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デッドヒート
侮れない
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【6番セカンド藤原】
ノーアウトランナー二塁の場面で続くは藤原。
かつては走攻守三拍子揃った攻守の要として、マーリンズを牽引した。
今年33才とベテランの域に達したが、勝負強いバッティングは現在。
3年前に右アキレス腱断裂のケガを負ってからは主に代打の切り札として活躍。
今シーズンはトップバッターに任命されたが、開幕当初からの不振で6番に変更される。
その藤原が右打席に入り、バットを上段に構える。
背番号8を付けたかつてのチームリーダー。
打率263 ホームラン10 打点43 盗塁1
出塁率342 長打率437 OPS0.779
かつては首位打者を獲得。
その藤原が中邑と対峙する。
(バントか…いや、それならバントの構えをするんだが、ヒッティングか)
保坂は藤原を観察する。
送りバントは無さそうだ。
(攻めろ、ヨシヒコ)
中邑がサインに頷き、初球を投げた。
インコースへの直球。
藤原は積極的に打ちにいく。
「…曲がった」
咄嗟にバットを引っ込めた。
「ボール!」
インサイドに食い込むツーシーム。
あのまま手を出せばボテボテの内野ゴロだった。
(見送ったか…)
藤原の動きを見て配球を組み立てる。
(速い球でガンガン追い込もう)
保坂がサインを出す。
セットポジションの体勢に入る。
すかさず二塁へ牽制。
「セーフ」
間を置く為に牽制を投げた。
二塁ランナー張はそれ程リードをとってない。
中邑はクイックがあまり上手くない。
速い球を投げるが、走られてしまうケースが多い。
(ランナーは足が速くない張だ。ここはバッター集中だ)
クイックモーションから二球目を投げた。
今度はアウトコースへツーシーム。
(遠いな)
藤原はバットを出さない。
「何っ…」
しかし、ボールは変化してコースへ。
「ストライク!」
バックドアでワンストライク。
札幌ウォーリアーズの那須川が得意にする、バックドアのツーシームを参考にマスターした。
中邑は器用なタイプで、その気になればあらゆる変化球をマスターしてしまう程のセンスを持つ。
榊は中邑の才能を見抜き、先発に転向させた。
(バックドアと来れば、次はフロントドア…だが、中邑はカットボールを投げた事が無い。となると、インコースに投げる球が無いからアウトコース)
藤原はヤマを張った。
アウトコース主体で攻めるだろうと。
(!今僅かにベース寄りに立った。という事はアウトコース狙い…)
無意識なのか、それとも意図的か。
藤原はほんの僅かに足をベース寄りに近づけた。
漠然と見ていたら見逃していたところだ。
(よし、次はこれだ)
(えっ…マジで?)
