41才の中学二年生(改訂版)

sky-high

文字の大きさ
上 下
13 / 96
1990年だと?

チャッピーの顔に落書きしてやろうぜ

しおりを挟む
オレと龍也、チャッピーの3人は、職員室でチャイムが鳴るまでお説教を食らった…


ようやく解放された…龍也はおでこに【肉】と書かれたままだ。


龍也は額を隠しながら階段を下りた。

コイツはイケメンでヤンキーだが、女子からの人気もある。

その人気者が、このザマだw


「ったくよ…何だ、この文字は!これじゃ、スゲーみっともねえじゃねえかよ!」

「それ書いたの、オレじゃねえぞ!チャッピーだからな」

「…チャッピーが?」

龍也は一瞬立ち止まり、チャッピーを睨み付けた。

「そうだよ、お前がのびてる間に、マジックで肉って書いたんだよ。
ウソだと思うなら、他のヤツに聞いてみりゃいいだろ」

「いや、違うんだよ…智に書けって言われて…」


龍也にビビってるから、しどろもどろになって、言い訳してやがる。

「テメー、いい度胸してんじゃねえかよ!オレのおでこに落書きするなんてなぁ…どうなるか、解ってるよな、おい?」

龍也はチャッピーの胸ぐらを掴んだ。

「て事は、勿論チャッピーの顔にも落書きしないとなぁ、龍也」

黒のマジックを龍也に渡した。


「それよか山本…さっき、オレにどんな事をした?段々と視界が薄れてきて、気がついたら瑠璃子に起こされて…お前、格闘技か何かやってるのか?」


龍也は何で自分がタイマンで負けたのか、釈然としない。

首を極められ、そのまま落ちてしまったからだろう。


「頸動脈締めれば、誰だって落ちるよ。ただオレの場合、そのやり方を知っていただけで、格闘技の経験なんか無いっつーの」

そう、プロレスファンのオレは、専門誌に技の掛け方を写真つき解説で載っていたから、龍也相手に実戦で使ってみた。

「クソッ!まさか、あんな無様な格好にされるとは…でも、オレは負けたと言ってねえからな!」

納得していない様子だが、これ以上揉め事は面倒だ。

「いいじゃねぇかよ、もう。勝った負けたなんて、どうでもいいよ。皆、お前にビビって誰も近寄らないじゃねえかよ。お前だって、皆に怖がられたままじゃイヤだろ?」


龍也とて、ただのヤンキーじゃない。機嫌の良い時は面白い事もするし、よく笑う。


「ったく!どいつもこいつも、すぐビビりやがって!」


「そりゃ、誰だってお前に威嚇されたり、怒鳴られれば萎縮するだろう?もう、そういう事するのは止めとけよ、な?」

龍也も本音は、皆とワイワイ仲良くやりたいみたいだ。

「…別に威嚇なんてしてねぇけどな…」


思えば、オレとコイツは1年生の頃はよく、一緒に帰ったぐらい、仲が良かったんだよな…


何がきっかけで、いがみ合うようになったんだっけか?


…思い当たるフシはいっぱいあるんだがw


そうだ!確か中1の3学期のテストで、コイツ100点中2点という大笑いな点数取って、それをオレが皆に見せびらかしてから険悪な仲になったんだ。
今思い出した!


