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弱小だった頃
榊を監督に
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来る日も来る日もスカイウォーカーズは敗け続ける。
【お前ら、それでもプロか!】
【敗けてばっかじゃねぇか!】
【金返せ、バカヤロー!】
スタンドでは、観客が罵声を浴びせるのが恒例となった。
「お前たち、あんな事言われて悔しくないのかっ!」
高梨は選手達を叱責するが、負け犬根性が染み付いているせいか、馬の耳に念仏状態だ。
「だって、オレがいくら打ってもピッチャーが打たれりゃ敗けますって!」
「何言ってんだ、オレはキッチリと抑えているだろ!」
「オレ、ホームラン打ったのにこれ以上どう活躍しろって言うんすか?」
「そもそも、監督の采配が悪いんですよ」
全く悪びれもなく、監督の采配が原因だと言い張る。
「ふざけるなっ!何でもかんでも監督のせいにするんじゃない!」
「じゃあ、オレらの責任だと言うんですか?」
「オレたちは一生懸命グランドでプレーしてるじゃないすか」
「何が一生懸命だ!もっと必死になってボールを追いかけろ!」
「だって、そんな事したらケガするかもしれないんですよ?ケガしたら、責任とってくれるんすか?」
ああ言えばこう言うで、何を言っても逆効果だ。
そんな中、阿佐オーナーが球場を訪れ高梨と今後の事についての話し合いが行われた。
(今年限りでクビか…)
高梨はGMを解任されるだろうと思った。
「高梨くん、今度の監督は榊くんにやってもらおうと思うんだがぬ」
てっきりクビだと思っていたが、次期監督を誰にするかという話だった。
「オーナー。私を解任する話ではないのですか?」
「にゃんと!ミーはユーを解任するなんて事は全く考えてないんだぬーーーん!」
「そうですか…しかし、榊さんはまだテレビ局との契約が残っている筈では」
「だぬだぬ。榊くんは確かにテレビ局との契約が残っているが、来年以降は白紙状態みたいだぬ」
「えっ、と言う事は今年で契約が切れるというワケですか?」
「そうらしいぬ。あの番組は視聴率が良いみたいだが、プロデューサーが変わるとかで番組をリニューアルするらしいぬ」
「では、榊さんは来年以降の契約を結ぶ事は無いという事なんですか?」
阿佐は周囲に榊の身辺を調査するよう指示していた。
「あの番組は視聴率が良いけどその反面、榊くんの過激な発言を危惧する声もあるみたいだぬ。
で、改編期と称して来年からリニューアルすると同時に榊くんは番組から外れるらしいんだぬ」
生放送とは言え、パワーボムかましてやるとか、ぶっ飛ばすとか物騒な事ばかり言ってるので、視聴者からの反感を買ったみたいだ。
「では、榊さんはクビという事ですか」
「だぬだぬ。表向きは番組を卒業するという形で去るみたいだが、実際はクビみたいだぬ」
そりゃ、そんな事ばかり言ってりゃクビにならない方がおかしい。
「ですが、榊さんがスカイウォーカーズの監督を引き受けますかね?」
高梨としては、榊が監督になってくれれば負け犬根性のチームを一掃してくれるだろうと思った。
とは言え、一抹の不安もある。
何せ、普段から過激な発言が物議を醸している為、監督というポジションは不向きだろうと思い、高梨は今まで躊躇していた。
「多少の発言は目をつぶろうじゃないかぬ!何よりも、榊くんの闘志溢れる性格は必ず選手達に伝わる筈だぬーーーん!」
「でも、あの人は監督という立場を今一つ理解してないみたいですし」
高梨は頭の中で様々なシチュエーションを想定した。
こんな場合、あの人ならどう采配するか…
こういう状況ならば、あの人だったらどんな事をするのか。
(ダメだ…あの人に任せたらとんでもない事になりそうだ)
そもそも榊に野球理論なんてものは無い。
「野球なんざ、アレコレ考えずに投げて打って走りゃいいんだよ!」
榊さんの野球理論とは何か?と問われ、この様な発言をして顰蹙を買っていた。
そんな人に監督なんて無理だ、今以上にチームが酷くなってしまうと。
「しかし、他に誰もいないんだぬ!今のスカイウォーカーズを変えるには榊くん以外考えられないんだぬーーーん!」
「あの人は監督には向いてませんよ」
「やる前からダメだって言うバカがいるかよ!」
そう言うやいなや、高梨にビンタをかました。
パチーンという音が部屋中に響く。
「痛てーな、コノヤロー!だったら、テメーが直接本人と交渉してこい、バカヤロー!」
ドガッ!
