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オールスターゲーム
兄弟対決
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レボリューションズ
1センター結城(司)
2レフト清水
3サード佐藤
4ファーストロドリゲス
5ライト山崎
6セカンド香坂
7ライトマイク中村
8キャッチャー青田
9ピッチャー内田
スカイウォーカーズ
1ライトラファエル
2センター唐澤
3ファースト結城(千聖)
4セカンド鬼束
5サード毒島
6レフト中山
7キャッチャー保坂
8ピッチャー真咲
9ショート筧
この試合、レボリューションズの結城司とスカイウォーカーズ結城千聖の兄弟対決でもある。
弟の司は兄千聖の5歳下でドラフト4位でレボリューションズに指名された。
共に俊足好打で守備も良い。
試合前の練習で司は兄の下へ挨拶に出向いた。
「アニキ、久しぶり」
「おー、ツカサ!どうだ、調子は?」
弟の司は兄と違ってヤンキーではない。
進学校に通い、名門の国立大学へ進学する予定だった。
高校三年間で公式試合に出場したのはほんの数試合だったが、非凡な才能に目を付けたレボリューションズのスカウトによって指名された。
入団当初は右投右打だったが、俊足を生かすために一年目からスイッチヒッターに転向。
二年目は途中から一軍に昇格するとトップバッターとして定着。
コンタクト能力も高く待球するタイプで選球眼も良い。
4年目には56個の盗塁と206安打で盗塁王と最多安打をマークする。
長打力は無いが、兄譲りのバットコントロールで広角に打ち分け、塁に出ると脚で掻き回す。
「単純にヒットを打つだけなら、兄よりも弟の方が優れている」という評価を得ている。
「いや~、調子はまぁまぁかな」
千聖は185cmと長身だが、司は176cmとやや小柄な部類に入る。
顔も兄に似て今風の草食系男子のイケメンだ。
ここに唐澤が入ると知らない人は三兄弟ではないか、と思う程似ている。
「まぁまぁで3割打てっこないだろ!」
「アニキだって、打率いいじゃん」
「でもまぁ、個人成績は二の次だし」
「オレはね…プロに入って1度でいいから、アニキの成績を越える事を目標としてるんだよ」
何かにつけて兄と比較される。
ヒット数でも打率でも何でもいい、兄より上の成績を挙げてみたいと目標を掲げている。
「フッ、そんな事を目標にしてるのか。プロ野球選手ならば、優勝を目標にするべきだろ」
「勿論、優勝はしたいよ!でも、オレ個人としての目標はアニキの成績を越える事なんだ」
フフフ、と兄は笑みを浮かべる。
「ボクとお前とじゃ、タイプが違うからそんな事を競わなくてもいいのに」
「でも、周りはそうは見てないよ。アベレージヒッターという括りで同じにされてるんだ」
一年目から華々しく一軍で活躍していた千聖と違い、司は二軍でスイッチヒッターに転向する期間を費やした。
その時点で千聖よりも劣ってるという見方をする者もいる。
「そんな外野の声に惑わされてどうする。ボクにはボクの、お前にはお前の持ち味というのがあるんだ。数字だけで優劣を競うだけじゃないだろ」
「そうか…アニキはそういう考えか。オレは何がなんでもアニキの成績を越えてみせる!
それじゃ」
司は自軍のベンチへ戻った。
「全く…目先の数字にばかりこだわってどうする。ボクは個人成績なんて、これっぽっちも興味無いんだが」
常にフォアザチームを第一にプレーしてきた。
今年からスカイウォーカーズのキャプテンとしてチームをまとめる存在で、気配りに長けている。
「アイツはそれが目標なのか…ボクは個人成績よりもチームが優勝して日本一になる事…それが目標だ」
スパイクの紐を結び直し、ファーストミットの手入れをした。
本日は週末とあって、試合開始は午後1時というデーゲーム。
マウンド上では先発の真咲が軽い柔軟体操を行っている。
前屈をすると、額が膝にくっつく程の柔軟な身体だ。
下半身をより強靭に鍛えると同時に柔軟性のある身体にモデルチェンジした。
その成果なのか、例年に比べると疲労の回復が早くなった。
成績アップもこの効果なのだろう。
「真咲!投球練習しなくていいのか!」
主審が促す。
「あー、いいよいいよ、これでウォーミングアップ完了!」
ストレッチだけで仕上がったと言う。
【1回の表、レボリューションズの攻撃は1番、センター結城 背番号3】
弟の司が素振りをしながら右打席に入った。
バットをやや短く持ち、膝を曲げ前傾で立つ。
兄と違い、スタンスも狭い。
「のっけから、結城の弟と対戦かよ」
