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クライマックス
改心
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鈴木監督とのバトルを終えた天海は三日後、球団事務所にて今までの行いを謝罪する為の会見を開いた。
いつものオレ様口調ではなく、丁寧な言葉遣いで深々と頭を下げ、今まで迷惑をかけた全ての人達に申し訳ございません、と謝罪した。
記者の返答に困る質問にも、イヤな顔せず丁寧に答えた。
今までの傍若無人な振る舞いとは一変して、好感度の高い青年にイメチェンした。
俄に信じ難い事だが、天海は今までの行動を悔い改め、真摯にプロ野球選手として恥ずかしくない行動をすると誓った。
「急に心変わりなんて出来っこない」
「しばらく経てば、メッキが剥がれる」
「そう見せかけて、結局元のオレ様キャラに戻るに違いない」
反応は冷ややかだが、今まで問題ばかり起こしてきたオラオラ系から、いきなり真面目キャラに変わったところで、見る側が手の平を返すような見方をするワケが無い。
信頼を取り戻す為には、フルモデルチェンジした立ち振る舞いをこれからもずっも続ける事によって、見る目が徐々に変わってくるであろう。
会見の後はチームに合流し、ナインの前で再び頭を下げ、度重なる無礼な行動を謝罪した。
これからはチームの和を大切に、一丸となって優勝を目指す事に邁進すると約束した。
この会見を承け、球団は2か月の出場停止と今季の年棒0円という処分を解除した。
主砲羽田のコメント
「いやぁ、最初はビックリしましたよ!
あの天海が頭を下げるなんて、ネタでやってるのかと思いました。
でも、生まれ変わった気持ちで真面目に取り組むというんですから、我々はそれを暖かく見守るつもりでいます。
何だかんだ言っても、日本を代表するエースですし、実績だって申し分無い。
そんな大エースが心機一転、優勝目指して共に戦うとなれば、大幅な戦力アップになりますよ」
これでチームに勢いが乗ると、優勝争いが熾烈になるだろう。
そのマーリンズは、4位のレボリューションズとの三連戦を下関市のISHINフィールドでスタートする。
その初戦の先発は天海が登板する。
フルモデルチェンジした悪童が、どんなピッチングをするのか興味津々とあって、球場には5万人という、超満員の観客で埋め尽くされた。
さて、首位のスカイウォーカーズは3位キングダムとの三連戦を1勝2敗と敗け越し、2位マーリンズとゲーム差は1.5に縮まった。
8月が終わり、9月に入っても残暑の厳しいこの時期、勝敗のカギを握るのは選手のコンディション次第とも言える。
夏バテや熱中症対策をしっかり行い、疲労回復に努める事が大切だ。
キングダムとの連戦を終えた後、本拠地武蔵野ボールパークで北陸レッズとの三連戦を迎える。
この日、昨年ドラフト1位の東山大輔が一軍に昇格。
深刻なイップスは克服したと、二軍監督の中田から報告を受け、榊は一軍に登録した。
背番号11を付けた未来のエース。
機会があれば、投げさせると榊はコメントした。
この日の先発は、スカイウォーカーズがエース中邑。
レッズはプロ三年目、今年一軍に定着した左の吉村。
スターティングラインナップは
レッズ
1ショート葛西
2サード岩下
3ファーストワグナー
4センター浅倉
5レフトウォーリー
6キャッチャー林
7ライト三浦
8セカンド八木
9ピッチャー吉村
スカイウォーカーズ
1ライトラファエル
2センター唐澤
3ファースト結城
4サード毒島
5レフト中山
6セカンド来栖
7キャッチャー保坂
