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西も今道と遜色の無い筋骨隆々とした肉体の持ち主だが、強引にマウントポジションを跳ね返したパワーに絶句する。
(何だ、コイツは…表のプロレスでも、こんなにパワーのあるヤツはいなかった…しかも、今日がデビュー戦のド新人だなんて…)
もしかして、自分は怪物を相手に試合をしているのでは…
一方の今道は怒りが頂点に達し、パワー全開で西を追い詰める。
(オレが今までやってきたプロレスとは何だったのか…)
西が以前所属していたSHARKは、デスマッチオンリーのプロレスを展開していた団体。
創始者の梶原優吾は正統派のプロレスよりも、奇を衒うデスマッチ路線のプロレスに活路を見出した。
有刺鉄線、画鋲、蛍光灯や五寸釘等、ありとあらゆる凶器を用いる闘いをリング上で繰り広げた。
西は子供の頃からプロレスの大ファンで、ゆくゆくはプロレスラーになるのが夢だった。
高校を卒業後、WWAに次ぐメジャー団体 GRAND SLAM (グランドスラム)に入門。
だが、先輩レスラーの可愛がりと称した理不尽なシゴきやパワハラによって、僅か2ヶ月で退団。
プロレスラーになるのは無理だと諦めかけた時に、知人の紹介によって梶原と出会う。
当時、SHARKは旗揚げ間もなく所属選手も資金も殆どない貧乏団体だった。
「オマエはスターになれる素質を持ってる。
オレのところで一緒にやってみないか?
そして、SHARKをメジャー団体にも負けない大きな団体にしてやろうじゃないか!」
そんな口説き文句に落とされ、SHARKに入門。
SHARKには理不尽なシゴきをする先輩レスラーもいない。
無いのは金だけで、それでも西は充実した日々を送った。
ただ、SHARKは全ての試合はデスマッチという、狂気に満ちた団体だ。
デビュー戦から有刺鉄線に囲まれたリングで大流血をする闘いを強いられ、その後も過激になっていくデスマッチを経験していく。
SHARKでは梶原に次ぐNo.2のポジションを確保出来たものの、正統派レスリングを渇望していた西の気持ちは正反対に沈んでいく。
来る日も来る日もデスマッチに明け暮れ、気づけば身体中は傷痕だらけとなり、それを覆い隠すようにTシャツやラッシュガードを着用して闘うようになっていった。
(互いに凶器を持って身体を傷つけ合うような闘いをして、一体何の意味があるのだろうか?
オレは正統派のプロレスがやりたんだ!)
梶原には何度も正統派のプロレスをやるよう直訴したが、デスマッチに取り憑かれた梶原は聞く耳を持たない。
ついに気持ちが完全に崩壊した西は、梶原とのシングルマッチを迎える。
リング上には脚立、有刺鉄線でぐるぐる巻きにされた金属バット、敷き詰められた画鋲に割れたガラスの破片等が散乱している。
これらの凶器を用い、流血戦の末に梶原が有刺鉄線巻き金属バット攻撃でフォール勝ちの予定だったが、西はこの試合を最後にSHARKを脱退するつもりだった事もあって、試合中盤からオープンフィンガーグローブを着用する。
一瞬戸惑う梶原だが、西は覚悟を決め、ボクシングスタイルで梶原を攻め立てる。
ファイトスタイルがガラリと変わった西は、梶原の凶器攻撃には付き合わず、鋭角的な打撃を叩き込む。
暇さえあれば格闘技のジムに通い、本格的なスパー、そして極めつけは戦意喪失した梶原にチョークスリーパーを掛け追い込む。
極秘で総合格闘技のジムに通い、会得した打撃と寝技に対応出来ず、危険と判断したレフェリーがゴングを要請。
レフェリーストップで西の勝利となった。
だが、これで収まらないのはデスマッチ見たさに会場へ足を運んだファンだ。
派手なデスマッチを期待していたにもかかわらず、いざ蓋を開けてみると、一方的に叩き潰すセメントスタイルの展開に熱狂的ファンはブーイングと罵声を浴びせる。
そんな中、西はマイクをとって心の叫びをぶちまけた。
「オレはこんなバカげた闘いをする為にプロレスラーになったんじゃねぇ!!
