも、素手での顔面パンチって…自分の拳もケガするんじゃないですかね?」
「でしょうね。実際、彼は過去に三回拳を骨折しています。
全て素手によるパンチ攻撃で負傷したらしいですが、それでも素手による攻撃にこだわってるみたいです」
頭がイカれてるんじゃないか…今道はそう思った。
「でも、素手による顔面パンチは反則なんじゃないですか?」
東郷は首を横に振った。
「今道クン、ここは地下プロレスですよ。
従来のプロレス団体とは違うんです。UWPはほぼノールール。
それに、プロレスとはルールが曖昧なのが他の格闘技と違う点です。
プロレスこそが、真のヴァーリトゥードなのです」
それにしても、あまりに危険な闘いになることは必至だ。
「危険過ぎますね。下手すりゃ一発で試合が終わってしまいそうな攻撃ですし」
「当然です。ですが、その危険性を含めてのUWPなんですから」
それ故に、勝てば莫大なファイトマネーを手にする。
「とにかく、相手はプロレスラーじゃないという事は分かりました。
それならば、オレはプロレスラーとして総合格闘家に勝てばいいワケですよね?」
「勿論です。それこそが、神宮寺さんの目指す理想のプロレスラーという事です」
となれば、それに対応出来る闘い方をするのが重要だ。
「今回はハードな試合になりそうだな」
多少のケガは覚悟する必要があると思った。
その対戦相手の大和だが、彼の練習方法は地下の総合格闘技に出場しているアウトロー達を相手に実戦さながらのスパーを行っているという。
「ったく、少しは歯ごたえのあるヤツがいるかと思ったんだが…こうも使えねえヤツらじゃ、練習にもなんねえ」
(うぅ…)
186cm 101kgという、ヘビー級の体格を誇る大和がリングの上で仁王立ちする。
傍らには、タトゥーを施したイカつい連中が大の字で倒れている。
「クソ…総合格闘技なのに、素手で攻撃しやがって」
スキンヘッドの男が埋めくように呟く。
「アホか!闘いは常に殺るか殺られるかのどっちかだ!」
「ふざけんな!これは試合だろ!
試合だったら、ルールに則った闘い方をするのが当たり前だろ!」
セコンドの一人が反論する。
「試合?だからオマエらは甘いんだよ。
リングに立ったら、そんなモンは関係ねぇ!目の前の敵をぶっ倒す!それだけだ!」
「汚ねえ…こんな卑怯モンが総合格闘家とは…」
「それがどうした?要は勝てばいいんだよ!」
ギラつく目つきで大和は叫ぶ。
「コイツらじゃトレーニングの足しにもならねぇ…やっぱ、あの場所に行くしかねぇな」
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