上 下
82 / 125
オールスターゲーム

オールスターゲーム

しおりを挟む
年に一度の開催、オールスターゲームが東京ボールパークで開催された。


ホームラン競争では、並み居る強打者を抑えて優勝したのは、琉球マシンガンズの比嘉だった。

10球中9本をスタンドに叩き込み、2位のマーリンズ羽田の8本を上回る。



オールスターの対戦成績は12勝9敗でアポロリーグが優勢だ。


そのアポロリーグのスタメンは

1センター国分(ヤンキース)
2ショート伊藤(ドルフィンズ)
3サード比嘉(マシンガンズ)
4指名打者ボーン(マシンガンズ)
5ファースト上田(ヤンキース)
6キャッチャー矢幡(ドルフィンズ)
7セカンド下平(マシンガンズ)
8レフト島内(ウォーリアーズ)
9ライト沢田(ドジャース)

ピッチャー井原(ニックス)


対するネプチューンリーグのスタメンは

1センター結城司(レボリューションズ)
2ライト唐澤(スカイウォーカーズ)
3セカンド鬼束(スカイウォーカーズ)
4サード羽田(マーリンズ)
5ファースト結城千聖(スカイウォーカーズ)
6指名打者浅倉(レッズ)
7レフトロドリゲス(キングダム)
8ショート高野(ブラックス)
9キャッチャー矢澤(ブラックス)

ピッチャー翔田(キングダム)


豪華なメンバーでこの対戦を彩る。



始球式では往年の名選手として、消滅した埼玉ギャランドゥの主砲で静岡ピストルズの監督だったナダウ・ヤマオカこと、宇棚珍太郎が紹介されマウンドに向かった。


「おー、とっつぁん!ベースまで届くのかよ!」


榊はベンチでヤジを飛ばす。

「馬鹿言え、このぐらいの距離なら問題無い!」


ギャランドゥのレプリカユニフォームに身をまとい、颯爽とマウンドに立つ。


「よし、行くぞ!」


打席にはトップバッターのヤンキース国分が立っている。

珍太郎は振りかぶってスローイングの様にボールを投げた。

やや山なりのスローボールが大きくコースを外れてキャッチャーの矢澤が立ち上がってキャッチ。

国分は軽いスイングで空振りをした。


「おぉー、スゲーなとっつぁん!」

榊が拍手を送る。

大歓声の中、帽子を取って一礼するとマウンドを降りた。


珍太郎と入れ替わりで翔田がマウンドに立つ。


【1回の表、アポロリーグの攻撃は1番センター国分、背番号7千葉ヤンキース】


スイッチヒッターの国分が右打席でグリップの大きいバットを短く持つ。


「プレイボール!」


オールスターゲームが始まった。


「オールスターやし、どうせアイツはストレートしか投げてこんやろ」


マスクを被る矢澤はサインを出てない。

マウンドの翔田がサインを出す。


ノーワインドアップからダイナミックで力強いフォーム。

その左腕から放たれた球は一直線、いやホップするように真ん中高目にズバッと決まった。


「ストライク!」


大観衆が沸く。バックスクリーンのスコアボードには161kmと表示された。


「速いな…」


国分はミートにかけてはリーグでもトップクラスだ。


再び翔田がサインを出す。


ノーワインドアップから左腕がムチの様にしなる。

(あ、少し抜いた球だ)

国分はバットを合わせた。

「あっ…」

球の軌道はベース手前で鋭く落ちた。

ボールの上っ面を擦った様な当たりは一塁線に切れてファール。


翔田はオールスターゲームを楽しんでいる。

リーグの違う選手と対戦出来るというだけで、アドレナリンが身体中を駆け巡る。


「よし、ツーストライクと追い込んだ」


通常のペナントレースならば、ここで一球様子を見るのだが、オールスターならではの真っ向勝負にこだわる。


翔田がサインを出し、三球目を投げた。

速いがコースが高い。

国分はバットを出すが振り遅れた。


バシーン!といい音が響く。


「ストライクアウト!」


高目の釣り球で三球三振。


スコアボードの164kmという表示に場内がどよめく。


「何だ、あの球…スゲーホップした」


国分が驚いた表情をしてベンチに戻った。


翔田は2番伊藤を見逃しの三振、3番比嘉をこの日最速の165kmでショートフライに打ち取る。








試合は翔田が3回をパーフェクトに抑え、マウンドを降りると、二番手はスカイウォーカーズの中邑が登場。


4回の表に6番キャッチャー矢幡が156kmのストレートをライトスタンドに運び先制。


ネプチューンリーグは5回の裏、9番キャッチャーがセンター前ヒットで出塁すると、1番の結城弟が二番手ピッチャードジャースの関川のカーブを左中間を破るツーベースヒットで同点。


