55 / 114
杜和泉絵師殺害事件
003
しおりを挟む
次の瞬間、愛弥は学校の図書館にいた。
訳あって愛弥は図書館登校をしている。
クラスでいじめられているわけではない。
ただただクラスには行けないのである。
姉の愛理のお下がりであるセーラー服を着て、教室の代わりに図書館へ。
普段はそこで放課後になるまで本の整理などをして時間を潰している。
しかし、今日は来てからしばらく愛弥は眠ってしまった。
「寝ちゃった……」
愛弥は呟き、背伸びをする。
それから、少し大きめのため息をして、先ほどまで見ていた夢の内容を思い出した。
見知らぬ若い男に助けられ、男の元でお世話になるという。
変わった夢だった。
「何だったんだろう」
と、愛弥が考えていると、図書館の扉が開いた。
少し愛弥は驚き、扉の方を見ると。
そこには、先日知り合った佐伯千歳と新沢奈穂がいた。
二人はこの学校の生徒である。
愛弥は少し二人のことを気に入っていて、二人の顔を見た瞬間、嬉しくて笑った。
千歳は愛弥の笑顔に気づき、笑顔で「やあ」と言う。
「あの、えっと」
「佐伯くん、元気? 新沢くんも!」
愛弥が訊くと、二人は頷いた。
そして、愛弥の元に行った。
奈穂は少し心配そうに愛弥を見て「天宮城さんの方こそ」と言う。
「具合悪いの? 保健室行く?」
「ううん。そんなことない。ちょっと、さっきまで寝てただけ」
「ずっと?」
「うん。珍しくね」
愛弥が明るく笑うと、千歳がじっと愛弥を見る。
「何かあったでしょ」
「ないって」
「……どうして、図書館に登校するの? いじめとかじゃないんでしょ?」
「訳あって、だよ」
「……心配」
「……佐伯くんには関係ないって」
「やだ」
「やだって何?」
「やだ」
「だから――」
愛弥が強く訊こうとすると、奈穂が「まあまあ」と止める。
「千歳、この前の絵本の続きとかあると思うから。それを持ってきな」
「うん。でも、奈穂」
「大丈夫だから」
ね? と、奈穂が言うと、千歳は頷き、奥の方に行った。
訳あって愛弥は図書館登校をしている。
クラスでいじめられているわけではない。
ただただクラスには行けないのである。
姉の愛理のお下がりであるセーラー服を着て、教室の代わりに図書館へ。
普段はそこで放課後になるまで本の整理などをして時間を潰している。
しかし、今日は来てからしばらく愛弥は眠ってしまった。
「寝ちゃった……」
愛弥は呟き、背伸びをする。
それから、少し大きめのため息をして、先ほどまで見ていた夢の内容を思い出した。
見知らぬ若い男に助けられ、男の元でお世話になるという。
変わった夢だった。
「何だったんだろう」
と、愛弥が考えていると、図書館の扉が開いた。
少し愛弥は驚き、扉の方を見ると。
そこには、先日知り合った佐伯千歳と新沢奈穂がいた。
二人はこの学校の生徒である。
愛弥は少し二人のことを気に入っていて、二人の顔を見た瞬間、嬉しくて笑った。
千歳は愛弥の笑顔に気づき、笑顔で「やあ」と言う。
「あの、えっと」
「佐伯くん、元気? 新沢くんも!」
愛弥が訊くと、二人は頷いた。
そして、愛弥の元に行った。
奈穂は少し心配そうに愛弥を見て「天宮城さんの方こそ」と言う。
「具合悪いの? 保健室行く?」
「ううん。そんなことない。ちょっと、さっきまで寝てただけ」
「ずっと?」
「うん。珍しくね」
愛弥が明るく笑うと、千歳がじっと愛弥を見る。
「何かあったでしょ」
「ないって」
「……どうして、図書館に登校するの? いじめとかじゃないんでしょ?」
「訳あって、だよ」
「……心配」
「……佐伯くんには関係ないって」
「やだ」
「やだって何?」
「やだ」
「だから――」
愛弥が強く訊こうとすると、奈穂が「まあまあ」と止める。
「千歳、この前の絵本の続きとかあると思うから。それを持ってきな」
「うん。でも、奈穂」
「大丈夫だから」
ね? と、奈穂が言うと、千歳は頷き、奥の方に行った。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
リモート刑事 笹本翔
雨垂 一滴
ミステリー
『リモート刑事 笹本翔』は、過去のトラウマと戦う一人の刑事が、リモート捜査で事件を解決していく、刑事ドラマです。
主人公の笹本翔は、かつて警察組織の中でトップクラスの捜査官でしたが、ある事件で仲間を失い、自身も重傷を負ったことで、外出恐怖症(アゴラフォビア)に陥り、現場に出ることができなくなってしまいます。
それでも、彼の卓越した分析力と冷静な判断力は衰えず、リモートで捜査指示を出しながら、次々と難事件を解決していきます。
物語の鍵を握るのは、翔の若き相棒・竹内優斗。熱血漢で行動力に満ちた優斗と、過去の傷を抱えながらも冷静に捜査を指揮する翔。二人の対照的なキャラクターが織りなすバディストーリーです。
翔は果たして過去のトラウマを克服し、再び現場に立つことができるのか?
翔と優斗が数々の難事件に挑戦します!
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる