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優勝への道のり

今日こそ勝つ!

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2回の裏、スカイウォーカーズの攻撃は4番の鬼束から。


「鬼束くん」

打席に向かう途中、結城が呼び止めた。


「はい」


結城はバットを差し出した。


「キミが使うバットはこれじゃないか」


鬼束は普段使用しているトップバランスのバットではなく、ミドルバランスのバットを手にしていた。


「でも、今はとにかく塁に出る事が先決じゃないですか?」


「4番がそんな事言ってどうする。キミはスカイウォーカーズの主砲なんだ。思い切ってバットを振るんだ、いいな!」


「…はい!」


「期待してるよ」


鬼束の肩をポンポンと叩いた。


トップバランスのバットに変えて鬼束が右打席に入る。


いつもの様に正面でバットを構える神主打法で、マウンドのルーガーを睨みつける。


ルーガーは落ち着きがない。


(初球ストライクゾーンにきたら打つ!)


鬼束は初球を狙っている。


プレートをガツガツと踏み鳴らし、ルーガーが初球を投げた。



唸りを上げてストレートが真ん中やや高目へ。


(振り抜くのみ!)


ガコーン!という音と共に打球はセンターへ。


鬼束は打球を行方を追わず、ゆっくりとベースを回った。


美しい放物線を描いて打球はバックスクリーンへ着弾した。


「ヨシっ、1点獲ったぞ!」


「さすが鬼束さん」


「Good job!(よくやった!)」


鬼束の17号ソロホームランでスカイウォーカーズが先制した。


「さすが4番」


結城は拍手をして出迎えた。


「ありがとうございます!結城さんのアドバイスが無ければ、中途半端なバッティングになってたところです」


「ボクはアドバイスなんかしてないよ。ただ、いつも通りに打ってくれって言っただけよ」


とおどけてハグをした。


「ちょっ…結城さん!」


鬼束が真っ赤な顔をして困惑する。


「あー、鬼束さん照れてる」


「バカ、違うよ!」


ベンチはお祭りムードだ。


「Hey guys! Let's win today!(おい、皆!今日は勝つぞ!)」


トーマスが高々に叫ぶ。


「何だって?」

筧が隣に座ってる毒島に聞いた。


「えっ!さ、さぁなんでしょ」


「今日は絶対に勝つぞって言ったんだよ」


結城が二人に教えた。


「結城さんって、英語話せるんですか?」


「ん?フフっ、少しだけね」


笑みを浮かべた。


「はぁ~…スゲーな、結城さんて」


筧が尊敬の眼差しをする。


「ほら、ここがチャンスだよ皆!ドンドン攻めよう!」



キャプテンらしく皆を引っ張る。


「結城くんをキャプテンにしたのは正解でしたね」


結城をキャプテンに指名したのは榊だ。


「ん?だって、アイツが一番ケンカ強いじゃん」


榊は結城のヤンキー気質を見込んだからこそ、キャプテンは結城しかいないと決めた。


「そんな理由で決めたんですか?」


「ワハハハハハ!何でもそうだけど、アタマ張るヤツは度胸が無いとダメなんだよ」


「まぁ…決して間違ってはいないですけどね」


櫻井は選手達を見た。


確かに結城を中心に一丸となって優勝へ向かっている。


デタラメな選出だが、あながち的外れな考えでもない。


榊なりに考えたのだろうと。




一方、マウンド上のルーガーは鬼束にホームランを打たれたせいか、さっきよりも忙しなく動き苛立っている。


「カッカしてますね。今が攻めどきです」


続いて5番の毒島が打席に入る。


遠くへ飛ばす力なら、日本球界でもトップクラスだ。


その毒島に対して初球は高目に浮いたツーシーム。


「ファイヤーっ!」

気合い一発、毒島はフルスイングした。


鬼束の時よりも更に打球が高く上がり、レフトスタンドを軽々と越えていった。


「…場外ホームランだ!」


「スゲー飛距離だ」


二者連続初球ホームランで更に1点追加。


ルーガーは

「shit!(クソっ!)」

とマウンドの土を蹴り上げている。



どうやら毒島の放ったホームランの飛距離は、150mをゆうに越えているらしい。


この回で勝負は決まった。


ルーガーは忙しなく動き回り、ピッチングも雑になって四球を連発して押し出しで更に1点追加。


片山は7回に比嘉のライト前タイムリーで1点を失ったが、完投勝利で5勝目をマーク。


交流戦四戦目でスカイウォーカーズが勝利した。





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