23 / 125
過去
更生3
しおりを挟む
「じゃあ、ケンカに勝つために格闘技習ってたって事か?」
「ええ…まぁ、なんと言うかその…若気の至りというか、ホントに未熟だったので」
しきりに頭をかいた。
「でも、勝つために相手の行動を読むって、それが結城さんのバッティングに生かされてるんじゃないですか?」
「そんな!確かに相手ピッチャーの球種を読む事はあるけど、それは経験からくるものだし」
「いや、大いに役立っていると思うよ、うん」
「さすが結城さん!」
「参ったなぁ…」
恥部を晒してるみたいで、何だか恥ずかしい気持ちになった。
それからというもの、結城少年は毎日の様にケンカに明け暮れた。
挙句の果てには、相手が物足りないとばかりに暴走族をターゲットに暴れた。
たった一人で何十人も相手に大立ち回りをして、頭を張ってるヤツをボコボコにして族を潰した。
この話は他校にも知れ渡り、結城少年はその界隈では知らぬ者はいないと言う程、知れ渡った。
三年生になり高校受験を控えていたが、勉強を全くやっていなかった結城少年が、合格圏内に入る高校は無かった。
物覚えは早いので、決して頭は悪くは無いが、行きたい高校も特に無く、出来れば高校なんて行かずに自由気ままに過ごしてみたいと思った。
しかし、そんな事を許すはずも無く、親の必死の説得で結城少年はようやく受験勉強をするようになった。
その甲斐もあって、普通より少し学力の高い高校を受験して合格した。
その学校は自由な校風で制服が無く、私服通学だった。
結城はダボダボのスエット上下で登校し、担任から注意を受ける。
「服装は自由なんだろ!何着て行こうが、オレの勝手だろ!」
「そんな服装があるかっ!今すぐ着替えて来い!」
「もう来ねぇよ、バーカ!」
入学して早々、早くも辞めると言い出す。
「いい加減にしなさい!辞めるなんて、お母さんは絶対に許しません!」
「千聖っ!お前は自分が何を言ってるのか分かってるのか!」
「オレの勝手だろうが!行くたくもねぇ学校に行かされて、何が許さないだ!どうせ、アンタらが体裁よくする為にオレを高校に入れたんだろ!」
そんな結城に転機が訪れる。
仲の良かった友人が野球部に入部した。
「チサト!お前も野球やってたんだろ?一緒にやろうぜ」
野球は小学生以来、全くやってなかった。
「なぁ、入ってみようぜ!イヤだったら辞めればいいだけの事だし」
そう言われ、渋々野球部に入部した。
「ったく、上級生ったってオレよりヘタクソじゃねえかよ」
こんなもんなら、オレはすぐにレギュラーになれるな。
実際、入部して僅か一週間でレギュラーを座を射止めた。ポジションはファースト。
バッティングは非凡な才能を持ち、柔らかいグラブ捌きでたちまち4番を任させる。
そんな時、野球部の監督が途中で代わった。
新たに就任した監督は、元プロ野球選手でそこそこ有名だったという。
その新監督はグランドに立つと、選手達の練習を後ろからジッと眺めていた。
練習が終わると、監督から告げられた一言はあまりにも無情だった。
「結城はまだレギュラーには程遠い」
一年生スラッガーは早くも二軍に降格した。
「ふざけんな、このクソジジイ!何でチームで一番上手いオレが外されなきゃなんないんだよ!」
「お前は精神面が未熟だ!レギュラーなんて、まだ早い!」
監督は毅然として言い放った。
「んだと、テメー!」
激昴して殴りかかろうとするが、武道の心得がある監督は結城を宙に舞った。
ドサッ!