ポーカーフェイスの中邑は表情を変えないが、内心では驚いている。
その三球目、今度はインコースへ。
「あっ…」
今度は速球から一転して緩いカーブ。
タイミングを外された藤原はバットが出ない。
フワッと弧を描いてミットに収まる。
「ストライクツー!」
103kmのスローカーブでカウントをとった。
これでワンボール、ツーストライク。
(次は…これいってみよう)
保坂は強気なリードを崩さない。
(フォークか?それともストレートか…いずれにせよ、インコースは無い)
アウトコースに絞った。
クイックモーションから四球目を投げた。
「インコース…!」
藤原は仰け反る。
しかし、ボールは鋭くスライドしてミットへ。
「ストライクアウト!」
「クソっ!やられた」
最後はフロントドアで見逃し三振。
中邑はカットボールもマスターしていた。
しかしぶっつけ本番で投げるのだから、かなりの度胸が必要だ。
これでアウト一つ。
【7番レフトヘンダーソン】
新外国人ヘンダーソンが打席に向かう。
しなやかな身体付きは黒人特有の身体能力の高さがうかがえる。
メジャーの経験は無いが、AAAでシュアなバッティングを見て在住スカウトが日本向きと判断。
守備に若干の不安が残るが、バッティングは非凡な才能を持つ。
左打席でややクラウンチングスタイルにバットを構える。
第一打席は三振、第二打席はライトフライ。
日本のピッチャーに慣れてきたとは言え、今日の中邑にはタイミングが合ってない。
(さっきはアウトコースのツーシームで打ち取ったから…アウトコース中心で攻めよう)
ベースに覆い被さる様な構えは、インコースを捌くのが難しいと判断されがちだが、ヘンダーソンはインコースを得意とする。
今シーズンは274の打率に13本のホームラン。
開幕当初は187と全く打てなかったが、6月から徐々に調子は上向きになり、ここ10試合では396という打率でホームランも4本打っている。
(アウトコース…いや、インコースだろ)
中邑が首を振る。
(バカ!インコースは絶好球だぞ!アウトコースに投げろ)
再びサインを出すが、またも首を振る。
今度は中邑がサインを出した。
(インコースって…)
しかし、中邑は頑なにインコースへこだわる。
(しゃーねぇか…好きに投げろ)
保坂はミットを構えた。
クイックから初球を投げた。
インコースだ。
ヘンダーソンは腕を畳み、速いスイングでバットを合わせた。
「っ!」
だが、ボールは手前でググッとスライド。
カットボールで詰まらせた。
バットを根っこに当たり、バキッ!という音がして折れたバットが三塁側に飛ぶ。
打球はフラフラとセカンドへ。
鬼束がキャッチ。
「アウト!」
初球で打ち取り、これでツーアウト。
「shit!(クソっ!)」
折れたバットを叩きつけ、ヘルメットをポーンと投げた。
あっという間に打ち取られたのが悔しかったのだろう。
【8番キャッチャー川上】
そして今日2安打の川上が登場。
第一打席はレフト前ヒット、第二打席はサード強襲の内野安打。
下位ながら、今日の中邑にタイミングが合ってる。
ノーアウトランナー二塁の場面で続くは藤原。
かつては走攻守三拍子揃った攻守の要として、マーリンズを牽引した。
今年33才とベテランの域に達したが、勝負強いバッティングは現在。
3年前に右アキレス腱断裂のケガを負ってからは主に代打の切り札として活躍。
今シーズンはトップバッターに任命されたが、開幕当初からの不振で6番に変更される。
その藤原が右打席に入り、バットを上段に構える。
背番号8を付けたかつてのチームリーダー。
打率263 ホームラン10 打点43 盗塁1
出塁率342 長打率437 OPS0.779
かつては首位打者を獲得。
その藤原が中邑と対峙する。
(バントか…いや、それならバントの構えをするんだが、ヒッティングか)
保坂は藤原を観察する。
送りバントは無さそうだ。
(攻めろ、ヨシヒコ)
中邑がサインに頷き、初球を投げた。
インコースへの直球。
藤原は積極的に打ちにいく。
「…曲がった」
咄嗟にバットを引っ込めた。
「ボール!」
インサイドに食い込むツーシーム。
あのまま手を出せばボテボテの内野ゴロだった。
(見送ったか…)
藤原の動きを見て配球を組み立てる。
(速い球でガンガン追い込もう)
保坂がサインを出す。
セットポジションの体勢に入る。
すかさず二塁へ牽制。
「セーフ」
間を置く為に牽制を投げた。
二塁ランナー張はそれ程リードをとってない。
中邑はクイックがあまり上手くない。
速い球を投げるが、走られてしまうケースが多い。
(ランナーは足が速くない張だ。ここはバッター集中だ)
クイックモーションから二球目を投げた。
今度はアウトコースへツーシーム。
(遠いな)
藤原はバットを出さない。
「何っ…」
しかし、ボールは変化してコースへ。
「ストライク!」
バックドアでワンストライク。
札幌ウォーリアーズの那須川が得意にする、バックドアのツーシームを参考にマスターした。
中邑は器用なタイプで、その気になればあらゆる変化球をマスターしてしまう程のセンスを持つ。
榊は中邑の才能を見抜き、先発に転向させた。
(バックドアと来れば、次はフロントドア…だが、中邑はカットボールを投げた事が無い。となると、インコースに投げる球が無いからアウトコース)
藤原はヤマを張った。
アウトコース主体で攻めるだろうと。
(!今僅かにベース寄りに立った。という事はアウトコース狙い…)
無意識なのか、それとも意図的か。
藤原はほんの僅かに足をベース寄りに近づけた。
漠然と見ていたら見逃していたところだ。
(よし、次はこれだ)
(えっ…マジで?)
