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ストーブリーグ
オープン戦 2
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対するスカイウォーカーズの先発サンピエールは速球を効果的に使い、緩急を付けたピッチングで打者を打ち取った。
中盤1-0のままでキングダムは二番手に湘田を投入。
天海に負けじとこちらも160kmを連発。
「オイオイ、アイツの方が速く感じないか?」
「ですね…先程のピッチャーと同じスピードなのに、こちらの方が速く感じる。打席に立つと更に速く感じるでしょうね」
湘田の投げるストレートと天海の投げるストレートは同じ速さなのに、湘田の方が速く感じる。
湘田のストレートの回転数は平均2200回転。
対する天海は1800回転。
バックスピンが効いている分、湘田のストレートの方がノビがある。
「天海のストレートなら打てるかもしれんが、コイツのストレートはちょっとやそっとじゃ打てるもんじゃねえな」
「お手上げですかね」
「お前ならどう打つよ?」
「さぁ…ボクもお手上げですかね」
フフっと笑った。
湘田の圧巻のピッチングで打線は沈黙。
スカイウォーカーズはサンピエールから二番手の山本へ。
今シーズンから中継ぎを担う。
加勢と共に左右の中継ぎエースとして期待がかかる。
山本は先頭打者にヒットを許すが、後続を断ち切り無得点に。
湘田は更にギアを上げて、速球と落差の大きいバルカンチェンジと呼ばれるチェンジアップを使いスカイウォーカーズ打線を翻弄する。
「厄介だな、あのチェンジアップは」
「榊さんも現役時代チェンジアップを決め球にしてましたよね」
「そうなんだが、あのチェンジアップはフォークみたいにストーンと落ちるよな?」
「そうですね。しかも、途中までストレートと同じ軌道だからバッターは手を出してしまいますね」
櫻井の言う通り、翔田のチェンジアップは中指と薬指の間に挟むような握りで投げる。
ストレートの軌道からバッターの手前でストンと落ちるので見分けが難しい。
「今年はコイツを攻略しないと優勝出来ないぞ」
「そのようですね」
「しかもコイツは天海のクソガキみたいにカッカしないから、これと言った弱点も見当たらない」
「でも、人間がやってる事だからどこかしらに弱点はあるハズ…」
「ヒロト、見てて分かるか?」
「うーん…全てに於いて完成されたピッチングですね。今のところはこれといった弱点は見当たらないです」
「お前でも無理か…じゃあ、コイツが登板した日は敗けを覚悟しようかな」
「その作戦もアリですね」
櫻井はフフフっと笑みを浮かべる。
「でも、直接的では無理ですが、間接的には攻略出来るかもしれないですね」
「間接的?どういう事だ?」
「今はそれが何なのか分かりませんが、いずれ対戦する事があるでしょうから、その時にでも研究してみましょう」
自信満々の表情だ。
試合は膠着したまま最終回を迎えた。
ここでスカイウォーカーズは今年の目玉でもあり、新ストッパーでもあるジェイク・キムラがマウンドに上がった。
キムラも160kmを越えるストレートを武器にしている。
右膝を高々と上げる独特のフォームで第一球を投げた。
ズドーンというミットの音が響く。
「ストライク!」
スピードガンは162kmを計測。
テンポ良く二球目を投げた。
ズバっとアウトコースにパワーシンカーと呼ばれるツーシームが決まりツーストライク。
高々を足を上げて三球目を投げた。
今度はカットボール。これがインコースに決まって三球三振。
カットボールで152kmという、桁外れのスピードだ。
キムラは三人を三振に打ち取りゲームセット。
1-0でスカイウォーカーズが辛勝した。
「ジェイクの球もスゲーなぁ…東雲も良いがどちらをメインのクローザーにしようか」
「フフフっ、贅沢な悩みですね」