今日限りでSHARKを抜けて、オレはプロレスを引退する!」
と、衝撃的なマイクアピール。
その言葉通り、西はSHARKを脱退し、総合格闘技の世界に身を投じた。
同時に、デスマッチで負った無数の傷痕を隠すためタトゥーで覆い、プロレスと完全決別した。
その後は心機一転、総合格闘技に没頭し、国内No.2の総合格闘技団体 IMPACT(インパクト)に所属し、好成績を挙げた。
UWPのオファーを受けたのは、高額なファイトマネーと、地下プロレスという危険なイメージに惹かれ、参戦を決意した。
そんな西が、今日デビュー戦の今道の驚異的なパワーに驚愕する。
パワーだけでマウントポジションを跳ね返すなんて、並大抵なことでは無い。
「な、何だ、コイツ…こんなパワーのあるヤツは初めてだ」
「うるせぇ、反撃はここからだぁ~っ!」
今道の反撃が開始した。
(何だ、コイツは…表のプロレスでも、こんなにパワーのあるヤツはいなかった…しかも、今日がデビュー戦のド新人だなんて…)
もしかして、自分は怪物を相手に試合をしているのでは…
一方の今道は怒りが頂点に達し、パワー全開で西を追い詰める。
(オレが今までやってきたプロレスとは何だったのか…)
西が以前所属していたSHARKは、デスマッチオンリーのプロレスを展開していた団体。
創始者の梶原優吾は正統派のプロレスよりも、奇を衒うデスマッチ路線のプロレスに活路を見出した。
有刺鉄線、画鋲、蛍光灯や五寸釘等、ありとあらゆる凶器を用いる闘いをリング上で繰り広げた。
西は子供の頃からプロレスの大ファンで、ゆくゆくはプロレスラーになるのが夢だった。
高校を卒業後、WWAに次ぐメジャー団体 GRAND SLAM (グランドスラム)に入門。
だが、先輩レスラーの可愛がりと称した理不尽なシゴきやパワハラによって、僅か2ヶ月で退団。
プロレスラーになるのは無理だと諦めかけた時に、知人の紹介によって梶原と出会う。
当時、SHARKは旗揚げ間もなく所属選手も資金も殆どない貧乏団体だった。
「オマエはスターになれる素質を持ってる。
オレのところで一緒にやってみないか?
そして、SHARKをメジャー団体にも負けない大きな団体にしてやろうじゃないか!」
そんな口説き文句に落とされ、SHARKに入門。
SHARKには理不尽なシゴきをする先輩レスラーもいない。
無いのは金だけで、それでも西は充実した日々を送った。
ただ、SHARKは全ての試合はデスマッチという、狂気に満ちた団体だ。
デビュー戦から有刺鉄線に囲まれたリングで大流血をする闘いを強いられ、その後も過激になっていくデスマッチを経験していく。
SHARKでは梶原に次ぐNo.2のポジションを確保出来たものの、正統派レスリングを渇望していた西の気持ちは正反対に沈んでいく。
来る日も来る日もデスマッチに明け暮れ、気づけば身体中は傷痕だらけとなり、それを覆い隠すようにTシャツやラッシュガードを着用して闘うようになっていった。
(互いに凶器を持って身体を傷つけ合うような闘いをして、一体何の意味があるのだろうか?
オレは正統派のプロレスがやりたんだ!)
梶原には何度も正統派のプロレスをやるよう直訴したが、デスマッチに取り憑かれた梶原は聞く耳を持たない。
ついに気持ちが完全に崩壊した西は、梶原とのシングルマッチを迎える。
リング上には脚立、有刺鉄線でぐるぐる巻きにされた金属バット、敷き詰められた画鋲に割れたガラスの破片等が散乱している。
これらの凶器を用い、流血戦の末に梶原が有刺鉄線巻き金属バット攻撃でフォール勝ちの予定だったが、西はこの試合を最後にSHARKを脱退するつもりだった事もあって、試合中盤からオープンフィンガーグローブを着用する。
一瞬戸惑う梶原だが、西は覚悟を決め、ボクシングスタイルで梶原を攻め立てる。
ファイトスタイルがガラリと変わった西は、梶原の凶器攻撃には付き合わず、鋭角的な打撃を叩き込む。
暇さえあれば格闘技のジムに通い、本格的なスパー、そして極めつけは戦意喪失した梶原にチョークスリーパーを掛け追い込む。
極秘で総合格闘技のジムに通い、会得した打撃と寝技に対応出来ず、危険と判断したレフェリーがゴングを要請。
レフェリーストップで西の勝利となった。
だが、これで収まらないのはデスマッチ見たさに会場へ足を運んだファンだ。
派手なデスマッチを期待していたにもかかわらず、いざ蓋を開けてみると、一方的に叩き潰すセメントスタイルの展開に熱狂的ファンはブーイングと罵声を浴びせる。
そんな中、西はマイクをとって心の叫びをぶちまけた。
「オレはこんなバカげた闘いをする為にプロレスラーになったんじゃねぇ!!
今日限りでSHARKを抜けて、オレはプロレスを引退する!」
と、衝撃的なマイクアピール。
その言葉通り、西はSHARKを脱退し、総合格闘技の世界に身を投じた。
同時に、デスマッチで負った無数の傷痕を隠すためタトゥーで覆い、プロレスと完全決別した。
その後は心機一転、総合格闘技に没頭し、国内No.2の総合格闘技団体 IMPACT(インパクト)に所属し、好成績を挙げた。
UWPのオファーを受けたのは、高額なファイトマネーと、地下プロレスという危険なイメージに惹かれ、参戦を決意した。
そんな西が、今日デビュー戦の今道の驚異的なパワーに驚愕する。
パワーだけでマウントポジションを跳ね返すなんて、並大抵なことでは無い。
「な、何だ、コイツ…こんなパワーのあるヤツは初めてだ」
「うるせぇ、反撃はここからだぁ~っ!」
今道の反撃が開始した。
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