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バトル
対決2
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ロウソクの炎だけが頼りになる灯りで両者が対峙する。
鈴木監督は現役を退いたとは言え、上半身はグッドシェイプしてムダな肉が無い。
先に仕掛けたのは天海だ。
「ウラァ~っ!」
右ストレートを放つ。
「フッ…」
しかし鈴木監督は動きを読んでいたのか、余裕でかわす。
「ウルァ~っ!」
今度は連打で攻める。
「単純な攻撃だな…」
これも難なくかわしている。
「クソっ、何やその余裕の表情は!」
業を煮やし、タックルでテイクダウンをとろうとした瞬間、カウンターの左フックが天海の顔面を捕えた。
「グハッ…」
モロに食らい、ズデーン!と床に倒れた。
「立て…こんなもんで終わりにするつもりは無いぞ」
普段の表情とは違い、肉食獣の様な獰猛な鋭い眼光で天海を見下ろす。
「クッ…ングァ」
どうやら意識はあるが、カウンターを食らったせいで、脚にきてる。
「何だ…これじゃアッサリと勝ってしまうな…」
「っざけんな、このクソが!」
何とか立ち上がり、呼吸を整える。
「これじゃ、手応えが無い」
天海の首を掴むと、フロントヘッドロックの要領で後方に投げた。
ダーン!と背中を強打した。
「ガハァ…」
息が詰まって苦しい…
「何だ、威勢がいいのは最初のうちだけか」
ケンカ慣れしてる。
「あぁ、クソ…殺してやる、ぶっ殺す!」
天海は倒れた状態から急所目掛けて蹴り上げた。
「ガッ…」
鈴木監督が苦悶の表情を浮かべ、膝から崩れ落ちた。
「ハァ…今度はコッチの番じゃ!」
そのスキを狙い、マウントのポジションを取ると、左右のパンチを振り下ろす。
「グォッ…」
鈴木監督の顔面が血に染る。
「オラ、オレの勝ちや!さっさとギブアップせぃ!」
鈴木監督は両手でガードを固めるが、その上からお構い無しに殴る。
両腕に激痛が走る。
天海も骨が軋む程のパンチを連打したせいで、拳に痛みが走る。
「ハァハァ…」
打撃では埒が明かないと判断したのか、首を取ってチョークスリーパーの体勢に入ろうとしたが、鈴木監督は腕を取って一瞬のスキをついて腕十字固めを極めた。
「ぅわっ…」
利き腕である、右腕がピーンと伸びた。
このままガマンすれば脱臼、或いは靭帯断裂という大怪我を負う。
「お前に勝ち目は無い!ギブアップしなきゃ、二度と投げられない様になるぞ!」
関節技がカンペキに極まったら、ギブアップするか、折れるか。
それ程恐ろしい技だ。
「ウオオォ…」
「仕方ない…お前の野球人生、ここで終わらせてやろう」
鈴木監督が更に締め上げる…
ガブッ
「グワッ…」
天海は咄嗟に鈴木監督のふくらはぎに噛み付いた。
獰猛な獣の様に、肉を食いちぎるかの勢いで噛み付く。
激痛のあまり、技を解いた。
「噛みつきとは…」
「殺す…絶対、殺す…」
うわ言の様に繰り返す。
「早いうちに決着をつけねば」
鈴木監督が組み付くと、そのまま前方へ投げた。
見事な一本背負い。
ズダーン!