8ピッチャー中邑
9ショート石川
今日は4番の鬼束がベンチスタート。
代打で登場する可能性も十分ある。
9番はこのところ、スタメン出場の多い石川。
筧を休ませ、ルーキーに経験を積ませようという櫻井ヘッドコーチの提案だ。
ナイトゲームという事もあり、日中に比べると幾分暑さは凌げるが、残暑で気温が25℃を下回らない。
もうしばらくガマンが必要だ。
「暑ぃな、ホントに!」
ベンチの扇風機を独り占めして、スポーツドリンクをガブ飲みしている。
「榊さん!コッチだって暑いんだから、扇風機独り占めしないでよ!」
投手コーチの水卜が団扇で扇ぐ。
「んな事言ったって、暑ぃもんは暑ぃんだよ!」
ワガママだ…
「暑いのは皆同じでしょ!とにかく、扇風機を独り占めするんじゃないっ!」
扇風機から引き剥がそうとする。
「あぁ、止せ!コラ、舞!」
「もう、うるさい!」
榊の腕を捻る。水卜は合気道の心得があるので、迂闊な事は出来ない。
「痛っ!痛ててて、分かった、分かったから離せ!」
扇風機から離れた。
「Anyway, it's hot and humid in Japan.(それにしても、日本の夏は蒸し暑い)」
トーマス打撃総合コーチがタオルで額の汗を拭う。
「Coach, put this on your forehead.(コーチ、これおでこに貼ってください)」
畑中が熱冷まし冷却シートを渡す。
「Is this how it cools down?(こんなもんで涼しくなるのか?)」
半信半疑で額に貼る。
すると、徐々に身体がクールダウンする。
「Wow, that's amazing! It's like a magic sheet!(ワォ、スゴい!まるで魔法のシートだ!)」
トーマスがビックリする程、暑さを凌げるアイテムだ。
「あぁ、いいなぁ!オレにもちょうだい」
「畑中、オレにも!」
「畑中くん、ボクもいいかな?」
「ねぇ、私にもちょうだい!」
箱からシートを次々と取り出す。
「あぁ、ちょっと!これしか無いんですから!」
あっという間に空になった。
監督とコーチが挙って、額に熱冷まし用シートを貼っている。
「何だ、あれは?」
三塁側レッズベンチでは、スカイウォーカーズベンチの様子を不思議そうに見ている。
「おでこに熱冷ましのシート貼ってる…風邪引いてるヤツばかりじゃん!」
間もなくプレイボールだ。
いつものオレ様口調ではなく、丁寧な言葉遣いで深々と頭を下げ、今まで迷惑をかけた全ての人達に申し訳ございません、と謝罪した。
記者の返答に困る質問にも、イヤな顔せず丁寧に答えた。
今までの傍若無人な振る舞いとは一変して、好感度の高い青年にイメチェンした。
俄に信じ難い事だが、天海は今までの行動を悔い改め、真摯にプロ野球選手として恥ずかしくない行動をすると誓った。
「急に心変わりなんて出来っこない」
「しばらく経てば、メッキが剥がれる」
「そう見せかけて、結局元のオレ様キャラに戻るに違いない」
反応は冷ややかだが、今まで問題ばかり起こしてきたオラオラ系から、いきなり真面目キャラに変わったところで、見る側が手の平を返すような見方をするワケが無い。
信頼を取り戻す為には、フルモデルチェンジした立ち振る舞いをこれからもずっも続ける事によって、見る目が徐々に変わってくるであろう。
会見の後はチームに合流し、ナインの前で再び頭を下げ、度重なる無礼な行動を謝罪した。
これからはチームの和を大切に、一丸となって優勝を目指す事に邁進すると約束した。
この会見を承け、球団は2か月の出場停止と今季の年棒0円という処分を解除した。
主砲羽田のコメント
「いやぁ、最初はビックリしましたよ!