「でもこれがシーズン始まると、思い通りの展開にならないんだよなぁ~」
「仕方ないですよ…何せ140試合の長丁場ですから」
もうすぐで開幕だ。
中盤1-0のままでキングダムは二番手に湘田を投入。
天海に負けじとこちらも160kmを連発。
「オイオイ、アイツの方が速く感じないか?」
「ですね…先程のピッチャーと同じスピードなのに、こちらの方が速く感じる。打席に立つと更に速く感じるでしょうね」
湘田の投げるストレートと天海の投げるストレートは同じ速さなのに、湘田の方が速く感じる。
湘田のストレートの回転数は平均2200回転。
対する天海は1800回転。
バックスピンが効いている分、湘田のストレートの方がノビがある。
「天海のストレートなら打てるかもしれんが、コイツのストレートはちょっとやそっとじゃ打てるもんじゃねえな」
「お手上げですかね」
「お前ならどう打つよ?」
「さぁ…ボクもお手上げですかね」
フフっと笑った。
湘田の圧巻のピッチングで打線は沈黙。
スカイウォーカーズはサンピエールから二番手の山本へ。
今シーズンから中継ぎを担う。
加勢と共に左右の中継ぎエースとして期待がかかる。
山本は先頭打者にヒットを許すが、後続を断ち切り無得点に。
湘田は更にギアを上げて、速球と落差の大きいバルカンチェンジと呼ばれるチェンジアップを使いスカイウォーカーズ打線を翻弄する。
「厄介だな、あのチェンジアップは」
「榊さんも現役時代チェンジアップを決め球にしてましたよね」
「そうなんだが、あのチェンジアップはフォークみたいにストーンと落ちるよな?」
「そうですね。しかも、途中までストレートと同じ軌道だからバッターは手を出してしまいますね」
櫻井の言う通り、翔田のチェンジアップは中指と薬指の間に挟むような握りで投げる。
ストレートの軌道からバッターの手前でストンと落ちるので見分けが難しい。
「今年はコイツを攻略しないと優勝出来ないぞ」
「そのようですね」
「しかもコイツは天海のクソガキみたいにカッカしないから、これと言った弱点も見当たらない」
「でも、人間がやってる事だからどこかしらに弱点はあるハズ…」
「ヒロト、見てて分かるか?」
「うーん…全てに於いて完成されたピッチングですね。今のところはこれといった弱点は見当たらないです」
「お前でも無理か…じゃあ、コイツが登板した日は敗けを覚悟しようかな」
「その作戦もアリですね」
櫻井はフフフっと笑みを浮かべる。
「でも、直接的では無理ですが、間接的には攻略出来るかもしれないですね」
「間接的?どういう事だ?」
「今はそれが何なのか分かりませんが、いずれ対戦する事があるでしょうから、その時にでも研究してみましょう」
自信満々の表情だ。
試合は膠着したまま最終回を迎えた。
ここでスカイウォーカーズは今年の目玉でもあり、新ストッパーでもあるジェイク・キムラがマウンドに上がった。
キムラも160kmを越えるストレートを武器にしている。
右膝を高々と上げる独特のフォームで第一球を投げた。
ズドーンというミットの音が響く。
「ストライク!」
スピードガンは162kmを計測。
テンポ良く二球目を投げた。
ズバっとアウトコースにパワーシンカーと呼ばれるツーシームが決まりツーストライク。
高々を足を上げて三球目を投げた。
今度はカットボール。これがインコースに決まって三球三振。
カットボールで152kmという、桁外れのスピードだ。
キムラは三人を三振に打ち取りゲームセット。
1-0でスカイウォーカーズが辛勝した。
「ジェイクの球もスゲーなぁ…東雲も良いがどちらをメインのクローザーにしようか」
「フフフっ、贅沢な悩みですね」
「でもこれがシーズン始まると、思い通りの展開にならないんだよなぁ~」
「仕方ないですよ…何せ140試合の長丁場ですから」
もうすぐで開幕だ。
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