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来季に備えて

打ち崩すのみ!

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中澤は抜群の投球術で一回の表を三者凡退で終了。

一回の裏、マーリンズの攻撃。

マウンド上には先発の山本。


山本はプロ12年目の33才。

先発ローテーションの一角。


スリークォーターから投げる140km後半のストレートにツーシーム、カットボール、スライダー、決め球のフォークボールが持ち味だ。


昨年はケガで出遅れたが、10勝8敗と二桁勝利。

防御率は3.43


先発陣で最も安定感のある投手だ。



マーリンズのトップバッターは高野。

第一球を投げた。


ストレートが外角に外れボールワン。


毒島がサインを出す。

一度首を振り、次のサインで頷く。

二球目はツーシームが真ん中低めへ。

これでワンボール、ワンストライク。


三球目もツーシーム。

高野が強振するがファール。


四球目はスライダー。


高野はバットを出すが、先端に当たりショートゴロ。

ショートが難なく捌いてワンナウト。



続いて2番の井上が右打席に。


山本は初球にカットボールをインコースへ投げた。


井上は途中でスイングを止めた。

毒島は一塁塁審を指した。


しかし、判定はセーフ。


先ずはワンボール。

二球目はスライダーを外角に。


体勢が泳いだが、辛うじてバットに当ててファール。


三球目もスライダー。今度はストライクゾーンからボールになるコースだ。


同じコースに来たと思った井上はバットを出したが、打球はボテボテのセカンドゴロ。


これでツーアウト。


そして3番の助っ人外国人ロバート・ヘンダーソン。

今年から加入したパワーが売りの黒人選手だ。


羽田との左右の大砲として期待がかかる。


今シーズンは13本のホームランを放ち、スカイウォーカーズの吉岡と共にトップ。


山本としては、ここで終わらせたいところ。


初球はスライダーから入った。ヘンダーソンは手を出さず。


「ボール!」


二球目はツーシーム。

ヘンダーソンはバットを出すが、打球が切れてファール。


三球目はストレートをインハイに。

これを待ってたとばかりにヘンダーソンがフルスイング。

打球はライトにグーンと伸びた!


(ヤバい、持っていかれたか!)

山本は打球の行方を追った。

しかし、僅かに切れてファール。

(助かった…)


四球目はアウトローにズバッと決まるストレート。


「ストライクアウト!」


ヘンダーソン、手が出ず見逃しの三振。


一回の裏、マーリンズは三者凡退に終わった。




その後は静かな投手戦へ突入。


両チームとも点が取れないまま、七回の面スカイウォーカーズの攻撃は2番の唐澤から。



マウンドには先発の中澤。

ここまで99球を投げて被安打2、無四球、奪三振は6。


次が100球目。


中澤が投げた。

縦のスライダーが甘く真ん中に。

唐澤は力みの無い構えから最短距離でバットに捕え、振り抜いた。


打球は右中間へ伸びて最深部に入るソロホームラン!


遂に均衡が破れた。


マウンド上で悔しがる中澤。


無表情でベースを回る唐澤。


そして今ホームイン。待望の1点が入った。


ベンチは一気に活気づいた。


「イェーっ!ナイスホームラン!」

「やったぜ!」

「よし、これで勝とうぜ!」


しかし、当の本人はニコリともせずベンチに座った。


「何だよ、ホームラン打ったんだから少しは喜べよ」

「あんな打球じゃ喜べませんよ…」

素っ気ない。

満足のいく打球では無かったのか。


満足のいく打球とはどんな当たりなのだろうか。



この1点を守りきったスカイウォーカーズがゲームをものにした。


接戦にも負けないスカイウォーカーズ。


明日も勝てるのか。
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