「グェーっ!」
高梨は阿佐を抱え上げてチョークスラムで叩き付けた。
(しかし、オーナーの言うことも一理ある。あの人なら何とかしてくれそうな雰囲気もあるし)
阿佐は大の字で倒れている。
榊を監督に…高梨の考えは揺れ動く。
【お前ら、それでもプロか!】
【敗けてばっかじゃねぇか!】
【金返せ、バカヤロー!】
スタンドでは、観客が罵声を浴びせるのが恒例となった。
「お前たち、あんな事言われて悔しくないのかっ!」
高梨は選手達を叱責するが、負け犬根性が染み付いているせいか、馬の耳に念仏状態だ。
「だって、オレがいくら打ってもピッチャーが打たれりゃ敗けますって!」
「何言ってんだ、オレはキッチリと抑えているだろ!」
「オレ、ホームラン打ったのにこれ以上どう活躍しろって言うんすか?」
「そもそも、監督の采配が悪いんですよ」
全く悪びれもなく、監督の采配が原因だと言い張る。
「ふざけるなっ!何でもかんでも監督のせいにするんじゃない!」
「じゃあ、オレらの責任だと言うんですか?」
「オレたちは一生懸命グランドでプレーしてるじゃないすか」
「何が一生懸命だ!もっと必死になってボールを追いかけろ!」
「だって、そんな事したらケガするかもしれないんですよ?ケガしたら、責任とってくれるんすか?」
ああ言えばこう言うで、何を言っても逆効果だ。
そんな中、阿佐オーナーが球場を訪れ高梨と今後の事についての話し合いが行われた。
(今年限りでクビか…)
高梨はGMを解任されるだろうと思った。
「高梨くん、今度の監督は榊くんにやってもらおうと思うんだがぬ」
てっきりクビだと思っていたが、次期監督を誰にするかという話だった。
「オーナー。私を解任する話ではないのですか?」
「にゃんと!ミーはユーを解任するなんて事は全く考えてないんだぬーーーん!」
「そうですか…しかし、榊さんはまだテレビ局との契約が残っている筈では」
「だぬだぬ。榊くんは確かにテレビ局との契約が残っているが、来年以降は白紙状態みたいだぬ」
「えっ、と言う事は今年で契約が切れるというワケですか?」
「そうらしいぬ。あの番組は視聴率が良いみたいだが、プロデューサーが変わるとかで番組をリニューアルするらしいぬ」
「では、榊さんは来年以降の契約を結ぶ事は無いという事なんですか?」
阿佐は周囲に榊の身辺を調査するよう指示していた。
「あの番組は視聴率が良いけどその反面、榊くんの過激な発言を危惧する声もあるみたいだぬ。
で、改編期と称して来年からリニューアルすると同時に榊くんは番組から外れるらしいんだぬ」
生放送とは言え、パワーボムかましてやるとか、ぶっ飛ばすとか物騒な事ばかり言ってるので、視聴者からの反感を買ったみたいだ。
「では、榊さんはクビという事ですか」
「だぬだぬ。表向きは番組を卒業するという形で去るみたいだが、実際はクビみたいだぬ」
そりゃ、そんな事ばかり言ってりゃクビにならない方がおかしい。
「ですが、榊さんがスカイウォーカーズの監督を引き受けますかね?」
高梨としては、榊が監督になってくれれば負け犬根性のチームを一掃してくれるだろうと思った。
とは言え、一抹の不安もある。
何せ、普段から過激な発言が物議を醸している為、監督というポジションは不向きだろうと思い、高梨は今まで躊躇していた。
「多少の発言は目をつぶろうじゃないかぬ!何よりも、榊くんの闘志溢れる性格は必ず選手達に伝わる筈だぬーーーん!」
「でも、あの人は監督という立場を今一つ理解してないみたいですし」
高梨は頭の中で様々なシチュエーションを想定した。
こんな場合、あの人ならどう采配するか…
こういう状況ならば、あの人だったらどんな事をするのか。
(ダメだ…あの人に任せたらとんでもない事になりそうだ)
そもそも榊に野球理論なんてものは無い。
「野球なんざ、アレコレ考えずに投げて打って走りゃいいんだよ!」
榊さんの野球理論とは何か?と問われ、この様な発言をして顰蹙を買っていた。
そんな人に監督なんて無理だ、今以上にチームが酷くなってしまうと。
「しかし、他に誰もいないんだぬ!今のスカイウォーカーズを変えるには榊くん以外考えられないんだぬーーーん!」
「あの人は監督には向いてませんよ」
「やる前からダメだって言うバカがいるかよ!」
そう言うやいなや、高梨にビンタをかました。
パチーンという音が部屋中に響く。
「痛てーな、コノヤロー!だったら、テメーが直接本人と交渉してこい、バカヤロー!」
ドガッ!
「グェーっ!」
高梨は阿佐を抱え上げてチョークスラムで叩き付けた。
(しかし、オーナーの言うことも一理ある。あの人なら何とかしてくれそうな雰囲気もあるし)
阿佐は大の字で倒れている。
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