上 下
42 / 48

41,そろそろレブナートの頭がバカになりそう

しおりを挟む



 
 
「……それで他の武器はどうするんです?」
 アリスは10分ほど愛とはなにかを考え、クリスティーナは芝生の上で身もだえ、レブナートはどうしたらいいのかわからなかったので無言でいた。そして、どうしようもなくなったレブナートが口を開いた。

「私はやってもいいが……」
 横目でクリスティーナを見る。

「……し、シナが疲れたみたいだし、そろそろ体を返すわ。じゃあね……レブナート」
 レブナートだけに手を振り、シナへと戻った。

「……顔が熱いです⁉  熱ですか⁉」
 事態が呑み込めていなかったシナは相変わらずクエスチョンマークを飛ばしまくっていた。が――

「……なるほどー、これはこれは」
 いきなりシナがうふふ……というより、デュフフと悪い顔で笑った。

「うわっ、気持ちわりぃ笑い方」
 レブナートが一歩引く。

「……とりあえず、クリスティーナから色々聞いたから、鉄拳制裁!」

「いてぇーー⁉」
 今日何度目かわからない鉄拳がレブナートを襲った。

「いてぇ……いてぇよ……」
 涙目のレブナートを尻目に、シナは呟く。

「まったく、この男のどこがいいのかしら……? レブのいいところってどこでしょうねお嬢様?」
 また愛とは何かの検証に入ろうとするアリスを止めるべく、シナはアリスに質問を投げかけた。

「レブナートのいいところか。そうだな……私が導き出した最適解は、強いことだ」
 あまりにもどストレートというべきか、捻りの無いというべきか、そこじゃないと言うべきか言葉に困る回答が飛んできてシナは苦笑いをした。

「で、でも、強いってのは重要な事だからな!」
 すかさず涙目のレブナートがフォローする。

「そ、それはそうだけど……強さかぁ……」
 いまいち納得の行っていないシナ。

「なんだよ、文句あるか?」

「いや、アンタが強いのは認めるけどね……うーん、そう考えると難しいわね」
 シナがうんうん考えていると、屋敷からいつの間にか消えていたケレナとクロイツが出てきた。

「お嬢様―、昼食の準備ができました。食堂へどうぞ!」
 クロイツが手を振る。

「もうそんな時間か」
 朝から色々な事があった。というより、ありすぎた。

「流石に空腹だ。二人とも食事に行くぞ」
 ガシャガシャと武器を片づける。

「あら……懐かしいですね」
 そんな武器たちを見て、ケレナが目を細める。

「これは、最初の当主が残した武器です。私も詳しくは聞いていないのですが、先代のメイド長によれば、クロード・オリヴァレンが使っていた武器だそうです。初めてこの屋敷に来た時に見せていただきました。でも、あの地下室の行き方は私とオリヴァレン家の者しかしらないはず……」
 首をかしげるケレナ。それを見てシナが目をそらした。

「……まあいいでしょう。クロイツが作ったお食事が冷めてしまいます。片づけは後でいいので、とりあえずお越しください」
 ケレナがそう言うのでアリスは武器を置き、ケレナとクロイツについていった。

「……もしかして、掃除中にいつの間にかいなくなってて、屋敷のどこ探してもいないときって……」

「……行くわよ! 冷める前に!」
 レブナートの鋭い指摘から逃げるようにシナは屋敷へ歩いていった。

「図星だなありゃ……」
 やれやれとレブナートもシナと共に屋敷に戻った。






しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!

gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ? 王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。 国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから! 12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?

こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。 「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」 そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。 【毒を検知しました】 「え?」 私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。 ※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです

王子妃教育に疲れたので幼馴染の王子との婚約解消をしました

さこの
恋愛
新年のパーティーで婚約破棄?の話が出る。 王子妃教育にも疲れてきていたので、婚約の解消を望むミレイユ 頑張っていても落第令嬢と呼ばれるのにも疲れた。 ゆるい設定です

お飾り公爵夫人の憂鬱

初瀬 叶
恋愛
空は澄み渡った雲1つない快晴。まるで今の私の心のようだわ。空を見上げた私はそう思った。 私の名前はステラ。ステラ・オーネット。夫の名前はディーン・オーネット……いえ、夫だった?と言った方が良いのかしら?だって、その夫だった人はたった今、私の足元に埋葬されようとしているのだから。 やっと!やっと私は自由よ!叫び出したい気分をグッと堪え、私は沈痛な面持ちで、黒い棺を見つめた。 そう自由……自由になるはずだったのに…… ※ 中世ヨーロッパ風ですが、私の頭の中の架空の異世界のお話です ※相変わらずのゆるふわ設定です。細かい事は気にしないよ!という読者の方向けかもしれません ※直接的な描写はありませんが、性的な表現が出てくる可能性があります

やり直すなら、貴方とは結婚しません

わらびもち
恋愛
「君となんて結婚しなければよかったよ」 「は…………?」  夫からの辛辣な言葉に、私は一瞬息をするのも忘れてしまった。

はずれのわたしで、ごめんなさい。

ふまさ
恋愛
 姉のベティは、学園でも有名になるほど綺麗で聡明な当たりのマイヤー伯爵令嬢。妹のアリシアは、ガリで陰気なはずれのマイヤー伯爵令嬢。そう学園のみなが陰であだ名していることは、アリシアも承知していた。傷付きはするが、もう慣れた。いちいち泣いてもいられない。  婚約者のマイクも、アリシアのことを幽霊のようだの暗いだのと陰口をたたいている。マイクは伯爵家の令息だが、家は没落の危機だと聞く。嫁の貰い手がないと家の名に傷がつくという理由で、アリシアの父親は持参金を多めに出すという条件でマイクとの婚約を成立させた。いわば政略結婚だ。  こんなわたしと結婚なんて、気の毒に。と、逆にマイクに同情するアリシア。  そんな諦めにも似たアリシアの日常を壊し、救ってくれたのは──。

小説主人公の悪役令嬢の姉に転生しました

みかん桜(蜜柑桜)
恋愛
第一王子と妹が並んでいる姿を見て前世を思い出したリリーナ。 ここは小説の世界だ。 乙女ゲームの悪役令嬢が主役で、悪役にならず幸せを掴む、そんな内容の話で私はその主人公の姉。しかもゲーム内で妹が悪役令嬢になってしまう原因の1つが姉である私だったはず。 とはいえ私は所謂モブ。 この世界のルールから逸脱しないように無難に生きていこうと決意するも、なぜか第一王子に執着されている。 そういえば、元々姉の婚約者を奪っていたとか設定されていたような…?

処理中です...