転部したら先輩が神だった

神河 斉

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文化祭編

隠家はおかしい

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SHRが終わって1時間目が始まると、テスト返却の時間だ。テストというものは非常に残酷だ。よくできたと思って、自信満々に取りに行った日にゃあダメージが大きい。誰かのと間違えたんじゃないかって点数がざらにある。

 俺は正直今回相当勉強した。元々部活は写真同好会に所属しているため暇だ。普段はなんだ、<お客様>をもてなす時間をテスト勉強にあてさせてもらった。しっかり考えてみると恐ろしいことに、1日2時間以上も接客をしていたようだ。高校生にはなかなか辛いものだ。古くからの知り合いには確実に女顔をからかわれるし・・・。全くそんな役所だ。

なんとか失神することなく3教科を受け切ったところで1度休憩しに自販機へ。ペットボトル飲料の置いてある赤い自販機。紙パックの飲料とパンなどの軽食が置いてある白い自販機。どちらも非常にお世話になっている。迷わず白い自販機に100円を入れ、コーヒー牛乳をセレクト。ポチッ、ガタッという音がして淡い茶色の紙パックが落ちてきた。横のストローを引っぺがし、銀色の穴に差し込んで、一気に飲む。疲れた脳に甘いものは最高!あっという間に飲み干してしまう。腕時計を見ると、もう始業2分前になっていた。この自販機群は外にあるため、急いで空パックをゴミ箱に投げ入れ、ダッシュで教室へと戻る。

なんとか1分前に戻ってくると、寝癖の目立つ孔太が話しかけてきた。おそらく夜更かしをしたのであろう、目の下の大きなクマが痛々しい。
「今回はすごい気合い入ってたみたいだけど、どうだった。」
ちょっとにやけながら聞いてくるのが腹立たしい。
「んー、ぼちぼちだ。平均75ってとこか。」
「お、海にしては頑張ったんじゃない?僕もそんくらいはあるよ。」
「やっぱりやったのは課題だけか?」
「いや、課題もある程度は答え写したまである。」
もう腹立たしいを通り越して鬱陶しい。
「さっすが天才様ですね。」
「どーもどーも。」
彼には皮肉も通じないらしい。なんかもっとストレートに文句を言おうとしたところで隠家が入ってくる。やはり白衣は翻っているが、なんか慌ただしそうにしている。
チャイムが鳴ると同時に孔太が号令をかける。
「起立、気をつけ、礼!」
全員が座ったのも確認せず、隠家が口を開く。
「お前ら、10分、いや5分だけ寝ててくれっ!」
そう言うとみんなのリアクションにも構わず赤ペンを走らせ始めた。
あー、終わらなかったんですね、お疲れ様です。
「先生、今何番まで終わってるんですか?」
後ろからは眠気を誘うような孔太のゆるい声。
「今23番が終わった。」
あー、これ絶対30分近くかかるやつですね。ここはおとなしく寝ることとしましょう。
結局採点が終わったのは35分後、急いで全員に答案が渡される。
困ったことに、やっぱりこのクラスは化学が良い。学年平均より6点高いそうだ。
隠家が眉間にしわを寄せながら一言一言絞り出すようにつぶやく。
「わしはな、みんなに数学を頑張って欲しいんや。わしが担任やから化学頑張るのはやめて欲しいって言ったはずや。採点しながら低い点数を望んだのは初めてやで。ほんまやめて欲しいわ。」
いや、みんな化学得意だからこのクラスにいるんだよ!
みんな意見は一致してるだろう。
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