「…っ!!」
再度床に叩きつけられ、息が詰まる。
背を向けた背後から絡み付く様に、両手を首に回す。
「カハッ…」
口を開け、パクパクするが言葉を発する事が出来ない。
ガッチリとチョークスリーパーが極まる。
気道を塞がれ、呼吸困難になる。
「あ…」
バタバタ必死にもがいていた身体は、徐々に動きが鈍くなってパタリと止まった。
「ふぅ…」
鈴木監督は腕を離した。
後数十秒離すのが遅かったら、窒息死していたかもしれない。
顔面を血に染め、ユラユラと立ち上がった。
「お見事でした」
立会人の男がタオルを手渡す。
顔を拭くと、白い生地が鮮血で赤く染る。
「さすがにもう年だ…昔みたいに、豪快な勝ち方は出来ないな…」
息も絶え絶えで、何とか勝つ事が出来た。
天海はうつ伏せに倒れたままだ。
チョークスリーパーで落とされ、失神KOで破れた。
鈴木監督は天海を起こす。
「おい、起きろ!」
二発、三発と頬に張り手をする。
「ん…」
意識を取り戻した。
「あれ、勝負は…」
締め落とされた事に気づいていない。
「天海さん、あなたは鈴木監督のチョークスリーパーで落ちたんです。
よってこの勝負、鈴木監督の勝利です」
立会人が鈴木監督の勝利を宣言した。
「クッ…また負けか」
天海の目から涙が溢れた。
「クソがっ!何で…何で負けたんや!」
頬から涙が伝い、雫となって床に落ちた。
「天海…オレの勝ちだ…敗者は勝者に従う。分かるな、お前も勝負師ならば」
唇を噛み締め、ギュッと堪える。
「負けは負けや…何でもええ、好きにせい」
どうにでもなれ、とばかりに大の字になった。
右腕を折られるんだろう…覚悟した。
鈴木監督は傍らに座り込むと、穏やかな口調で話し掛けた。
「チームに戻れ…戻って、マーリンズを優勝させるんだ…それがオレの命令だ」
「優勝…」
「あぁ、そうだ…オレは監督を辞任したが、お前はまだまだ日本球界に必要な選手だ…
だから、この願いを聞き入れて欲しい」
鈴木監督が頭を下げた。
「…アンタ」
「頼む!どうかチームに戻って、マーリンズを優勝させてくれ!」
意外な申し出に天海は戸惑う。
だが、約束は約束だ。
天海の表情が穏やかに変わる。
「しゃあないな…何せオレはケンカに負けたし、言うこと聞かなアカン…」
自然と笑みがこぼれる。
「よし、その願い達成させたるわ!」
ムクリと起き上がった。
「頼むぞ、天海」
「あいよ、任さんかい」
二人はガッチリと握手した。
幸いダメージはそれ程無い。
鈴木監督は加減して攻撃した。
本気ならば、一瞬にして破壊出来たであろう。
だが、天海の才能をこんな所で終わらせるのは惜しい。
元々、天海を評価していた事もあって、マーリンズが獲得した。
傍若無人に振る舞う球界のエースは、心機一転心を入れ替え、再びチームに合流した。
鈴木監督は現役を退いたとは言え、上半身はグッドシェイプしてムダな肉が無い。
先に仕掛けたのは天海だ。
「ウラァ~っ!」
右ストレートを放つ。
「フッ…」
しかし鈴木監督は動きを読んでいたのか、余裕でかわす。
「ウルァ~っ!」
今度は連打で攻める。
「単純な攻撃だな…」
これも難なくかわしている。
「クソっ、何やその余裕の表情は!」
業を煮やし、タックルでテイクダウンをとろうとした瞬間、カウンターの左フックが天海の顔面を捕えた。
「グハッ…」
モロに食らい、ズデーン!と床に倒れた。
「立て…こんなもんで終わりにするつもりは無いぞ」
普段の表情とは違い、肉食獣の様な獰猛な鋭い眼光で天海を見下ろす。
「クッ…ングァ」
どうやら意識はあるが、カウンターを食らったせいで、脚にきてる。
「何だ…これじゃアッサリと勝ってしまうな…」
「っざけんな、このクソが!」
何とか立ち上がり、呼吸を整える。
「これじゃ、手応えが無い」
天海の首を掴むと、フロントヘッドロックの要領で後方に投げた。
ダーン!と背中を強打した。
「ガハァ…」
息が詰まって苦しい…
「何だ、威勢がいいのは最初のうちだけか」
ケンカ慣れしてる。
「あぁ、クソ…殺してやる、ぶっ殺す!」
天海は倒れた状態から急所目掛けて蹴り上げた。
「ガッ…」
鈴木監督が苦悶の表情を浮かべ、膝から崩れ落ちた。
「ハァ…今度はコッチの番じゃ!」
そのスキを狙い、マウントのポジションを取ると、左右のパンチを振り下ろす。
「グォッ…」
鈴木監督の顔面が血に染る。
「オラ、オレの勝ちや!さっさとギブアップせぃ!」
鈴木監督は両手でガードを固めるが、その上からお構い無しに殴る。
両腕に激痛が走る。
天海も骨が軋む程のパンチを連打したせいで、拳に痛みが走る。
「ハァハァ…」
打撃では埒が明かないと判断したのか、首を取ってチョークスリーパーの体勢に入ろうとしたが、鈴木監督は腕を取って一瞬のスキをついて腕十字固めを極めた。
「ぅわっ…」
利き腕である、右腕がピーンと伸びた。
このままガマンすれば脱臼、或いは靭帯断裂という大怪我を負う。
「お前に勝ち目は無い!ギブアップしなきゃ、二度と投げられない様になるぞ!」
関節技がカンペキに極まったら、ギブアップするか、折れるか。
それ程恐ろしい技だ。
「ウオオォ…」
「仕方ない…お前の野球人生、ここで終わらせてやろう」
鈴木監督が更に締め上げる…
ガブッ
「グワッ…」
天海は咄嗟に鈴木監督のふくらはぎに噛み付いた。
獰猛な獣の様に、肉を食いちぎるかの勢いで噛み付く。
激痛のあまり、技を解いた。
「噛みつきとは…」
「殺す…絶対、殺す…」
うわ言の様に繰り返す。
「早いうちに決着をつけねば」
鈴木監督が組み付くと、そのまま前方へ投げた。
見事な一本背負い。
ズダーン!