あの天海が頭を下げるなんて、ネタでやってるのかと思いました。
でも、生まれ変わった気持ちで真面目に取り組むというんですから、我々はそれを暖かく見守るつもりでいます。
何だかんだ言っても、日本を代表するエースですし、実績だって申し分無い。
そんな大エースが心機一転、優勝目指して共に戦うとなれば、大幅な戦力アップになりますよ」
これでチームに勢いが乗ると、優勝争いが熾烈になるだろう。
そのマーリンズは、4位のレボリューションズとの三連戦を下関市のISHINフィールドでスタートする。
その初戦の先発は天海が登板する。
フルモデルチェンジした悪童が、どんなピッチングをするのか興味津々とあって、球場には5万人という、超満員の観客で埋め尽くされた。
さて、首位のスカイウォーカーズは3位キングダムとの三連戦を1勝2敗と敗け越し、2位マーリンズとゲーム差は1.5に縮まった。
8月が終わり、9月に入っても残暑の厳しいこの時期、勝敗のカギを握るのは選手のコンディション次第とも言える。
夏バテや熱中症対策をしっかり行い、疲労回復に努める事が大切だ。
キングダムとの連戦を終えた後、本拠地武蔵野ボールパークで北陸レッズとの三連戦を迎える。
この日、昨年ドラフト1位の東山大輔が一軍に昇格。
深刻なイップスは克服したと、二軍監督の中田から報告を受け、榊は一軍に登録した。
背番号11を付けた未来のエース。
機会があれば、投げさせると榊はコメントした。
この日の先発は、スカイウォーカーズがエース中邑。
レッズはプロ三年目、今年一軍に定着した左の吉村。
スターティングラインナップは
レッズ
1ショート葛西
2サード岩下
3ファーストワグナー
4センター浅倉
5レフトウォーリー
6キャッチャー林
7ライト三浦
8セカンド八木
9ピッチャー吉村
スカイウォーカーズ
1ライトラファエル
2センター唐澤
3ファースト結城
4サード毒島
5レフト中山
6セカンド来栖
7キャッチャー保坂
8ピッチャー中邑
9ショート石川
今日は4番の鬼束がベンチスタート。
代打で登場する可能性も十分ある。
9番はこのところ、スタメン出場の多い石川。
筧を休ませ、ルーキーに経験を積ませようという櫻井ヘッドコーチの提案だ。
ナイトゲームという事もあり、日中に比べると幾分暑さは凌げるが、残暑で気温が25℃を下回らない。
もうしばらくガマンが必要だ。
「暑ぃな、ホントに!」
ベンチの扇風機を独り占めして、スポーツドリンクをガブ飲みしている。
「榊さん!コッチだって暑いんだから、扇風機独り占めしないでよ!」
投手コーチの水卜が団扇で扇ぐ。
「んな事言ったって、暑ぃもんは暑ぃんだよ!」
ワガママだ…
「暑いのは皆同じでしょ!とにかく、扇風機を独り占めするんじゃないっ!」
扇風機から引き剥がそうとする。
「あぁ、止せ!コラ、舞!」
「もう、うるさい!」
榊の腕を捻る。水卜は合気道の心得があるので、迂闊な事は出来ない。
「痛っ!痛ててて、分かった、分かったから離せ!」
扇風機から離れた。
「Anyway, it's hot and humid in Japan.(それにしても、日本の夏は蒸し暑い)」
トーマス打撃総合コーチがタオルで額の汗を拭う。
「Coach, put this on your forehead.(コーチ、これおでこに貼ってください)」
畑中が熱冷まし冷却シートを渡す。
「Is this how it cools down?(こんなもんで涼しくなるのか?)」
半信半疑で額に貼る。
すると、徐々に身体がクールダウンする。
「Wow, that's amazing! It's like a magic sheet!(ワォ、スゴい!まるで魔法のシートだ!)」
トーマスがビックリする程、暑さを凌げるアイテムだ。
「あぁ、いいなぁ!オレにもちょうだい」
「畑中、オレにも!」
「畑中くん、ボクもいいかな?」
「ねぇ、私にもちょうだい!」
箱からシートを次々と取り出す。
「あぁ、ちょっと!これしか無いんですから!」
あっという間に空になった。
監督とコーチが挙って、額に熱冷まし用シートを貼っている。
「何だ、あれは?」
三塁側レッズベンチでは、スカイウォーカーズベンチの様子を不思議そうに見ている。
「おでこに熱冷ましのシート貼ってる…風邪引いてるヤツばかりじゃん!」
間もなくプレイボールだ。
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