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「ねえ、少し休憩しないかしら?」
謎の雑誌を読みふけっていただけの先輩が立ち上がり、冷蔵庫から午後に飲む紅茶のペットボトルが渡された。
「あ、どうも。ありがとうございます」
先輩がこういうことをしてくれるなんて珍しい。
「二百円」
「高っ!」
お金を要求された。しかも高い。ネズミがいる夢の国価格だ。
「しかも飲みかけじゃないですか……」
半分ぐらいしか残っていない。
「私の飲みかけよ。きっと真田くんなら『ぶっひぃぃぃぃ! ありがとうございますぅぅぅ!』って、執拗に飲み口を舐めてくるのかと思って」
「誰がするかぁぁぁぁ!」
誰がそんなことしますか! しませんよ! 多分! ……うん、きっと。
「そう、残念だわ。せっかく用意したのに。なら、私が飲んでしまうわね」
「いえ、せっかく頂いたので飲みますよ」
そう言って僕は、ミルクティーを一気飲みした。
「っぷはぁ! うん、やっぱり美味しいな」
流石午後ティー。
「あ、あうぅ……馬鹿……」
「うん? 何か言いました?」
顔を真っ赤にした先輩。
「飲みかけって言ったのに……」
「……あ」
やべ、飲みかけって言ってたな。
「な、なーんてね、嘘よ嘘! 普通にコップに注いだわよ! こんな嘘も見破れ無いなんて、体が縮んで小学生になっても推理できないわね!」
「僕、コナンになる予定無いんですけど!」
謎のメカを作ってくれる博士もいないし!
「ま、まあ、冗談はさておき、今日はもういいわ。帰りなさい」
「へ? まだ半分ぐらい残ってますよ?」
まだまだ書類の山は高い。
「ほら、もうこんな時間よ」
ピシっと指差した時計は、六時を指していた。
「いやまだ大丈夫ですけど……」
「帰りなさい。そして、帰宅途中に事故に遭いなさい」
ジリジリと扉まで誘導される。
「そ、そこまで言うなら帰らさせてもらいますけど、本当に大丈夫ですか? 計算しないで」
「こんなの三十分で終わるわ」
「じゃあ何故僕にやらせた!?」
ヒドい! やっぱりドSだ!
「で、では、失礼します」
「……お疲れ」
謎の雑誌を読みふけっていただけの先輩が立ち上がり、冷蔵庫から午後に飲む紅茶のペットボトルが渡された。
「あ、どうも。ありがとうございます」
先輩がこういうことをしてくれるなんて珍しい。
「二百円」
「高っ!」
お金を要求された。しかも高い。ネズミがいる夢の国価格だ。
「しかも飲みかけじゃないですか……」
半分ぐらいしか残っていない。
「私の飲みかけよ。きっと真田くんなら『ぶっひぃぃぃぃ! ありがとうございますぅぅぅ!』って、執拗に飲み口を舐めてくるのかと思って」
「誰がするかぁぁぁぁ!」
誰がそんなことしますか! しませんよ! 多分! ……うん、きっと。
「そう、残念だわ。せっかく用意したのに。なら、私が飲んでしまうわね」
「いえ、せっかく頂いたので飲みますよ」
そう言って僕は、ミルクティーを一気飲みした。
「っぷはぁ! うん、やっぱり美味しいな」
流石午後ティー。
「あ、あうぅ……馬鹿……」
「うん? 何か言いました?」
顔を真っ赤にした先輩。
「飲みかけって言ったのに……」
「……あ」
やべ、飲みかけって言ってたな。
「な、なーんてね、嘘よ嘘! 普通にコップに注いだわよ! こんな嘘も見破れ無いなんて、体が縮んで小学生になっても推理できないわね!」
「僕、コナンになる予定無いんですけど!」
謎のメカを作ってくれる博士もいないし!
「ま、まあ、冗談はさておき、今日はもういいわ。帰りなさい」
「へ? まだ半分ぐらい残ってますよ?」
まだまだ書類の山は高い。
「ほら、もうこんな時間よ」
ピシっと指差した時計は、六時を指していた。
「いやまだ大丈夫ですけど……」
「帰りなさい。そして、帰宅途中に事故に遭いなさい」
ジリジリと扉まで誘導される。
「そ、そこまで言うなら帰らさせてもらいますけど、本当に大丈夫ですか? 計算しないで」
「こんなの三十分で終わるわ」
「じゃあ何故僕にやらせた!?」
ヒドい! やっぱりドSだ!
「で、では、失礼します」
「……お疲れ」
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