「…っ!!」
再度床に叩きつけられ、息が詰まる。
背を向けた背後から絡み付く様に、両手を首に回す。
「カハッ…」
口を開け、パクパクするが言葉を発する事が出来ない。
ガッチリとチョークスリーパーが極まる。
気道を塞がれ、呼吸困難になる。
「あ…」
バタバタ必死にもがいていた身体は、徐々に動きが鈍くなってパタリと止まった。
「ふぅ…」
鈴木監督は腕を離した。
後数十秒離すのが遅かったら、窒息死していたかもしれない。
顔面を血に染め、ユラユラと立ち上がった。
「お見事でした」
立会人の男がタオルを手渡す。
顔を拭くと、白い生地が鮮血で赤く染る。
「さすがにもう年だ…昔みたいに、豪快な勝ち方は出来ないな…」
息も絶え絶えで、何とか勝つ事が出来た。
天海はうつ伏せに倒れたままだ。
チョークスリーパーで落とされ、失神KOで破れた。
鈴木監督は天海を起こす。
「おい、起きろ!」
二発、三発と頬に張り手をする。
「ん…」
意識を取り戻した。
「あれ、勝負は…」
締め落とされた事に気づいていない。
「天海さん、あなたは鈴木監督のチョークスリーパーで落ちたんです。
よってこの勝負、鈴木監督の勝利です」
立会人が鈴木監督の勝利を宣言した。
「クッ…また負けか」
天海の目から涙が溢れた。
「クソがっ!何で…何で負けたんや!」
頬から涙が伝い、雫となって床に落ちた。
「天海…オレの勝ちだ…敗者は勝者に従う。分かるな、お前も勝負師ならば」
唇を噛み締め、ギュッと堪える。
「負けは負けや…何でもええ、好きにせい」
どうにでもなれ、とばかりに大の字になった。
右腕を折られるんだろう…覚悟した。
鈴木監督は傍らに座り込むと、穏やかな口調で話し掛けた。
「チームに戻れ…戻って、マーリンズを優勝させるんだ…それがオレの命令だ」
「優勝…」
「あぁ、そうだ…オレは監督を辞任したが、お前はまだまだ日本球界に必要な選手だ…
だから、この願いを聞き入れて欲しい」
鈴木監督が頭を下げた。
「…アンタ」
「頼む!どうかチームに戻って、マーリンズを優勝させてくれ!」
意外な申し出に天海は戸惑う。
だが、約束は約束だ。
天海の表情が穏やかに変わる。
「しゃあないな…何せオレはケンカに負けたし、言うこと聞かなアカン…」
自然と笑みがこぼれる。
「よし、その願い達成させたるわ!」
ムクリと起き上がった。
「頼むぞ、天海」
「あいよ、任さんかい」
二人はガッチリと握手した。
幸いダメージはそれ程無い。
鈴木監督は加減して攻撃した。
本気ならば、一瞬にして破壊出来たであろう。
だが、天海の才能をこんな所で終わらせるのは惜しい。
元々、天海を評価していた事もあって、マーリンズが獲得した。
傍若無人に振る舞う球界のエースは、心機一転心を入れ替え、再びチームに合流した。
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