イヤだなぁ、という表情を浮かべた。
「プレイボール!」
そして試合は始まった。
1センター結城(司)
2レフト清水
3サード佐藤
4ファーストロドリゲス
5ライト山崎
6セカンド香坂
7ライトマイク中村
8キャッチャー青田
9ピッチャー内田
スカイウォーカーズ
1ライトラファエル
2センター唐澤
3ファースト結城(千聖)
4セカンド鬼束
5サード毒島
6レフト中山
7キャッチャー保坂
8ピッチャー真咲
9ショート筧
この試合、レボリューションズの結城司とスカイウォーカーズ結城千聖の兄弟対決でもある。
弟の司は兄千聖の5歳下でドラフト4位でレボリューションズに指名された。
共に俊足好打で守備も良い。
試合前の練習で司は兄の下へ挨拶に出向いた。
「アニキ、久しぶり」
「おー、ツカサ!どうだ、調子は?」
弟の司は兄と違ってヤンキーではない。
進学校に通い、名門の国立大学へ進学する予定だった。
高校三年間で公式試合に出場したのはほんの数試合だったが、非凡な才能に目を付けたレボリューションズのスカウトによって指名された。
入団当初は右投右打だったが、俊足を生かすために一年目からスイッチヒッターに転向。
二年目は途中から一軍に昇格するとトップバッターとして定着。
コンタクト能力も高く待球するタイプで選球眼も良い。
4年目には56個の盗塁と206安打で盗塁王と最多安打をマークする。
長打力は無いが、兄譲りのバットコントロールで広角に打ち分け、塁に出ると脚で掻き回す。
「単純にヒットを打つだけなら、兄よりも弟の方が優れている」という評価を得ている。
「いや~、調子はまぁまぁかな」
千聖は185cmと長身だが、司は176cmとやや小柄な部類に入る。
顔も兄に似て今風の草食系男子のイケメンだ。
ここに唐澤が入ると知らない人は三兄弟ではないか、と思う程似ている。
「まぁまぁで3割打てっこないだろ!」
「アニキだって、打率いいじゃん」
「でもまぁ、個人成績は二の次だし」
「オレはね…プロに入って1度でいいから、アニキの成績を越える事を目標としてるんだよ」
何かにつけて兄と比較される。
ヒット数でも打率でも何でもいい、兄より上の成績を挙げてみたいと目標を掲げている。
「フッ、そんな事を目標にしてるのか。プロ野球選手ならば、優勝を目標にするべきだろ」
「勿論、優勝はしたいよ!でも、オレ個人としての目標はアニキの成績を越える事なんだ」
フフフ、と兄は笑みを浮かべる。
「ボクとお前とじゃ、タイプが違うからそんな事を競わなくてもいいのに」
「でも、周りはそうは見てないよ。アベレージヒッターという括りで同じにされてるんだ」
一年目から華々しく一軍で活躍していた千聖と違い、司は二軍でスイッチヒッターに転向する期間を費やした。
その時点で千聖よりも劣ってるという見方をする者もいる。
「そんな外野の声に惑わされてどうする。ボクにはボクの、お前にはお前の持ち味というのがあるんだ。数字だけで優劣を競うだけじゃないだろ」
「そうか…アニキはそういう考えか。オレは何がなんでもアニキの成績を越えてみせる!
それじゃ」
司は自軍のベンチへ戻った。
「全く…目先の数字にばかりこだわってどうする。ボクは個人成績なんて、これっぽっちも興味無いんだが」
常にフォアザチームを第一にプレーしてきた。
今年からスカイウォーカーズのキャプテンとしてチームをまとめる存在で、気配りに長けている。
「アイツはそれが目標なのか…ボクは個人成績よりもチームが優勝して日本一になる事…それが目標だ」
スパイクの紐を結び直し、ファーストミットの手入れをした。
本日は週末とあって、試合開始は午後1時というデーゲーム。
マウンド上では先発の真咲が軽い柔軟体操を行っている。
前屈をすると、額が膝にくっつく程の柔軟な身体だ。
下半身をより強靭に鍛えると同時に柔軟性のある身体にモデルチェンジした。
その成果なのか、例年に比べると疲労の回復が早くなった。
成績アップもこの効果なのだろう。
「真咲!投球練習しなくていいのか!」
主審が促す。
「あー、いいよいいよ、これでウォーミングアップ完了!」
ストレッチだけで仕上がったと言う。
【1回の表、レボリューションズの攻撃は1番、センター結城 背番号3】
弟の司が素振りをしながら右打席に入った。
バットをやや短く持ち、膝を曲げ前傾で立つ。
兄と違い、スタンスも狭い。
「のっけから、結城の弟と対戦かよ」
イヤだなぁ、という表情を浮かべた。
「プレイボール!」
そして試合は始まった。
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