「ガハッ…」
背中を強かに打ち付け、息が詰まる。
「どうしてもレギュラーになりたければ、このオレを倒してみろ!」
「面白ぇ、絶対に倒してやる!」
かくして、結城と監督のバトルが始まった。
「ええ…まぁ、なんと言うかその…若気の至りというか、ホントに未熟だったので」
しきりに頭をかいた。
「でも、勝つために相手の行動を読むって、それが結城さんのバッティングに生かされてるんじゃないですか?」
「そんな!確かに相手ピッチャーの球種を読む事はあるけど、それは経験からくるものだし」
「いや、大いに役立っていると思うよ、うん」
「さすが結城さん!」
「参ったなぁ…」
恥部を晒してるみたいで、何だか恥ずかしい気持ちになった。
それからというもの、結城少年は毎日の様にケンカに明け暮れた。
挙句の果てには、相手が物足りないとばかりに暴走族をターゲットに暴れた。
たった一人で何十人も相手に大立ち回りをして、頭を張ってるヤツをボコボコにして族を潰した。
この話は他校にも知れ渡り、結城少年はその界隈では知らぬ者はいないと言う程、知れ渡った。
三年生になり高校受験を控えていたが、勉強を全くやっていなかった結城少年が、合格圏内に入る高校は無かった。
物覚えは早いので、決して頭は悪くは無いが、行きたい高校も特に無く、出来れば高校なんて行かずに自由気ままに過ごしてみたいと思った。
しかし、そんな事を許すはずも無く、親の必死の説得で結城少年はようやく受験勉強をするようになった。
その甲斐もあって、普通より少し学力の高い高校を受験して合格した。
その学校は自由な校風で制服が無く、私服通学だった。
結城はダボダボのスエット上下で登校し、担任から注意を受ける。
「服装は自由なんだろ!何着て行こうが、オレの勝手だろ!」
「そんな服装があるかっ!今すぐ着替えて来い!」
「もう来ねぇよ、バーカ!」
入学して早々、早くも辞めると言い出す。
「いい加減にしなさい!辞めるなんて、お母さんは絶対に許しません!」
「千聖っ!お前は自分が何を言ってるのか分かってるのか!」
「オレの勝手だろうが!行くたくもねぇ学校に行かされて、何が許さないだ!どうせ、アンタらが体裁よくする為にオレを高校に入れたんだろ!」
そんな結城に転機が訪れる。
仲の良かった友人が野球部に入部した。
「チサト!お前も野球やってたんだろ?一緒にやろうぜ」
野球は小学生以来、全くやってなかった。
「なぁ、入ってみようぜ!イヤだったら辞めればいいだけの事だし」
そう言われ、渋々野球部に入部した。
「ったく、上級生ったってオレよりヘタクソじゃねえかよ」
こんなもんなら、オレはすぐにレギュラーになれるな。
実際、入部して僅か一週間でレギュラーを座を射止めた。ポジションはファースト。
バッティングは非凡な才能を持ち、柔らかいグラブ捌きでたちまち4番を任させる。
そんな時、野球部の監督が途中で代わった。
新たに就任した監督は、元プロ野球選手でそこそこ有名だったという。
その新監督はグランドに立つと、選手達の練習を後ろからジッと眺めていた。
練習が終わると、監督から告げられた一言はあまりにも無情だった。
「結城はまだレギュラーには程遠い」
一年生スラッガーは早くも二軍に降格した。
「ふざけんな、このクソジジイ!何でチームで一番上手いオレが外されなきゃなんないんだよ!」
「お前は精神面が未熟だ!レギュラーなんて、まだ早い!」
監督は毅然として言い放った。
「んだと、テメー!」
激昴して殴りかかろうとするが、武道の心得がある監督は結城を宙に舞った。
ドサッ!
「ガハッ…」
背中を強かに打ち付け、息が詰まる。
「どうしてもレギュラーになりたければ、このオレを倒してみろ!」
「面白ぇ、絶対に倒してやる!」
かくして、結城と監督のバトルが始まった。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
婚約者の浮気相手が子を授かったので
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ファンヌはリヴァス王国王太子クラウスの婚約者である。
ある日、クラウスが想いを寄せている女性――アデラが子を授かったと言う。
アデラと一緒になりたいクラウスは、ファンヌに婚約解消を迫る。
ファンヌはそれを受け入れ、さっさと手続きを済ませてしまった。
自由になった彼女は学校へと戻り、大好きな薬草や茶葉の『研究』に没頭する予定だった。
しかし、師であるエルランドが学校を辞めて自国へ戻ると言い出す。
彼は自然豊かな国ベロテニア王国の出身であった。
ベロテニア王国は、薬草や茶葉の生育に力を入れているし、何よりも獣人の血を引く者も数多くいるという魅力的な国である。
まだまだエルランドと共に茶葉や薬草の『研究』を続けたいファンヌは、エルランドと共にベロテニア王国へと向かうのだが――。
※表紙イラストはタイトルから「お絵描きばりぐっどくん」に作成してもらいました。
※完結しました
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
夫を愛することはやめました。
杉本凪咲
恋愛
私はただ夫に好かれたかった。毎日多くの時間をかけて丹念に化粧を施し、豊富な教養も身につけた。しかし夫は私を愛することはなく、別の女性へと愛を向けた。夫と彼女の不倫現場を目撃した時、私は強いショックを受けて、自分が隣国の王女であった時の記憶が蘇る。それを知った夫は手のひらを返したように愛を囁くが、もう既に彼への愛は尽きていた。
あなたの子ですが、内緒で育てます
椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」
突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。
夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。
私は強くなることを決意する。
「この子は私が育てます!」
お腹にいる子供は王の子。
王の子だけが不思議な力を持つ。
私は育った子供を連れて王宮へ戻る。
――そして、私を追い出したことを後悔してください。
※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ
※他サイト様でも掲載しております。
※hotランキング1位&エールありがとうございます!
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる