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結束力

個人成績

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吉川の考えた打順は翌日のキングダム戦で効果を発揮する。


比嘉の先頭打者本塁打を皮切りに連打を浴びせ、打者一巡の猛攻で初回に一挙5点をもぎとる。

その後も連打でキングダムを圧倒。

0対14という一方的過ぎる展開で勝利する。


一方スカイウォーカーズはと言うと、首位99ersとのゲーム差は僅か0.5だが、その0.5ゲーム差が縮まらない。


しかも3位マーリンズとのゲーム差は僅か1

首位から3位まで1.5ゲーム差という混戦模様だ。


チームの順位も気になるところだが、個人成績も気になる。


ネプチューンリーグの個人成績を紹介してみようと思う。


打率

1財前(武蔵野)0.362
2比嘉(名古屋)0.324
3仙道 (長州)   0.320


本塁打

1財前(武蔵野)28本
2羽田 (東北)   25本
3風間 (名古屋)23本


打点

1財前(武蔵野) 86
2風間(名古屋) 79
3羽田 (東北)    77


盗塁

1高野 (東北)34個
2浅倉 (北陸)28個
3結城 (長州)25個

安打

1外崎 (名古屋)137
2比嘉 (名古屋)126
3財前 (武蔵野)118




防御率

1天海 (東北)1.97
2真咲 (武蔵野)2.15
3那須川(名古屋)2.53


勝利数

1天海(東北)10
2那須川(名古屋)9
3真咲(武蔵野)8
3中澤 (東北)8


奪三振

1天海(東北)186個
2真咲(武蔵野)157個
3中邑(武蔵野)146個

セーブ

1ジェイク (武蔵野)26SP
2仁科(東北)              24SP
3霧島(名古屋)         22SP


ホールド

1アクーニャ(武蔵野)27H
2三嶋             (名古屋)25H
3山口                (東北) 22H


野手では財前、投手では天海が三冠をキープ。


特に財前は開幕戦でサイクルホームランを放ち、ヒーローインタビューで三冠王宣言をぶち上げ、逃した際は引退すると豪語した。


有言実行タイプの財前は、自らを追い込んで打撃タイトルを総ナメにするつもりだ。



オールスターも終わり、後半戦がスタートして1ヶ月が経過した。


そんな中、3位マーリンズが驚きのトレードを敢行した。


長州レボリューションズの主砲仙道と、一昨年新人王に輝いた不動の3番、村上とのトレードが成立した。


1リーグ制の頃は7月31日までという期間を設けたが、2リーグ制になってからは期限を廃止したせいで、シーズン終了間際でのトレードも少なくない。


仙道がマーリンズに加入した事で、かつてのチームメイトでもある羽田と再び同じチームでプレイする事となった。


背番号はレボリューションズの時と同じく7、しかもマーリンズデビュー戦は古巣レボリューションズとの1戦だ。


一方、首位の99ersはキングダムと、2位のスカイウォーカーズはレッズとの1戦に挑む。





レッズの本拠地、北陸ブルーオーシャンドーム内のホテルを宿舎にするスカイウォーカーズナイン。


結城は財前と唐澤の3人で食事をする為、最上階にあるレストランに向かった。


「アレ、アイツ確かレッズの選手じゃなかったっけ?」


レストランでは浅倉がジャージ姿で夕飯を食べていた。


「あれは浅倉選手ですよ」


「アサクラ…あぁ、レッズの4番か」


「財前さん、いい加減他の選手も覚えてくださいよ」


「そのうち覚えるってば」



浅倉は窓際の席で天ぷら定食を食べている。


余程美味いのか、3人には目もくれずひたすら目の前の定食を勢いよく食べている。


「こんばんは、浅倉くん」


結城が声を掛けると、一瞬ビクッとして振り向く。


「あ…あぁ、こんばんは。皆さんお揃いで」


「何食ってるんだ?」


「天ぷら定食っす」


「美味そうだな、オレもそれにしようかな」


財前は天ぷら定食を注文した。


「えーっと、それじゃペペロンチーノとサラダ、後野菜のスムージーを」


唐澤は相変わらずのヘルシー志向だ。


「じゃあ、ボクは生姜焼き定食で」


結城は生姜焼き定食を注文した。


「ここ座ってもいいかな?」


「えぇ、どうぞどうぞ」


3人が浅倉のテーブル席に座る。


「そういや、このホテルに住んでるんだって?」


財前の言う通り、浅倉はこのホテルで生活している。


「はい…楽だし、全て揃ってますからね」


野球以外は無頓着な性格故、ホテル住まいを満喫している。


「ここを出ようとは思わないんですか?」


隣に座った唐澤が聞いた。


「えー、だって一人暮らしだと色々と面倒じゃない?
メシを作らなきゃならないし、掃除や洗濯だってやらなきゃなんないし…その点、ホテル住まいだと全てをやってくれるから、楽チンだよ」


「このホテルに住んでどのくらい経つの?」


「今年で5年になりますかね…結城さんもここで生活してみませんか?」


「ここでって…それはボクにレッズに来いって言ってるようなもんじゃないか」


結城は苦笑する。


「だったら、ウチに来いよ!ウチの球場はホテルは無いけど、近くにホテルならいっぱいあるぜ」


向かいに座った財前が誘う。


「いや~、ここが気に入ってるもんで…
ところで、アクーニャはどうですか?」


浅倉はアクーニャを可愛がっていた。


いずれはレッズの中心選手になる逸材だと期待をしていたのだが、変化球を身に付ける事が出来なかったという理由で昨年戦力外通告を受けた。


「アクーニャは今や、ウチでは欠かす事の出来ない中継ぎエースとして頑張ってますよ」


「勿体無いよなぁ…アクーニャは球も速いし、コントロールもまあまあ。
変化球が投げられないというけど、ツーシームとカットボールを投げるんだから、何もクビにする事無いのに」


浅倉は今でもアクーニャに戦力外通告をした事が間違いだと思っている。


レッズは中継ぎ陣がパッとしない。


もし、アクーニャがレッズにいたら…と思うと残念でならない。


「よぉ、アンちゃん!そんなチームさっさと出て、ウチに来いよ!何なら、全試合ライトのポジション空けて待ってるぜ」


「ちょっと、財前さん…ライトはオレのポジションすよ?」


唐澤が困惑した表情をする。


「ワハハハハ!じゃあ、レフトを空けて待ってるぜ!」


「財前さん、レフトは森高くんが守ってるじゃないですか」


「じゃあ、ファーストのポジション空けて待ってるよ!」


「そこはボクが守ってますから…」


3人のバカ話を聞いて、羨ましいなぁと浅倉は思った。


レッズでは、こうやってバカな事が出来る相手がいない。


「ご馳走様でした…では皆さん、自分はお先に失礼します。
明日はお手柔らかに」


ペコりと会釈して浅倉は席を立った。


(そういや、FAの権利を取得したのは去年か…スカイウォーカーズに移ってみたい気もするけどな)


浅倉はFAを行使するかどうか迷っていた。


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