ポーカーフェイスの中邑は表情を変えないが、内心では驚いている。
その三球目、今度はインコースへ。
「あっ…」
今度は速球から一転して緩いカーブ。
タイミングを外された藤原はバットが出ない。
フワッと弧を描いてミットに収まる。
「ストライクツー!」
103kmのスローカーブでカウントをとった。
これでワンボール、ツーストライク。
(次は…これいってみよう)
保坂は強気なリードを崩さない。
(フォークか?それともストレートか…いずれにせよ、インコースは無い)
アウトコースに絞った。
クイックモーションから四球目を投げた。
「インコース…!」
藤原は仰け反る。
しかし、ボールは鋭くスライドしてミットへ。
「ストライクアウト!」
「クソっ!やられた」
最後はフロントドアで見逃し三振。
中邑はカットボールもマスターしていた。
しかしぶっつけ本番で投げるのだから、かなりの度胸が必要だ。
これでアウト一つ。
【7番レフトヘンダーソン】
新外国人ヘンダーソンが打席に向かう。
しなやかな身体付きは黒人特有の身体能力の高さがうかがえる。
メジャーの経験は無いが、AAAでシュアなバッティングを見て在住スカウトが日本向きと判断。
守備に若干の不安が残るが、バッティングは非凡な才能を持つ。
左打席でややクラウンチングスタイルにバットを構える。
第一打席は三振、第二打席はライトフライ。
日本のピッチャーに慣れてきたとは言え、今日の中邑にはタイミングが合ってない。
(さっきはアウトコースのツーシームで打ち取ったから…アウトコース中心で攻めよう)
ベースに覆い被さる様な構えは、インコースを捌くのが難しいと判断されがちだが、ヘンダーソンはインコースを得意とする。
今シーズンは274の打率に13本のホームラン。
開幕当初は187と全く打てなかったが、6月から徐々に調子は上向きになり、ここ10試合では396という打率でホームランも4本打っている。
(アウトコース…いや、インコースだろ)
中邑が首を振る。
(バカ!インコースは絶好球だぞ!アウトコースに投げろ)
再びサインを出すが、またも首を振る。
今度は中邑がサインを出した。
(インコースって…)
しかし、中邑は頑なにインコースへこだわる。
(しゃーねぇか…好きに投げろ)
保坂はミットを構えた。
クイックから初球を投げた。
インコースだ。
ヘンダーソンは腕を畳み、速いスイングでバットを合わせた。
「っ!」
だが、ボールは手前でググッとスライド。
カットボールで詰まらせた。
バットを根っこに当たり、バキッ!という音がして折れたバットが三塁側に飛ぶ。
打球はフラフラとセカンドへ。
鬼束がキャッチ。
「アウト!」
初球で打ち取り、これでツーアウト。
「shit!(クソっ!)」
折れたバットを叩きつけ、ヘルメットをポーンと投げた。
あっという間に打ち取られたのが悔しかったのだろう。
【8番キャッチャー川上】
そして今日2安打の川上が登場。
第一打席はレフト前ヒット、第二打席はサード強襲の内野安打。
下位ながら、今日の中邑にタイミングが合ってる。
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