オレは100点中10点だったけどなw


コイツとオレは常にビリを争う程、頭が悪かったんだ。
目くそ鼻くそ、五十歩百歩、まぁそんなもんだ。


「まぁそんなワケで、今回はチャッピーの顔にも落書きして、この件は水に流そう!チャッピー!ちょっと顔出せ!」

階段の踊り場で、チャッピーをヘッドロックに捕らえ、龍也に極太の黒マジックを渡した。

「な、何でオレがそうなるんだよ?イヤだよ、顔に落書きなんて!」

チャッピーはかなり怯えている。
がしかし、コイツは虎の威を借る狐ならぬ、龍也の威を借るドチビだ。


「チャッピー、テメーも顔にお絵かきしてやるぜ、覚悟はいいな?」


龍也はマジックのキャップを取り、チャッピーの顔に落書きしようとするが、ジタバタ暴れるので、上手く書けない。


「お前はじっとしてろ!それともまた痛い目にあいたいのか、ん?」


階段の踊り場で、オレがチャッピーを羽交い締めにし、龍也がマジックで書いた。


「お前の眉毛、一本に繋げてやらぁ!ジッとしてろよ!」

チャッピーの眉毛を太く塗って、眉間をも黒く塗ると、左右の眉毛が繋がる一本眉毛に仕上げた。


「うぅっ、何でこんな目に…」

チャッピーは、涙目で項垂れていた。

「ギャハハハハハ!龍也見ろよ、これじゃ両さんの眉毛だぜ!あぁ~、笑えるw次、カールのオジサンみたいなドロボーヒゲ書いてやれ」


ちなみに両さんの眉毛とは、【こち亀】の主人公、両津勘吉の眉毛の事だ。

「や、止めてくれよ…誰か助けてよ~っ!」


「うるせーっ!ジッとしてろってのが聞こえねえのか!」


チャッピーも、龍也に脅されたりするのがイヤで、ヘコヘコしていた。


でも、この際だから、皆で落書きして水に流してやれ、とオレなりに考えた。

まぁ、時間はかかるだろうけどな。


…そしてチャッピーの顔は、繋がった眉毛に、口の周りが黒く塗られていた…


「ギャハハハハハ!は、腹痛え~っ!何だこの顔…www」


「wwwスゲーマヌケな顔だぞ!こりゃ…」


オレとは龍也は大爆笑!


「…オレ、何にもしてないのに…何で、こんな事すんだよ~っ(泣)」


「泣くな、バカヤロー!よし、オレも顔に書く!龍也、マジック貸してくれ」

こうなりゃ、オレも自分の顔に落書きしてやる!

「はぁ?書くって、何書くんだよ?」


龍也はマジックを渡した。

オレは自分の頬っぺたに

【B-T】と落書きした。


「どうだ!これで皆、顔に落書きしてあるじゃないか!うん、これでよし!」


「バカヤロー!それじゃ、BUCK-TICKのギターじゃねえか!」

ワハハハハ!

「そうだよ!智だけ、カッコいい落書きじゃないか!」

いいじゃないか、落書きには変わらないんだから。
オレは当時、ファンだったBUCK-TICKのギタリスト、今井寿が頬に【B-T】と書いてあるのを真似した。


「落書きじゃねえか、これも!うーん、しかし我ながら、よく出来たデザインだ」


2人は「汚ぇぞ!自分だけアートっぽくて!」

と文句を言ったと同時に、

【キーンコーン、カーンコーン】とチャイムが鳴った。

「ヤベッ、チャイム鳴った!ソッコーで戻るべ!」

オレ達はダッシュで教室へ戻った。

「山本、その落書きだけは反則だぞ!」

「いいじゃないかよ、別に!」

「ズルいぞ、お前!」

そんな事を言いながら教室に着いた。

クラスの連中は3人の落書きを見て、爆笑していた。


特にチャッピーの一本眉と、ドロボーヒゲはかなりウケたw



次の授業は社会科だ…社会科って、あの学年主任の北山か!


また、オレたち大目玉食らいそうだ…






…案の定、オレたち3人が顔に落書きしてあるせいか、周りからクスクスと笑う声がして、チャッピーの顔が可笑しすぎて、笑いを堪えるのに必死だった。

そしてオレと龍也、チャッピーの3人は再び職員室へ連行され、延々とお説教を食らったまま、チャイムが鳴った。

勿論、授業は自習だ。


犠牲になったのはチャッピーだが、コイツの事は前から気に入らなかった、というヤツも多かった。


コイツがマヌケな顔になったお陰もあって、笑いでクラスが1つになったんだから、良しとしよう!


チャッピー!

お前のお陰で、龍也といがみ合う事は無くなった…


だから…だから今日1日、そのツラでいてくれ!

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!

ペトラ
恋愛
   ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。  戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。  前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。  悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。  他サイトに連載中の話の改訂版になります。

悪役令嬢の独壇場

あくび。
ファンタジー
子爵令嬢のララリーは、学園の卒業パーティーの中心部を遠巻きに見ていた。 彼女は転生者で、この世界が乙女ゲームの舞台だということを知っている。 自分はモブ令嬢という位置づけではあるけれど、入学してからは、ゲームの記憶を掘り起こして各イベントだって散々覗き見してきた。 正直に言えば、登場人物の性格やイベントの内容がゲームと違う気がするけれど、大筋はゲームの通りに進んでいると思う。 ということは、今日はクライマックスの婚約破棄が行われるはずなのだ。 そう思って卒業パーティーの様子を傍から眺めていたのだけど。 あら?これは、何かがおかしいですね。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

絶対婚約いたしません。させられました。案の定、婚約破棄されました

toyjoy11
ファンタジー
婚約破棄ものではあるのだけど、どちらかと言うと反乱もの。 残酷シーンが多く含まれます。 誰も高位貴族が婚約者になりたがらない第一王子と婚約者になったミルフィーユ・レモナンド侯爵令嬢。 両親に 「絶対アレと婚約しません。もしも、させるんでしたら、私は、クーデターを起こしてやります。」 と宣言した彼女は有言実行をするのだった。 一応、転生者ではあるものの元10歳児。チートはありません。 4/5 21時完結予定。

王が気づいたのはあれから十年後

基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。 妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。 仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。 側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。 王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。 王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。 新たな国王の誕生だった。

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

処理中です...