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タッグマッチ

憧れの選手

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エース天海が畑中にぶっ飛ばされるという、何ともマヌケな結末でドルフィンズは敗れた。

天海は担架で医務室に運ばれ、ようやく意識を取り戻したが、ビッグマウスを連発した挙げ句、畑中にヒットを打たれ土下座を拒否するという、情けない失態を晒した。


天海を殴った畑中は暴力行為として罰金が課せられたが、経緯が経緯なだけに情状酌量の余地があると金額は僅か1万という、チョー甘々な処置に。

一方の天海はあまりにも挑発的な行為を繰り返し、相手チームはおろか、味方にまで及んだのは重大だと判断し、こちらは罰金300万という処分に課せられた。


散々相手を扱き下ろし最後はぶっ飛ばされて罰金払うという結末に【野球選手である前に、人として最低で愚かなヤツ】とスポーツ紙の一面を飾った。

これで態度を悔い改めればいいのだが、果たしてどうなることやら…


翌日は朝から降り出した雨が止まず、主催者は中止を発表し、スカイウォーカーズは更に西へ向かい、北九州でドジャースとの交流戦を行う。


北九州ドジャースは現在アポロリーグ3位でかつてはセイバーメトリクスを取り入れ、日本の野球に旋風を巻き起こしたチームで1リーグ時代では2度の優勝を誇る。

2リーグ制に変わってからはまだ優勝を経験してないが、着実に力を備えている発展途上のチームだ。


本拠地は関門海峡を見渡せるオクトパスフィールド。
関門海峡名物のタコが由来。

およそ37000人が収容出来る天然芝の屋外型野球場で



左翼 - 約94.5m
左中間 -約115.5m
中堅 - 約118.9m
中堅最深部 -約128.0m
右中間 - 約115.8m
右翼 - 約92.0m

バックネットは約18.3m

フェンス右翼 - 約11.3m

中堅 - 約5.2m

左翼 - 約0.9m- 約1.5m

ドジャースの選手がホームランを打つと、レフトスタンドに設置している噴水から、水柱が出るようになっている。


この天然芝の球場は左右非対称になっており、左中間が広く、右中間がやや狭い。

しかし、ライトスタンドには高さ10.5㍍もある、通称【モンスターウォール】と呼ばれるフェンスの為、左バッターがホームランを打つ為には、弾道の高い打球が必要となる。


メジャーリーグの某球団の球場を模倣したというか、パクった造りだ。


そして例の注文選手だが、まずはエースの山下 雄一(やましたゆういち)


背番号16を付ける左腕で入団13年目の31才。


ストレート、スライダー、チェンジアップ、スプリットを駆使する。

どの球種も腕の振りが同じで見分けがつかない為、奪三振率が高い。

スライダーは横と縦の二種類を投げ分け、特に縦のスライダーは打者の目線から消えるように落ちる為、被打率は少ない。


タイトルこそ無いが、毎年二桁勝利をマークし、安定感は抜群。





野手では11年目の3番バッター、結城 千聖(ゆうきちさと)内野手。

29才 左投左打 背番号23

2年目の19才には打率334で史上最年少の首位打者に輝く。

10代での首位打者は結城のみだ。

ラインドライブの中距離ヒッターで毎年のように最多安打を放ち出塁率も高い。


年間の平均本塁打数は16~20本ぐらいだが、過去には35本をマークしたものの、打率が三割を切り以来長打は狙わず快足を生かした二塁打を量産する。


首位打者4回

最多安打7回


昨年の成績は打率338

                         本塁打18

                         打点106

                         盗塁12

                         OPS0.903

惜しくも首位打者を逃したが、193安打、出塁率402で最多安打と最高出塁率を獲得した。

打撃だけではなく守備も一流でファーストというポジションでありながら、守備範囲が広く捕球も上手い。


ルーキーの年に外野を守った事もあるが、肩が弱く外野には向いてないとの事でファーストにコンバートされた。


セイバーメトリクスを重視しているドジャースでは盗塁の必要性が無いせいか、盗塁はあまり行わないが脚は速く走塁にも長けている。



野球以外にも慈善活動を献身的に行い、シーズン中も定期的に児童養護施設を訪問し、ランドセルや車椅子、バットやグラフを寄付している。

また震災の時は被災地でボランティア活動を積極的に行い、多額の支援金を寄付するなど球界きっての人格者として知られる。

唐澤は目標とする選手に結城の名を挙げている。
幼少の頃から結城に憧れ、中学高校時代は結城のような選手になりたいと練習に励んでいた。


その人格者と対戦するという興奮で唐澤の胸は高鳴る。

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