41才の中学二年生(改訂版)

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第2章

文化祭当日

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翌日から、本格的に練習が始まった。

やっぱり皆シロートだから、変なセリフの言い回しになったり、テンパったり色々だけど、片野のアドバイス通りに、無理に演技すること無く、何とかサマになってきた。



「皆、リラックスして!肩の力抜いて!」

そうは言っても、リラックスって中々難しい。


「デザイアー、大丈夫かよ?」

「う…うん」

ガチガチになってる…


「恵、まだ本番じゃないんだから、そんなキンチョーしなくていいの!」

「あ…う、うん。わかった…」

唯一の不安材料はデザイアーだ。


ただでさえ、コミュ障だと言うのに、人前で芝居をするなんて、とてもじゃないけど…


「なぁ、片野。やっぱデザイアーは外して他のヤツを主役にしようよ」

「いや、主役は恵じゃないと成り立たないのよ」


「何で、そこまでしてデザイアーにこだわるんだよ?」


だよなぁ…誰が見ても、デザイアーには荷が重すぎると思うんだが。



「ようやく、マスター出来たぜ!見ろ、これ!」

龍也がローラースケートを履いたまま、バク転をした。


「おお、スゲーな龍也!」

「運動神経良いな、お前!」


龍也は毎日体育館で、ローラースケートを履いてバク転の練習をした。


コイツもかなり努力した。

最初のうちはバク転が出来ず、ケガも絶えなかったが、元々身体能力は高い方だ。

コツを掴むと、覚えるのが早い。


龍也がこの中で一番努力をしているんじゃないだろうか。


ついこの前までは、クラスの連中が敬遠する程のヤンキーだったが、それを思えば物凄い進歩だ。


むしろ、コイツを主役にしてもいいんじゃないだろうか?


それでも片野はデザイアーを推すのは何故だろう。


セリフだって、満足に言えないし、アタフタして芝居どころではない。


「もう、デザイアー抜きでやろうよ!これじゃ芝居にならないよ!もう時間が無いんだぜ!」


泰彦が痺れを切らした。


「そうだよな、こんなんじゃ無理だよ」

「片野、お前が主役やれよ」


謙司やチャッピーが言うように、今からでも主役を変えた方がいいと思う。


「任せて、恵は当日あっと驚くような芝居をするから」


「ホントに大丈夫なのかよ?お前に任せてるけど、これで芝居出来るのかよ…」



文化祭は明後日だ。


他の連中は本番でもバッチリだと思うんだが…




結局、デザイアーはあのままで当日を迎えた。





「おい、片野。次オレたちの番だけど、大丈夫かな?皆スゲー緊張してるよ」


オレたちは舞台の袖では出番を待った。

皆、キンチョーを隠せない。


「いい、皆!緊張するのは、それだけ真面目にやってきた証拠なの!だから、緊張も芝居の1つなの」

緊張も必要ってか。


「そうだな、オレたち今まで頑張ってきたんだ!だから、自信もってやろう!」


「そうだな…龍也の言う通りだ。皆大丈夫だ!やれば出来るんだよ」


泰彦も随分と変わった。

この2人はもしかしたら、学級委員になって大正解なのかも。


じゃあ、オレも何か言わねば。

「よし、円陣組もう!」


「そうだ、皆で輪をなろう!」

クラスの皆が輪になって円陣を組んだ。


「龍也、ビシッと決めてくれ」

泰彦が龍也を促す。


「よし…じゃあ皆、気合い入れていこーっ!」


『おーっ!!』

このクラスは変わった…

一番大事なのはチームワークと片野が言った。


今、ウチのクラスは一番チームワークが良い状態だ。


これなら、良い芝居が出来そうだ。


「あれ、デザイアーがいないぞ!」


「えっ!」


何処へ行ったんだよ、デザイアーは!

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