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第2章
文化祭当日
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翌日から、本格的に練習が始まった。
やっぱり皆シロートだから、変なセリフの言い回しになったり、テンパったり色々だけど、片野のアドバイス通りに、無理に演技すること無く、何とかサマになってきた。
「皆、リラックスして!肩の力抜いて!」
そうは言っても、リラックスって中々難しい。
「デザイアー、大丈夫かよ?」
「う…うん」
ガチガチになってる…
「恵、まだ本番じゃないんだから、そんなキンチョーしなくていいの!」
「あ…う、うん。わかった…」
唯一の不安材料はデザイアーだ。
ただでさえ、コミュ障だと言うのに、人前で芝居をするなんて、とてもじゃないけど…
「なぁ、片野。やっぱデザイアーは外して他のヤツを主役にしようよ」
「いや、主役は恵じゃないと成り立たないのよ」
「何で、そこまでしてデザイアーにこだわるんだよ?」
だよなぁ…誰が見ても、デザイアーには荷が重すぎると思うんだが。
「ようやく、マスター出来たぜ!見ろ、これ!」
龍也がローラースケートを履いたまま、バク転をした。
「おお、スゲーな龍也!」
「運動神経良いな、お前!」
龍也は毎日体育館で、ローラースケートを履いてバク転の練習をした。
コイツもかなり努力した。
最初のうちはバク転が出来ず、ケガも絶えなかったが、元々身体能力は高い方だ。
コツを掴むと、覚えるのが早い。
龍也がこの中で一番努力をしているんじゃないだろうか。
ついこの前までは、クラスの連中が敬遠する程のヤンキーだったが、それを思えば物凄い進歩だ。
むしろ、コイツを主役にしてもいいんじゃないだろうか?
それでも片野はデザイアーを推すのは何故だろう。
セリフだって、満足に言えないし、アタフタして芝居どころではない。
「もう、デザイアー抜きでやろうよ!これじゃ芝居にならないよ!もう時間が無いんだぜ!」
泰彦が痺れを切らした。
「そうだよな、こんなんじゃ無理だよ」
「片野、お前が主役やれよ」
謙司やチャッピーが言うように、今からでも主役を変えた方がいいと思う。
「任せて、恵は当日あっと驚くような芝居をするから」
「ホントに大丈夫なのかよ?お前に任せてるけど、これで芝居出来るのかよ…」
文化祭は明後日だ。
他の連中は本番でもバッチリだと思うんだが…
結局、デザイアーはあのままで当日を迎えた。
「おい、片野。次オレたちの番だけど、大丈夫かな?皆スゲー緊張してるよ」
オレたちは舞台の袖では出番を待った。
皆、キンチョーを隠せない。
「いい、皆!緊張するのは、それだけ真面目にやってきた証拠なの!だから、緊張も芝居の1つなの」
緊張も必要ってか。
「そうだな、オレたち今まで頑張ってきたんだ!だから、自信もってやろう!」
「そうだな…龍也の言う通りだ。皆大丈夫だ!やれば出来るんだよ」
泰彦も随分と変わった。
この2人はもしかしたら、学級委員になって大正解なのかも。
じゃあ、オレも何か言わねば。
「よし、円陣組もう!」
「そうだ、皆で輪をなろう!」
クラスの皆が輪になって円陣を組んだ。
「龍也、ビシッと決めてくれ」
泰彦が龍也を促す。
「よし…じゃあ皆、気合い入れていこーっ!」
『おーっ!!』
このクラスは変わった…
一番大事なのはチームワークと片野が言った。
今、ウチのクラスは一番チームワークが良い状態だ。
これなら、良い芝居が出来そうだ。
「あれ、デザイアーがいないぞ!」
「えっ!」
何処へ行ったんだよ、デザイアーは!
やっぱり皆シロートだから、変なセリフの言い回しになったり、テンパったり色々だけど、片野のアドバイス通りに、無理に演技すること無く、何とかサマになってきた。
「皆、リラックスして!肩の力抜いて!」
そうは言っても、リラックスって中々難しい。
「デザイアー、大丈夫かよ?」
「う…うん」
ガチガチになってる…
「恵、まだ本番じゃないんだから、そんなキンチョーしなくていいの!」
「あ…う、うん。わかった…」
唯一の不安材料はデザイアーだ。
ただでさえ、コミュ障だと言うのに、人前で芝居をするなんて、とてもじゃないけど…
「なぁ、片野。やっぱデザイアーは外して他のヤツを主役にしようよ」
「いや、主役は恵じゃないと成り立たないのよ」
「何で、そこまでしてデザイアーにこだわるんだよ?」
だよなぁ…誰が見ても、デザイアーには荷が重すぎると思うんだが。
「ようやく、マスター出来たぜ!見ろ、これ!」
龍也がローラースケートを履いたまま、バク転をした。
「おお、スゲーな龍也!」
「運動神経良いな、お前!」
龍也は毎日体育館で、ローラースケートを履いてバク転の練習をした。
コイツもかなり努力した。
最初のうちはバク転が出来ず、ケガも絶えなかったが、元々身体能力は高い方だ。
コツを掴むと、覚えるのが早い。
龍也がこの中で一番努力をしているんじゃないだろうか。
ついこの前までは、クラスの連中が敬遠する程のヤンキーだったが、それを思えば物凄い進歩だ。
むしろ、コイツを主役にしてもいいんじゃないだろうか?
それでも片野はデザイアーを推すのは何故だろう。
セリフだって、満足に言えないし、アタフタして芝居どころではない。
「もう、デザイアー抜きでやろうよ!これじゃ芝居にならないよ!もう時間が無いんだぜ!」
泰彦が痺れを切らした。
「そうだよな、こんなんじゃ無理だよ」
「片野、お前が主役やれよ」
謙司やチャッピーが言うように、今からでも主役を変えた方がいいと思う。
「任せて、恵は当日あっと驚くような芝居をするから」
「ホントに大丈夫なのかよ?お前に任せてるけど、これで芝居出来るのかよ…」
文化祭は明後日だ。
他の連中は本番でもバッチリだと思うんだが…
結局、デザイアーはあのままで当日を迎えた。
「おい、片野。次オレたちの番だけど、大丈夫かな?皆スゲー緊張してるよ」
オレたちは舞台の袖では出番を待った。
皆、キンチョーを隠せない。
「いい、皆!緊張するのは、それだけ真面目にやってきた証拠なの!だから、緊張も芝居の1つなの」
緊張も必要ってか。
「そうだな、オレたち今まで頑張ってきたんだ!だから、自信もってやろう!」
「そうだな…龍也の言う通りだ。皆大丈夫だ!やれば出来るんだよ」
泰彦も随分と変わった。
この2人はもしかしたら、学級委員になって大正解なのかも。
じゃあ、オレも何か言わねば。
「よし、円陣組もう!」
「そうだ、皆で輪をなろう!」
クラスの皆が輪になって円陣を組んだ。
「龍也、ビシッと決めてくれ」
泰彦が龍也を促す。
「よし…じゃあ皆、気合い入れていこーっ!」
『おーっ!!』
このクラスは変わった…
一番大事なのはチームワークと片野が言った。
今、ウチのクラスは一番チームワークが良い状態だ。
これなら、良い芝居が出来そうだ。
「あれ、デザイアーがいないぞ!」
「えっ!」
何処へ行ったんだよ、デザイアーは!
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