アポロリーグは7回表に4番のボーンが三番手真咲のスローカーブを上手く捕え、レフトスタンドへソロホームランを放つ。


その後両チームは目まぐるしく選手を変え、9回の表アポロリーグは、スカイウォーカーズの抑えジェイク・キムラを攻め、ツーアウトから連打でランナー三塁、二塁のチャンス。


ここで守山監督は代打でヤンキースのキャッチャー外崎を出した。


しかし、ここはジェイクが踏ん張り160kmのパワーシンカーでキャッチャーフライに打ち取りピンチを脱した。


9回の裏、ネプチューンリーグの攻撃は7番途中出場のマーリンズ村上。


アポロリーグは五番手にウォーリアーズの抑え山村に交代。


ファールで粘った五球目、スライダーを捕え打球はライトスタンドに飛び込むサヨナラホームラン。


劇的な幕切れでネプチューンリーグが去年に続いて連勝した。

本塁では選手達が村上を待ち構えている。


村上がホームインすると、輪になって手荒い祝福をした後、一塁側ベンチ前で整列するとファンに帽子を取って一礼した。


MVPはサヨナラホームランを打った村上が獲得した。

今回スカイウォーカーズのメンバーは目立った成績を残していない。


これで対戦成績は12勝10敗で僅かにアポロリーグが優勢。


夢の共演が終わると、三日間のオフに入る。

その後はペナントレース後半戦がスタートする。


スカイウォーカーズは四国で愛媛ブラックスとの三連戦が始まる。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

〖完結〗その子は私の子ではありません。どうぞ、平民の愛人とお幸せに。

藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚した…はずだった…… 結婚式を終えて帰る途中、見知らぬ男達に襲われた。 ジュラン様を庇い、顔に傷痕が残ってしまった私を、彼は醜いと言い放った。それだけではなく、彼の子を身篭った愛人を連れて来て、彼女が産む子を私達の子として育てると言い出した。 愛していた彼の本性を知った私は、復讐する決意をする。決してあなたの思い通りになんてさせない。 *設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 *全16話で完結になります。 *番外編、追加しました。

挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました

結城芙由奈@12/27電子書籍配信
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】 今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。 「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」 そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。 そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。 けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。 その真意を知った時、私は―。 ※暫く鬱展開が続きます ※他サイトでも投稿中

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

【取り下げ予定】愛されない妃ですので。

ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。 国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。 「僕はきみを愛していない」 はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。 『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。 (ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?) そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。 しかも、別の人間になっている? なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。 *年齢制限を18→15に変更しました。

【完結】婚約破棄される前に私は毒を呷って死にます!当然でしょう?私は王太子妃になるはずだったんですから。どの道、只ではすみません。

つくも茄子
恋愛
フリッツ王太子の婚約者が毒を呷った。 彼女は筆頭公爵家のアレクサンドラ・ウジェーヌ・ヘッセン。 なぜ、彼女は毒を自ら飲み干したのか? それは婚約者のフリッツ王太子からの婚約破棄が原因であった。 恋人の男爵令嬢を正妃にするためにアレクサンドラを罠に嵌めようとしたのだ。 その中の一人は、アレクサンドラの実弟もいた。 更に宰相の息子と近衛騎士団長の嫡男も、王太子と男爵令嬢の味方であった。 婚約者として王家の全てを知るアレクサンドラは、このまま婚約破棄が成立されればどうなるのかを知っていた。そして自分がどういう立場なのかも痛いほど理解していたのだ。 生死の境から生還したアレクサンドラが目を覚ました時には、全てが様変わりしていた。国の将来のため、必要な処置であった。 婚約破棄を宣言した王太子達のその後は、彼らが思い描いていたバラ色の人生ではなかった。 後悔、悲しみ、憎悪、果てしない負の連鎖の果てに、彼らが手にしたものとは。 「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルバ」にも投稿しています。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

処理中です...