転部したら先輩が神だった

神河 斉

文字の大きさ
上 下
24 / 30
文化祭編

隠家はおかしい

しおりを挟む
SHRが終わって1時間目が始まると、テスト返却の時間だ。テストというものは非常に残酷だ。よくできたと思って、自信満々に取りに行った日にゃあダメージが大きい。誰かのと間違えたんじゃないかって点数がざらにある。

 俺は正直今回相当勉強した。元々部活は写真同好会に所属しているため暇だ。普段はなんだ、<お客様>をもてなす時間をテスト勉強にあてさせてもらった。しっかり考えてみると恐ろしいことに、1日2時間以上も接客をしていたようだ。高校生にはなかなか辛いものだ。古くからの知り合いには確実に女顔をからかわれるし・・・。全くそんな役所だ。

なんとか失神することなく3教科を受け切ったところで1度休憩しに自販機へ。ペットボトル飲料の置いてある赤い自販機。紙パックの飲料とパンなどの軽食が置いてある白い自販機。どちらも非常にお世話になっている。迷わず白い自販機に100円を入れ、コーヒー牛乳をセレクト。ポチッ、ガタッという音がして淡い茶色の紙パックが落ちてきた。横のストローを引っぺがし、銀色の穴に差し込んで、一気に飲む。疲れた脳に甘いものは最高!あっという間に飲み干してしまう。腕時計を見ると、もう始業2分前になっていた。この自販機群は外にあるため、急いで空パックをゴミ箱に投げ入れ、ダッシュで教室へと戻る。

なんとか1分前に戻ってくると、寝癖の目立つ孔太が話しかけてきた。おそらく夜更かしをしたのであろう、目の下の大きなクマが痛々しい。
「今回はすごい気合い入ってたみたいだけど、どうだった。」
ちょっとにやけながら聞いてくるのが腹立たしい。
「んー、ぼちぼちだ。平均75ってとこか。」
「お、海にしては頑張ったんじゃない?僕もそんくらいはあるよ。」
「やっぱりやったのは課題だけか?」
「いや、課題もある程度は答え写したまである。」
もう腹立たしいを通り越して鬱陶しい。
「さっすが天才様ですね。」
「どーもどーも。」
彼には皮肉も通じないらしい。なんかもっとストレートに文句を言おうとしたところで隠家が入ってくる。やはり白衣は翻っているが、なんか慌ただしそうにしている。
チャイムが鳴ると同時に孔太が号令をかける。
「起立、気をつけ、礼!」
全員が座ったのも確認せず、隠家が口を開く。
「お前ら、10分、いや5分だけ寝ててくれっ!」
そう言うとみんなのリアクションにも構わず赤ペンを走らせ始めた。
あー、終わらなかったんですね、お疲れ様です。
「先生、今何番まで終わってるんですか?」
後ろからは眠気を誘うような孔太のゆるい声。
「今23番が終わった。」
あー、これ絶対30分近くかかるやつですね。ここはおとなしく寝ることとしましょう。
結局採点が終わったのは35分後、急いで全員に答案が渡される。
困ったことに、やっぱりこのクラスは化学が良い。学年平均より6点高いそうだ。
隠家が眉間にしわを寄せながら一言一言絞り出すようにつぶやく。
「わしはな、みんなに数学を頑張って欲しいんや。わしが担任やから化学頑張るのはやめて欲しいって言ったはずや。採点しながら低い点数を望んだのは初めてやで。ほんまやめて欲しいわ。」
いや、みんな化学得意だからこのクラスにいるんだよ!
みんな意見は一致してるだろう。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

「南風の頃に」~ノダケンとその仲間達~

kitamitio
青春
合格するはずのなかった札幌の超難関高に入学してしまった野球少年の野田賢治は、野球部員たちの執拗な勧誘を逃れ陸上部に入部する。北海道の海沿いの田舎町で育った彼は仲間たちの優秀さに引け目を感じる生活を送っていたが、長年続けて来た野球との違いに戸惑いながらも陸上競技にのめりこんでいく。「自主自律」を校訓とする私服の学校に敢えて詰襟の学生服を着ていくことで自分自身の存在を主張しようとしていた野田賢治。それでも新しい仲間が広がっていく中で少しずつ変わっていくものがあった。そして、隠していた野田賢治自身の過去について少しずつ知らされていく……。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

GIVEN〜与えられた者〜

菅田刈乃
青春
囲碁棋士になった女の子が『どこでもドア』を作るまでの話。

幼馴染と話し合って恋人になってみた→夫婦になってみた

久野真一
青春
 最近の俺はちょっとした悩みを抱えている。クラスメート曰く、  幼馴染である百合(ゆり)と仲が良すぎるせいで付き合ってるか気になるらしい。  堀川百合(ほりかわゆり)。美人で成績優秀、運動完璧だけど朝が弱くてゲーム好きな天才肌の女の子。  猫みたいに気まぐれだけど優しい一面もあるそんな女の子。  百合とはゲームや面白いことが好きなところが馬が合って仲の良い関係を続けている。    そんな百合は今年は隣のクラス。俺と付き合ってるのかよく勘ぐられるらしい。  男女が仲良くしてるからすぐ付き合ってるだの何だの勘ぐってくるのは困る。  とはいえ。百合は異性としても魅力的なわけで付き合ってみたいという気持ちもある。  そんなことを悩んでいたある日の下校途中。百合から 「修二は私と恋人になりたい?」  なんて聞かれた。考えた末の言葉らしい。  百合としても満更じゃないのなら恋人になるのを躊躇する理由もない。 「なれたらいいと思ってる」    少し曖昧な返事とともに恋人になった俺たち。  食べさせあいをしたり、キスやその先もしてみたり。  恋人になった後は今までよりもっと楽しい毎日。  そんな俺達は大学に入る時に籍を入れて学生夫婦としての生活も開始。  夜一緒に寝たり、一緒に大学の講義を受けたり、新婚旅行に行ったりと  新婚生活も満喫中。  これは俺と百合が恋人としてイチャイチャしたり、  新婚生活を楽しんだりする、甘くてほのぼのとする日常のお話。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

処理中です...